軽快なリズムを刻むおじいちゃんに出会った話
またまた、仕事帰りの道中。
短い橋を渡って、路地に入る角に差し掛かったときに、前方から見知らぬおじいちゃんが、カートを押して歩いているのが見えた。
カートは小さいベビーカーみたいで、年配の方御用達のよく見るアレだ。
調べたら、”シルバーカー”と言うらしい。
ベビーカーに始まり、シルバーカーに終わる。歳を重ねると赤子に返っていくとか言うが、移動手段もどうやら同じように戻るのだと感じた。
その角を左に曲がると、少し遅れておじいちゃんも同じ路地に入ってきたようだ。
後ろからおじいちゃんの、ふぅとか、はぁ、といった息遣いが聞こえる。
意識をおじいちゃんの方に向けると、聞こえてくるのはいきづかいだけではないことがわかった。
「よっいっしょっ、よっいっしょ。」
気合の入ったヨイショが聞こえた。
「ほっ、ほっ、ほほほ。よいしょっ、よっいっしょ。ほっ、ほっ、ほほほっ。」
その次は、ヨイショの合間に軽快なリズムを刻み始めてきた。
ヨイショはわかるが、ほっほっほほほ はなんや。なんのリズムだ。
何故か私もつられて、そのリズムに合わせるように歩いていた。
おじいちゃんの指揮によって私は踊らされていた。
おじいちゃんは、自分で自分を励まして、歩いていたのかもしれない。
軽快なリズムにすることで、少しでも足取りを軽くしようとしていたのかもしれない。
いろいろ考えながらおじいちゃんのリズムを聞いているうちに、私は自宅の前に着いた。
結果として、おじいちゃんのその後を見届けることはできなかった。
それでも自分で自分を励ますのはいいことだなと、おじいちゃんからなにかぼんやりとしたヒントを得たような気がした。(おじいちゃんが本当に励ましていたかはわからないけど。)
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