【北欧旅行記】DAY6-7:船に乗って、エストニア・タリンへ
旅も後半。今日から1泊2日でエストニアに小旅行へ。
ヘルシンキの港から、エストニアの首都・タリンまでは船で2時間ほど。13時間もかけて海外に来たのだから、せっかくならばもう1ヵ国くらい行ってみたい。シリヤラインという大きな客船に乗れることもあり、乗り物好きの息子が喜んでくれるかな~という思いもあった。いや大人も、この船旅が楽しみだった。だって、なかなか乗れないじゃない、大きな船なんて!
いくつものカフェやレストラン、フィンランドよりもさらにお得に買い物できると噂の免税店も充実していると聞いて、ワクワク。エストニアはフィンランドより物価も安い。タリン旅行は、お買い物旅行になるかもしれない、なんて(フィンランド人はエストニアにスーツケースを持って行ってビールを箱買いして帰ってくるらしい)。
トラムに乗って、WestTarminal2という港に向かう。途中、キラキラと降りそそぐ朝陽がまぶしく綺麗だった。
全面ガラス張りのターミナル。窓の向こうから、私たちが乗る船が迫ってくるのがありありと見えて、息子は「むかえにきたんじゃない?あれ、〇〇君たちが乗る船だよね!!?」と大興奮。
船内に入ってみると、ホテルのロビーのようだった。角の丸い大きな窓、テーブルや椅子が並び、カフェカウンターと小さな免税店が最初に。先に乗船した人たちはすでに窓際の席に座っていて、よき席はもう埋まっちゃったかなと、奥の席が空いてることに淡い期待を抱きながら奥に進んでいく。子どもの遊び場ゾーンを目指して。
船によって遊び場のかたちは違うらしく、どんな感じかな~と探していたらあった!写真にはないけれど、滑り台もあったり、ビデオが流れていたり、揺れる馬のおもちゃが4,5体あったり、結構広々。見つけた瞬間、息子は駆け出して遊びに行った。そして、すぐそばにファミリー優先の窓際席を見つけて嬉しい。
と、ここまで書いて、船内の写真をほとんど撮っていなかったことに気づいた。もうちょっと撮っておけばよかった。ジュースを飲んだり、遊んだり、お買い物をしたりで、2時間はあっという間。船は揺れることもなく、それどころか本当に動いてる!?と思うほど静かに、なめらかに海を走り続けた。
間もなく着くかなという頃、甲板へ。エストニアは旧市街地のイメージが強かったけれど、見る方角を変えれば高層ビルが立ち並んでいて、街の開発真っ最中という感じ。そのコントラストに、少し驚く。
陸近くではカモメが飛び交い、もうすぐ着くよー!と教えてくれているようだった。降りた瞬間、空気が生温い。というか、ちょっと暑いくらい。エストニアには、春がきていた。
船を堪能した息子が昼寝をしてしまったので、ひとまずホテルへチェックインすることに。今回の旅行、唯一のホテル泊。旅の疲れもあるかなと思い、バスタブのあるちょっといい部屋を予約していた。
そして、タリンの散策へ出発。友達に「絶対行くべき!」とおすすめしてもらったパン屋を目指して、少し郊外へ。
おすすめしてもらったパン屋さんがあったのは、コプリ地区。およそ100年ほど前までは、おもちゃやおしゃぶり、靴などを生産する一大産業の街として栄えたそう。その拠点であったPõhjala(ポヒャラ)工場の跡地を活用し、コミュニティセンターとして今は機能しているらしい。
というのは、実は今調べて知ったこと。行った時は、工場は開いていなくて、なんだか新しいクラフト系の動きがありそうだな……?と思いながら、通り過ぎただけだった。そして、目当てだったパン屋さんはなんと休業日!(完全に確認ミス……)
とはいえ、パン屋さん以外にも行きたいと思っていたコーヒー焙煎所や子ども用品店は開いていたので、そちらへ。ホッ。
焙煎所でコーヒーを頼むときに、豆だけでなく、淹れ方のバリエーションがいくつもあって感激。そして、物価がやっぱり安い。でも、今は3ユーロだと500円くらいか。となると日本のスペシャルティコーヒー一杯とはそんなに変わらない気もする。豆の種類によるかな。ともあれ、円の安さを感じた瞬間。
ドリップの仕方は飲みなれたV60でとオーダーした。バリスタさんにおすすめを聞いたら、「好みは人それぞれだから、おすすめは難しい」と言われたのも思い出。
