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日常生活に支障の出ない恋愛なんかしたって何の意味もない

って友達が言ったのを聞いてから、ずっと胸に残ってる。
確か大学を卒業するかしないかくらいの、26歳(は?)くらいの時に聞いた気がする。

当時は「いや支障出しちゃダメでしょ」なんて冷静に思いながら、
でも僕の大学生活なんて、最初から支障に支障を重ねて構成されてるようなもので、

ろくに大学に行かずに大学8年生。
千葉のクソ田舎で野菜を育てながら、
これ以上何がどうなったら支障なんだって思いながら、
でも実はそんな風に身を焦がすような、
全部がどうでもいいって思えるような、
そんな恋愛をしてみたいな、なんて女子高生みたいに思ってた。
女子高生がそう思ってるかは知らないけど。

で。


恥ずかしながら、今実際にそんな恋をしてみたら

怖い。とにかく怖い。

自分は自分だけの価値観に従って生きてる、って思ってて、それはこれまでも、これからもそうだって思ってたんだけど、

いざ大事な存在ができてみると、

これまで大事にしてたはずの優先順位がどんどん、どんどん更新されていって

僕の幸せはあなたが幸せなことです、なんて思うと、
あなたの幸せは僕が幸せであることだったりして循環参照でエラー吐く。


僕は僕なりに、何が正しいか、何が美しいか考えながら、こだわりながら生きてきたつもりだったけど

彼女が正しい、美しいとしてるような価値観を
僕はあっという間に内面化してしまって

僕の価値観と彼女の価値観(だと僕が思ってるもの)がドロドロに溶け合ってまざりあって

というか侵食されて

染み出す、とか止揚する、とか、
そういうかわいいレベルじゃなくて

何が正しくて何が美しくて、という基準が
一気にわからなくなってゆく。塗り変わっていく。

もともと僕が、何を、なぜ正しいと思っていたのかも分からなくなって
実際は塗り変わってゆく感覚もないまま変容してゆく。

気がついたら大事にしているこの価値観が、僕が元々持っていたものなのか、それとも彼女のものなのか、それともそのどちらでもなくて、僕が僕の中に作り上げたものなのか。
分からないまま、それを大事に守ることを愛だと信じて守り続けるマシーンのようになっている。

たぶん新興宗教の洗脳とかってこうやってすすんでいくんだろうなあ、って思いながら
なぜかそれを喜んでる自分がいることにも気づく。


でも

大事なものを守るためには、その周辺のものこそ大事にしなければいけないというジレンマ

例えば何を捨ててでも大事にしたい人ができたとして、

この人を幸せにするためなら、会社なんて、家族なんて、友達なんてどうでもいいんです。って思ったりするんだけど。

でも現実的に考えると、
会社なんてどうでもいいのでとにかく毎日早く帰って会いに行きます!なんてことをしてると給料は増えない(最悪減る)わけで。

給料が増えないと、今日は外で食べようか、なんて日が減ったりとか、
記念日に買えてたはずのプレゼントのひとつも買えなくなっちゃったり、

というかそもそも、
そんな風に仕事を蔑ろにしてまで彼女に会いにいくひとは、
彼女にとって魅力的なんだろうか?なんて思ったり。

日々過ごして変わっていく自分を、成長していく自分を見せたくても、

男子三日会わざれば、なんて言うけども、
一日も空かないなら刮目すべき箇所もきっとなくって、昨日の自分と同じ自分を日々見せ続けることになる。


だから何かを大事にしたいと思ったとき、
むしろそれ以外の時間を精一杯過ごさないとそれは叶わない。という事に気づく。

で、思うのは。

これって多分、「大事な人」に限った話ではないのでは、ということ

…いや分かんないんだけど、例えば仕事がとても大事、だとしたら、仕事をしていないときに仕事の示唆を得ることなんて腐るほどあって。

僕が自転車に乗って、そこで得たスタンスやアイデアが仕事に生きるということがあるように、

いつもは会社の人と飲んでるけど、ひさびさに会った高校の同級生とか、友達経由でたまたま会った他業種の人との会話から思わぬ視野の広がりを得るように、

人生にはきっと、何か一つのものを一面的に見つめるだけでは得られない考えがたくさんあって。

だから結局、色んなものを見て、触って、聞いて、

この人が、じゃなくて、会社が、じゃなくて

自分自身がそれをどう思うのか、美醜でも善悪でも、分かんなくても
僕がとにかく、何に触れて、それをどう感じるかに自覚的になるということは

自分という人間が幸せに生きてゆき、大事な人たちも幸せにするためにはすごく大切なことなんじゃないかって思ってる。

#コラム #エッセイ #価値観 #結婚

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