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≪読書感想文≫『住宅建築 NO.507』特集 都市と郊外の居場所 建物と緑がつくり出す都市の棲家 天神町place

note担当が『住宅建築 No.507』を読み、「建物に住む=まちに住む」とは何なのか考えてみました。
面白かった、興味を持った、そんな記事や本に出合ったら、ぜひシェアして教えてください!


「特集 都市と郊外の居場所 建物と緑がつくり出す都市の棲家 天神町place」このまちに住むとは?

ゆっくり時間を過ごせる中庭、いいなあ

天神町placeが建つのは、東京都文京区。近くには学問の神様”菅原道真公”を祀っている湯島天満宮(通称・湯島天神)があります。
数年前、湯島天満宮の初詣に挑戦しようと思ったことがあったのですが、途中まで行って参拝客の多さに気圧され、寒いなか並ぶ根性がなくお参りせずに帰ってしまいました。思い出したら悔しくなってきたのでいつかリベンジしたいです。
Google mapを使って場所を確認すると、昔よく行ったカフェの近くだということも分かり、天神町placeの位置関係が頭の中の地図でもつながりました。

天神町placeが建つエリアは、マンションやビルが立ち並びます。そのため、通り沿いの外観だけを見たら周囲に建つマンションと変わりなく、特に変わった印象を与えないのでしょう。ですが一歩敷地に踏み込むと建物の印象が一気に変わるのです。

メインエントランスを抜けた先、地下1階に下る階段を進むと、中庭の全容が見渡せます。
中庭から建物を見上げると目に入るのは、ゆるやかなカーブを描く馬蹄形の建物とその形に切り取られた空。吹き抜けのため、サーッと風が通り抜けていく。誌面からはそんな情景がイメージできます。
とても気持ちよさそう。ベンチに座り、しばらく雲の動きを目で追いながらぼーっと過ごしてみたいです。

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建築と緑がつくり出す都市の棲家 天神町place 設計=伊藤博之建築設計事務所
写真=小川重雄

まちと建物は連続している?

設計された伊藤博之建築設計事務所の伊藤氏は、記事でこう話します。

一般的な集合住宅では、住戸のみならず、共用部も同じ形が反復されるため、自分の家がどこにあるのかだけでなく、自分が今どこにいるのかも分かりにくい。住宅街においては、住まいは、そこにしかない風景の中に位置づけられるのが普通であるのに対して、集合住宅の建物の中に入ってから自分の住戸までは、固有性を欠いたブラックボックスとでも言えそうな経験のものが多い。(中略)それぞれの住戸を、まちから連続する空間把握の中に位置づけることを目指している。<この建物に住む>ことが、<このまちに住む>ことと同様の意味を持つような建物が理想である。

引用:特集 都市と郊外の居場所 建物と緑がつくり出す都市の棲家 天神町place
「ここに住むということ」伊藤博之 

本記事を読んで、私の住むまちと建物について考えてみました。
私は集合住宅に住んでいます。いわゆる、共用部と呼ばれる部分は固有性を欠いた、ありきたりなものですね。
まちと建物の連続性を自身の生活になぞったとき、共用部を通りながら、ポロポロとまちの音や温度を意識から落とし、視覚から得る記憶の風景を緑から無機質な壁に上書きしていく感覚を持ちました。そして、玄関をくぐり扉を閉めれば、外(まち)と内(住戸・部屋)を無意識のうちに分断してしまっているのです。
ということは、今の住まいの状態はまちと住戸が連続しているとは言い難いですね。

住む場所を探すときには自然や利便性などの周辺環境について調べるけれど、それはそれ。環境と建物・部屋の中は完全に別物として捉えていました。

今号を読んで、空間の捉え方や住む場所について、まちや住居、共用部の役割という点で新たな視点を得ました。次に家を探す際は、まちと住戸の連続性という点に重きをおいてみても面白そうです。

みなさんはこれまで、まちと住居の空間が連続していると感じたことはありますか? 今号を読んで感じた、あなたが考えるまちと住まいの関係性や理想を教えてください。


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雑誌の概要

書 名:住宅建築No.507(2024年10月号)
著 者:建築思潮研究所 編
発行日:2024年8月19日
価 格:2,860円(税込)


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