子ども用品店は、とっても可愛いアイテムがたくさんあったのだけれど、わが子にはちょっと遅かった……!サイズが合わず、女の子ものが多かったこともあり購入には至らず。が、夫氏が木製の車のおもちゃなどを気にしている様子であった。(息子が起きてたら絶対遊んでいただろう)
予定より短い滞在時間で、旧市街地へ戻る。
筒型の外壁に、赤いとんがり帽のような屋根の建物が並ぶ旧市街の街並み。中世ヨーロッパの趣が残り、道はレンガでベビーカーを押すにはちょっと大変だった。
広場のところでお昼ごはん。エストニア料理って何かよくわからなかったというのもあり、ピザが食べたいという息子の希望でイタリアンレストランへ。
お昼を食べてからは、そのまま旧市街をふらふらと。木工製品のお土産やさんをよく見かけた。スプーンもフォークもヘラもコップも、使うもの全部木製にしたら見映えは良さそうだけど、衛生面や口当たり(主に分厚そう)のことを考えると、いまいちその選択はできないまま。挟むように使える形が使いやすそうな、ニシンのモチーフの鍋つかみだけを買った。
タリンの旧市街地は、魔女の宅急便のモデルのひとつでもある。時計台からの景色を見たくて、旧市街地を登っていく。重たくなってきた足をぐいぐいと上げながら、いくつかの目的の場所をまわった。
気づけば、辺りが暗くなっていた。夜ごはんを食べに入ったお店は、物語の世界のようだった。テーブルに置かれたローソクがゆらゆらと揺れ、店内の灯りは少ない。肩の部分が少し膨らんだブラウスに、白いエプロンを纏ったウェイトレスのお姉さんは美女と野獣にでてきそう。トイレに向かう廊下は、ハリー・ポッターのホグワーツの廊下を彷彿させるほの暗さで、ディメンターのような謎の像もあり、少しだけこわかった。疲れもあいまって、デザートのクレームブリュレと、ベリーのジュースだけを食べて早めに退散。
ホテルに着いてすぐ、バスタブにお湯を張る。お風呂に入れる!と喜びを味わう余裕がないくらい、ちょっとヘトヘトになってしまったタリン1日目。夫は特に、早く眠った。
息子が寝てからのひとり時間、スマホでエストニアの歴史について調べた。ヘルシンキからたった2時間でこれる場所だけど、街や人から感じる雰囲気はまるで違う。ウクライナの国旗をよくみる。歴史を刻んだ石婢には、いつだか忘れてしまったけれど、たしかに未来の西暦が描かれていて、その意味を考える。1991年まで、ロシアに侵略されていたエストニア。今起きているロシア・ウクライナの戦争に、心が落ち着かない人は少なくいのだろうなと想像だけは試みる。今日の街は、出会った人々は、日常を送っていた。
翌朝。
今日の朝ごはんはホテルビュッフェ。この旅いちばんの贅沢朝ごはんに、期待して会場へ向かう。
今回の北欧滞在で一番食べたものは何と聞かれたら、きっとサーモンだ。ここでも、もちろん。野菜のお惣菜やいろんな種類のチーズ、フルーツなどなど、彩り鮮やかに並んでいた。フルーツエスプレッソなるものがあって気になり飲んでみたら……すっぱい!笑
チェックアウトを済まして、街にでかける。石畳のガタガタをベビーカーで走るのが逆にしんどいことがわかったので、2日目は置いていくことにした。これで、楽になるといいけど……
昨日は昼寝をしていた息子、ヘルシンキとは違うデザインのトラムに乗れるのが嬉しそう。船のことは、一旦忘れてくれたようでよかった。
昨日は定休日だったパン屋へ、営業日を念入りにチェックして、今日こそは!とリベンジに向かう。「ダントツ美味しかった!」と言われていたので、どうしても食べたかったのです。
トラムに乗ると、通学するたくさんの子どもたちを見かけた。白く大きな時計があるいかにも学校の形をした建物だけじゃなくて、途中、スーパーマーケットのような建物にワイワイおしゃべりしながら向かうグループ、校庭で過ごしている子どもたちも見かけた。平日の街並み。
旧市街地からトラムで30分ほど、コプリ地区アゲイン。今日はコーヒー焙煎所がおやすみで、昨日来ておいたのも無駄じゃなかったよと自分に言い聞かせる。
どうしても行きたかったのは「karjasesai」というお店。中に入ると、香ばしく甘いパンの香りが店内いっぱいに満ちていて、あぁ、来てよかった!!!
