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インターネットの前身、Junetへの接続

常時接続型のインターネットで世界のあらゆる場所がつながる前、World Wide Web などのサービスが始まる前、日本国内には、大学等の機関をつなぐ、Junet と呼ばれるネットワークがありました。主な用途は、電子メールやネットニュースでした。各機関が相互にUUCPポーリングして、バケツリレー式に転送を繰り返す方法です。当時は、postmaster という名前の管理者がそれぞれの機関にいました。

1990年頃、つくば市内の研究所(現在の(国)物質・材料研究機構の前身、科学技術庁金属材料技術研究所)で、この Junet につながっておらず、電子メール等も使えない状態にありました。1991年、私は先輩の老研究者と一緒に、この接続のための活動に乗り出し、その技術的な内容を主に担当しました。私は、いまでは死語のような postmaster 、まさに研究所の初代postmaster になりました。

市内のある別の研究所との接続に至るまでの記録を当時、私は書いていました。それをスキャナで読み取ったもの、ほぼそのまま、以下に掲載します。30年近く経つと、メールとか、ニュースとか、こんなに変わるのだという隔世の感がありますね。技術上の注目点なども、現代とはまるで違っており、興味深いです。

スキャナのOCR不調の部分があるかもしれません。気が付いたら、その都度、修正したいと思います。

------------ ここから 1992年2月のレポート --------

1. はじめに

現代はまさにコンビュータネットーワークの時代である(注 30年前でさえ、そう思っていたようである)。研究内容について電子メールあるいはニュースグループで議論しあい、論文投稿も電子メールで行うというのは、既に現在でも行われているし、将来ますます盛んになるであろうことはまず疑い得ない。最近、当研究所の計算機もJunetに加入する運びとなった。これにより、園内及び海外との計算機との間でのメールのやりとりを含むネットワーキングが可能になる。

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