67. どちらにしようか天の神

キウイとパイナップルどっちが好きかと次男に聞かれて、絶妙な組み合わせだなと感心し、よく考えてパイナップルにした。理由はでっかいから。

次男はキウイと答え、理由は今食べていて美味しいからとのこと。短絡的で素晴らしい。
それぐらいのスピード感で好き嫌いを決めていきたいものだ。

その後に「すずしい」と「あったかい」はどっちが好き？と聞かれてううむと唸った。
キウイとパイナップルを超えてくる素晴らしい選択肢だ。
「春と秋どっちが好き？」に似ているけれど、もっとなんとういうか、生理的に訴えかけてくる何かがある。今朝の次男は2択質問王だな。

これまでの人生のすずしい・あったかい場面が思い出されてどちらもものすごく幸福な気分になり、すぐに選べないと言ったら、これは次男もすぐ選べないそうだ。

隣で長男が「私は絶対に涼しい。寒いと涼しいが好きで暑いとあったかいは大嫌いなんだ。なぜなら汗をかくから」と早口で言っていて、オタクっぽいなと思った。

朝ごはんは納豆オムレツやブロッコリー。
次男は「昨日、食パンを目玉焼きの黄身につけて食べればよかった」と今日の朝ごはんを食べながら昨日の朝ごはんを思い出して後悔していた。

登校しながら長男に、昨日カエルが道で潰れてたの見た？と聞くと「見たよ。カエル壊れてたね」と言った。
生き物を壊れるというのが、なんともメンタル不健康キャラのようで、実際はド天然のくせにな、とギャップがおかしかった。

生き物は壊れるとは、普通は、言わないんだよ、と教えた。

仕事は穏やかだ。
穏やかすぎるのがバレないように必死で来月のことを考えた。

途中、ドバッと雨が降ってすぐ晴れていた。
日本の梅雨は変わったな。
夫から時間差で「雨降った！洗濯物は無事！」とLINEがあり、家に人がいるありがたみを噛み締めた。

うちの会社は、どうやらそろそろ、もとの就業時間に戻るとか戻らないとか。
なんの臆面もなく言うと、上半期一の「嫌だなぁ」だ。無理を承知で選ばせてくれと言いたい。

次男と「指の大冒険(指が壁や花壇を走って落ちたりしないようにする」をしながら帰る。

夜ご飯は、夫の仙台土産「いちご煮」の缶詰で炊いたご飯に大葉とイクラをのせたもの。
盆と正月とクリスマスと誕生日、みたいな豪華な炊き込みご飯になった。

あの次男も完食し、誇らしげに空っぽのお皿を掲げていた。

そのあとは皆、ゲームをしたりYouTubeを見たり、私はゴールデンカムイをもう一度読み直して、もう一度笑ったり震えたりした。

子どもが寝たあとはNetflixで『ル・ポールのドラァグレース　シーズン13』を見て活力を補充した。

ドラァグクイーンの華やかなランウェイは、自分らしく生きるために努力し、闘ってきた人たちが「私を見て！」と胸を張る姿に、純粋な感動をおぼえる。