ショーウィンドウに並ぶ、クロワッサンの層の美しいこと。迷わずクロワッサン、ではなく、パン・オ・ショコラ(夫はチョコ好き)と、ビスケット生地がのったクロワッサンみたいなのをチョイス。息子にはりんごジュースと、私は本日のフィルターコーヒーを注文した。
空は快晴。すっかり気温も上がり、春の陽気が嬉しくって、テラスで食べようと外に出る。ほどなくして、リベイクしてもらったパンとドリンクが運ばれてきた。分厚めのガラスカップにりんごジュースが、白いコーヒーカップにコーヒーがなみなみに注がれていて、こぼれないように慎重になる。
待っていましたこの絶対おいしいに違いないこのパンを…!と口にいれると、パリパリッ。外側から順番に、パンが食べられる音がした。クッキー生地がのったパンにもチョコレートが入っていて、その甘さが幸せ。
そして、ここで飲んだコーヒーが、私の中で旅一番のベストコーヒーになるとは……!オレンジのような酸味がジューシー、スッキリとした飲み心地が好みだった。残念ながらその豆は終売していたけれど、同じ焙煎所のシングルオリジンコーヒーを二つ、お土産に買った。機会があればまた飲みたい。
旧市街地の方に戻り、昨日見定めておいたお土産やさんを巡る。ひとつ、ふたつ、みっつほど回ったところで、この旅の相棒だったラプアンカンクリのレンガ色のショール(とそのポケットにはいった赤い手袋)を、どこかに置き忘れてきたことに気づく。あまりに暖かくて、どこかにひょいと置いたままになっているんだ、一体どこに……。
立ち寄ったお店をまわるも見つからない。今朝からの写真を見返してみるとパン屋が濃厚説だけど、帰りの船の時間を考えると戻るのは難しい。思い出もまとった私のショールを、エストニアのどこかに置いていくのは悲しい。それでも、船を変更はできない。
「見つからないなら、きっと誰かが着けてくれてるんだよ」と夫は言ったけど、いや私が一番身につけたいわ。
なくなくショールはいったん諦め、街の散策を楽しむことに。家族写真などを撮るなどして、船に向かった。
前日に買ったトラムの1日乗車券の期限が切れたので、帰りは船のターミナルまで15分ほど歩くことに。旧市街地も工事をしていたり、ターミナルに近づくにつれビルのような建物が増えたり。街の開発をする様子は、日本でよく見る駅前開発に似ていた。
帰りの船も、往路と同じくマイスター号。でも、遊び場はちょっとこじんまり。16時半ごろの明るい日暮れ、強すぎる陽射しを浴びながら船はヘルシンキへ出発。おそめのお昼ごはんを食べて、お買い物をして、2時間の船旅は帰りもやっぱりあっという間だった。
▼今回の北欧旅行記はこちらのマガジンでまとめています
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