見出し画像

ナナルイ事業計画のこと

 きょうはナナルイの代表じゃない方が書きます。
 前回、事業計画について触れました。noteを書くために久しぶりに読み返してみると、「意外に頑張ってますねナナルイさん」と思わず笑ってしまいました。

 創業動機は、才能豊かな自分の周りの人たちに対して、出版物を発行することで利益を還元したい、というものでした。本が売れない中、読書だけでなく「体験」をセットにして本を売りたいと。そのためには出版業だけでなく、カフェや書店とセットになったスペースが必要だと考えました。また、読書体験を豊かにするための本関連グッズも開発したい、と書かれていました。
 1年間に2000部の本を3、4冊出すと、いくらの利益を出して、それで経営が安定する。「なるほどな」と思う一方で、出版を重ねる中で体感として分かってきた数字でもあります。やっぱり、はじめにある程度シミュレーションすることは大事ですね。早くこの数字を超えていきたいものです。

 まだ実現できていないこと、ナナルイのスペースをつくることなど、数年以内にはやりたいと思います。収支計画や資金繰りなどは、ほぼ絵に描いた餅でしたが、わからないなりにExcelシートにまとめていました。前回書いたスタートアップハブの先生の指導を受けたのですが、先生は「鉛筆なめなめ」と昭和な言い回しで、「仮の数字を記載してくれたらいい」と言ってくれました。このアプローチが、実際に計画を形にする大きな助けとなりました。

 会社の登記のこともついでに書いておきます。まず会社名や事業目的などを決めます。次に法人印を作成します。慌ててネットで注文しました。でも出来は上々。立派な印鑑ケースと印鑑には「ナナルイ」という文字が円を取り囲むように彫られていました。見せられないのが残念です。

 定款の定型文を読み込み、自分の行う事業の要素を盛り込んで作成しました。自分はアナログでやってしまいましたが、電子定款での作成の方がお得のようです。紙の定款に比べて収入印紙代の4万円が不要なので、安く作成できます。出資金は1円でも可能ですが、それだと法人口座が作れないなど、信用が得られにくいので、それなりの金額は必要です。設立登記申請書を作成し、法務局に提出します。

 起業したいけど、面倒かな?と思っている方へ、ナナルイでもできたので誰でもできます。ぜひチャレンジしてみてください。行政書士に頼むと楽なようですが、自分でやってみるのも一興です。

 ナナルイの社是としては、stay smallという考えでやっています。設立当時にTO DOをまとめたホワイトボードにはサインペンの文字が掠れ気味ですが、いまも「stay small」と記されています。

 事業規模の拡大は目指さず、小さな規模でやっていく大切さや面白さ、そして小さなコミュニティを大切にすることの重要性を実感しています。小さな規模だからこそ、一人ひとりの声が反映され、地域や人々との深い繋がりを築けるのです。弱肉強食の戦いに勝つというより、今の厳しい時代に適応しサバイブしようと思っています。

 進化論では、哺乳類の祖先は巨大な恐竜の陰で生き延び、環境に適応しながら進化してきました。ビジネスにおいても同様に、環境の変化に適応し、柔軟に対応することが重要です。特に現代のビジネス環境は急速に変化しており、その中で生き残るためには「適応と分散」が鍵となります。本業の方では支社長が代わり、そのあいさつで「これからは適応と分散が大事だ」と述べていました。普段なら会社の偉い人の話は聞き流す方ですが、この時はナナルイの事に置き換えて、ひとり納得していました。


小さな出版社が生き抜くには、この環境に適応していくしかないし、分散型の戦略を立てないといけません。具体的には独立書店とひとり出版社のような小出版社とコラボしていくのがますます重要になってくるし、現況ではそれが一番の希望だと思います。実際、ここ10年で小規模出版社の数は増加しています。2010年から2020年までの間に、小規模出版社の数は約30%増加しました(出典:日本出版協会「出版年鑑」)。

同じように、独立書店も増えています。「2021年で79店、2022年で56店、2023年には106店もの店が開店している」(『さあ、本屋をはじめよう』和氣正幸著)。この和氣さんの本で紹介している、蟹ブックス、機械書房、フラヌール書店など、話題の書店もここ数年でオープンした店ばかりです。都市部では、独立書店が文化の中心地として再評価されています。これにより、小さな出版社と独立書店のネットワークが広がり、これからお互いに支え合う関係を築いていけると感じています。

 独立書店のコミュニティにつながっていきたい。1店舗で20冊、30冊売っていただいた書店さんもあります。そういう書店さんひとつひとつとのつながりを大切にして、リゾーム(根茎)のように全国につながっていけたらと思います。リゾームとは、地下で広がる根茎のように、各ポイントが対等に繋がり合い、階層的ではなく横断的に広がるネットワークを意味します。

 まだ出版記念イベントや展示をやるぐらいしかできていませんが、進んでいる話も少しあります。進展があったらまたご報告します。きょうはここまで。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?