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成功者が嫌な人になってしまう心理的な理由

クリエイティビティは最も求められている能力


私たちは創造性を高く評価します。斬新で有用なアイデア、ソリューション、または製品を生み出すことが、イノベーションを促進し、競合他社との差別化を図るからです。

例えば、1,500人を超えるグローバル企業のリーダーを対象にした世界的な調査でも、創造性がリーダーが持つべき最も重要な素質であると報告されています。

ただし、創造性を発揮することには欠点もあります。この心理を理解しておかないと、場合によっては創造性が個人や組織をダメにしてしまうことにもつながります。


創造性が高いと不誠実になる


研究によると、創造的な人々は革新的なアイデアを思いつくことに長けていますが、一方で人に嫌われるような道徳的に疑わしい行動をとる可能性も高いことがわかっています。

デューク大学のダン・アリエリーとハーバード・ビジネス・スクールのフランチェスカ・ジーノ博士らの研究は、創造的な人たちが不誠実な行いを合理化する能力に長けていることがわかりました。

つまり、既存の概念から逸脱して「一般的な枠の外で考える」ことは、不誠実で非倫理的な行動につながる可能性があるのです。

成功者の性格が悪くなる心理的な理由


さらに、2015年に行われたシラキュース大学ホイットマン経営大学院のリン・C・ヴィンセント、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院のマリアム・コウチャキ博士らの研究から、私たちは自分を創造的な人物であると認識することで、より不誠実な性格になっていく可能性があることがわかりました。

このような心理が生まれる理由は、創造性が特別な才能として社会から賞賛されることが多いからです。

高い創造性は類い稀な才能であるという考え方は、創造的な人たちが「自分は他の人よりも優秀な存在である」と見なすように促してしまうのです。

特別扱いされることで強化される心理


この心理は権威を持つリーダーが、創造的な人々を特別な扱いをすることでさらに強化されます。

例えば、他の従業員にある制限やルールが優秀な人にはなかったり、特別な賞与が与えられるなどをした場合です。

アップルを創業したスティーブ・ジョブズは、メルセデスベンツを障碍者用の駐車場に駐車し、ナンバープレートなしで運転する習慣さえありました。彼の悪い話は他にもありますが。

このように、クリエイティビティは社会的な成功につながる一方で、ルール違反にもつながるのです。


悪さをしやすい人を調べた実験


先ほど紹介したシラキュース大学とノースウェスタン大学の研究では、自分自身を創造的だと思っている人々が、いつ、あるいは何を理由にして不正行為を行うようになるのかを調べるために実験を行いました。

この実験では、131人を対象に4つのグループに分けて行われました。

一つ目のグループには、これまでの自分が創造的な方法で問題を解決したときのことに3つ思い出すように依頼しました。

これにより、自分たちを創造的な人々と見なすように操作しました(クリエイティブなグループ)。

もう一つのグループには、論理的な方法で問題を解決したときのことを3つ思い出すように依頼しました(論理的なグループ)。

次に、2つのグループを半分に分けて、片方のグループには「自分が他の人よりも多くの報酬を得るべきだと感じる理由」、もう片方には「自分が他の人よりも多くの報酬を得る必要がないと感じる理由」について書いてもらいました。

つまり、次のような4つのグループに分けたのです。

自分がクリエイティブかつ、クリエイティブな人は報酬を多く受け取るべきだと考えるグループ
自分がクリエイティブかつ、クリエイティブだからと言って報酬を多く受け取るべきではないと考えるグループ
自分が論理的で、クリエイティブな人は報酬を多く受け取るべきだと考えるグループ
自分が論理的で、クリエイティブだからと言って報酬を多く受け取るべきではないと考えるグループ


成功者を特別扱いする人は6倍の悪さをする


その後、全員に数学の問題を解いてもらい、問題の正答数に応じて報酬が支払われました。このときの答え合わせは自己チェック制で、誰にも監視されていない状況でした。

つまり、実験参加者がずるをしやすい状況を意図的に作ったのですね。

すると、「自分はもっと多くの報酬をもらうべきだ」と思わせたクリエイティブなグループは嘘をついて正答数を水増し、「自分はもっと多くの報酬をもらうべきではない」と思わせたクリエイティブなグループの6倍ものお金を得たのです。

そして、嘘をついたクリエイティブなグループは、嘘をついた論理的なグループと比べて、1.75倍以上多くの報酬を手に入れました。

創造性が悪事と結びつくときの心理的条件


この研究結果は、単にその人が創造的であることが問題になるのではないことを示唆しています。

つまり、クリエイティビティが不正直な行動につながるのは、「創造的な人であれば、ずるをしても構わない」という考え方と一緒になったときなのです。面白い結果ですね。

というわけで、クリエイティブな人を特別扱いするのは企業でも個人でもやめた方がいいようです。覚えておいてください。

→元記事はこちら:https://kruchoro.com/creative-dishonest

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