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ゆっくり届く年賀状

「今日も年賀状、届いたよー。」
「ほんと?」
「うん、みねこさんからだよ。」
「見せてー。」

今日は快晴のお手本のような青空が広がって気持ちのいい昼下がりです。
もう松の内も明けていますが、こざるカフェには毎日 年賀状が届いています。

「りこちゃんの友人達は、りこちゃんと同じように80代の人が多くて、
年が明けて届いた年賀状に、ゆっくり返事を書いて出す人もいるんだよ。」
「その年賀状が、昨日辺りから届き始めているんだ。」
「本来、年賀状は、年が明けてから書いて出したものだからね。」

本当は 何も年末に焦って書いて出すこともないのですよね。

「ゆっくりとその人のことを思い浮かべて、一枚一枚、丁寧に自分の言葉を書いて出すのが理想だなぁ。」
「毎年、そうしたいって思っているんだよねー。」
皆、うんうん頷きます。
そう思いながら、毎年、焦って走り書きをして出すことになってしまっています。

「りこちゃんの友人達は、病気でもう年賀状を書けなくなってしまった人もいるし、
施設に入っている人もいるし、元気でも そう頻繁にホイホイと会えるわけではないけれど、
でも こうして今も年賀状だけでも毎年やりとりしているのって、縁なんだよね。」
「そうだねー、何十年も前に出会って今もこうして続いている人達、出会った縁だよね。」

りこちゃんが中学生の時の同級生もいます。
もう何年も会っていませんが、一枚の年賀状に書かれた短い文章の中に、
深い友情が感じられます。

「とってもありがたいね。」
「うん、本当にありがたいよね。」

こうして長い間、やりとりをしている年賀状を見ていると、
りこちゃんの人生、多くの人達に支えられているのだと気づきます。

「そろそろ おやつにしようかな?」
「うん!」
「りこちゃんに、そろそろ おやつにしよう!って言ってくるねー。」

こざるちゃんが、りこちゃんの部屋へ向かいます。

「りこちゃーん、おやつの時間だよ! 今日のおやつは、プリンだよ! 一緒に食べよう!」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
一日毎に寒暖差が大きい毎日ですので、どうぞ皆様、ご自愛ください。
よい毎日でありますように (^_^)

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