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DX認定と中小零細企業の伴走者としてやるべきことは

 先日、とある顧客より一本の連絡がありました。

 「けいえすさんの会社では、DX認定の取得支援のサービスやっていませんか?DX減税を受けるために、経営層から指示があったのですが・・・」

 問い合わせをきっかけに、改めてDX認定制度の前に企業がやらなければならないことと、中小零細企業におけるDX認定について考えたいと思います。

DX認定制度とは

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※IPAのDX認定制度申請要項より
 ここでは本制度について、詳しく説明するつもりはありませんので、上記IPAさんのページや経産省のページをご覧ください。 

 まずDX認定制度についてですが、上の図にあるように「DX-Ready」な状態にある事業者であるかどうかの認定となります。

 「DX-Ready」とは、企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備が出来ている状態のこをを指しているようです。つまり、今既にデジタルによる事業変革等が出来ている必要は無く、これからやるぞ!という気合と準備が既に整っていることが条件となります。

 またピラミッドの上部を見ていただきたいのですが、DX-Excellent企業とDX-Emerging企業と2つのカテゴリがあります。これらは、「DX銘柄2020」と「DX注目企業2020」になります。また、「DX銘柄2020」というのはこれまで「攻めのIT銘柄」と呼ばれていたものになります。

 これらの銘柄として選定されると、経産省と東証からIT活用あるいはDX推進によって、企業変革・事業変革を推し進めている優良企業株ですよ、とお墨付きを貰えることができました。上場している企業は株価に良い影響がある(ハズ)ということで、毎年何百社とエントリーを行い競ってきた制度となります。

 そして今年からは、その門戸を上場企業だけではなく非上場企業にも開こう、ということでDX認定制度が始まりました。また、上場企業にとっては、DX銘柄認定への第一エントリーであるとも言えます。

DX認定取得のインセンティブ

 上場企業にとっては自社の取り組みを株主もしくはこれから株主になってもらえる人々に対して、広くアピールできるためその多くがエントリーをこれまでも行ってきました。

 最近だと三井不動産がDX白書を公開していましたが、こちらが非常に分かり易くまとまっていたので以下共有します。

 つまりはこれまで、上場企業だけで盛り上がっていたDXのアピール合戦でした。今回、非上場企業にもDXを推進してもらいたいということで門戸を開いたわけですが、上場企業のように明確なインセンティブがありませんでした。

 そこで来年度からは「DX減税」がはじまることとなりました。(正式にはDX投資促進税制)

 このDX減税を受けるための条件の一つとして、DX認定の取得が必要となります。

DX減税

 DX減税は、企業の投資を促すためのカンフル剤となる複数ある時限税制のうちの一つとなります。

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 認定要件と税制措置の内容は上記の通りとなりますが、求められる要件があまりにもざっくりしているため、これまでDX銘柄へのエントリーの無い企業としては二の足を踏んでいるということです。

 つまり非上場企業としては、自社のDXへの取り組みを対外的にアピールできる良い場ではあることは間違いないのですが、どうしても減税をいかにして受けることが出来るのか?に注目が集まりがちのようです。全ての企業が、という訳ではなりませんが、少なくとも私に連絡をして頂いた企業のトップは減税を目論んでの指示であったようでした。

 そもそもの話、本制度(認定・減税)は、上場非上場に関わらず企業の競争力強化のための手段の一つとしてDXを推し進めてもらいたい、という考えによるものです。

 経営層がDXを推し進める意味、というものを理解していなければ、本制度はまったく無価値なものであります。もちろん手段の一つなので、そんなことやらずとも自社の競争力を高められる企業であればやる必要はありません。

 しかしDXの本質的意味としては、多くの消費活動はデジタルの世界を中心に回り出しているという事実があり、自社のプロダクトあるいはサービスも時代に即した形にアジャストしていく必要があります。つまり、100%DXとは無縁な企業は存在しえない、というのが現実なのだと思っています。

 結局何が言いたいのかというと、それなりの大企業経営層が3%の減税から話が出発している時点で、まだまだWhy DX?なぜDXなのか?ということを理解できていないのが日本の現状ということです。これは国が悪いわけでも経産省が悪いわけでも無く、ITの仕事で飯を食っている我々の責任なのではないかと、痛感する出来事でした。

中小零細企業にはハードルは高いかもしれないが、乗り越えなければならない

 先ほどより例に挙げている企業さんは、上場はしていませんがビジネスパーソンであれば誰もが一度は耳にしたことのある大企業です。

 経営層がDXすべき理由を全く理解していないにもかかわらず、年間のIT投資額もそれなりにあるので、仮にDX減税を受けようとしたとしても、要件に対するIT投資額は書き方次第でクリアできると思っています。以下再掲します。

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投資額下限:売上高比0.1%以上

 つまり、年商2000億円の企業であれば2億円以上の投資が認定を受けるために必要となるのですが、ランニング経費(保守や維持メンテの費用)はここに含まれません。しかし、そこも申請書の書きっぷり次第という話も聞きましたので、それなりの規模がある企業においては、そこまで難しくはないハードルだと思っています。

 しかし、日本企業の99%は中小企業であると言われています。業種業態によってばらつきはあるものの、売上高比0.1%以上を攻めのDX投資とすることは難しい気もしています。

 そもそもなぜ0.1%なのか?という点についてですが、日本企業の年間IT投資額がだいたい1%前後が平均と言われており、そのうちの1割を攻めのDX投資に回してもらいたい、という考えによって0.1%と定められたようです。

 現在私が個人としてお手伝いをさせてもらっている地方のとある企業では、そもそもの年間IT投資額は1%すら無く、下手すると0.05%ぐらいしか無いです。(どこまでを年間IT投資に含めるのか?もありますが)

 つまり、中小零細企業にとっては敷居の高いままの制度なのではないかと感じています。しかし、昔ながらの企業さんにとってはかなり高いハードルではあるものの、そのハードルを乗り越えて新しいことにチャレンジしていかないと未来は無いし、今以上の成長は見込めないということなのだと思います。

 そのハードルを越える伴走者が自分であり、ハードルの超え方やハードルを越える意味を一緒に考えて以下なればならないと、今回の問い合わせを契機に考えさせられました。

 DX減税は難しいかもしれませんが、DX認定だけは取得してみたいと思います。現在少しずつ書きはじめているので、もしもお困りの企業さんいらっしゃったら連絡くだされば、お手伝いいたします。


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