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小さな幸せ

「うん、そうだよね。」
「小さな幸せ、そうそう。」
「うんうん。」

今日も りこちゃんとこざる達は いつものように
楽しくワイワイお喋りしながら、 皆で一緒に夕飯を食べて、
食後のお茶を飲みました。

りこちゃんは、笑顔のまま眠りについて、クークー寝ています。
こざる達は、賑やかにお喋りしながら いつものコーヒータイムです。

「この前、録画した番組を見ているんだ。」

こざる達が見ているのは、NHKの「ドキュメント72時間」です。

「ちょうど 訪問看護師さんをやったんだよ。」

先週の放送は、「訪問看護師 街をゆく」というタイトルで、
東京、東久留米市の訪問看護ステーションを取り上げていました。

「りこちゃんも、訪問看護を受けていて、毎週 訪問看護師さんが来てくれるんだ。」
「バイタルとって、聴診器で心臓の音を聞いて、りこちゃんの様子を診てくれて、
ストレッチしたり、ちょっと運動したりするんだよ。」
「食いしん坊の りこちゃんに、食べ物の話もしてくれるよ。」

この前、あれ食べたとか、こういう食べ物が今、流行っているとか、
どこどこの名物は あの食べ物だとかですね。

「りこちゃんは、目を輝かせて うんうん頷いて聞いているんだ。」
「ウトウトしていても、看護師さんが来ると 嬉しくて起きるんだよ。」

番組では、幼児からお年寄りまで、
年代も病気も様々な患者さんと、訪問看護師さんが登場します。

来月、初めての旅行に行くという脳性麻痺の4歳の男の子、
「伊豆です!」と弾む声で言うお母さんは、とっても嬉しそうです。

ALSのお母さんを介護して11年目という娘さんの穏やかな笑顔、
若い頃、祐次郎に似ていたと言われて照れる90代のおじいさんの笑顔、
生まれた時に呼吸が上手くできず、脳に障害が残った20代の青年は、
訪問看護師さんが来てくれるようになって、次第に笑顔が増えていったそうです。

お母さんが言います。
「にっこり笑ってくれるのが、彼のその人に対する"ありがとう"なので、
やっぱり笑い顔がいっぱいある時が 一番嬉しいな、よかったって思います。
だから笑い顔がたくさん出る生活にしておいてあげたいなって思います。」
そして、スースーと寝ている息子さんを見て、
「穏やかな寝息だわ」と、穏やかな笑顔で言います。

りこちゃんも、スースーと穏やかな寝息をたてて寝ていると、
こざる達も、安心して とっても嬉しくなります。

「看護師さんが来てくれて、皆、笑顔だね。」
「看護師さんが来てくれると、大丈夫っていう安心感があるんだよね。」
「そうだよ、ぼく達も来てくれると いつも安心するし、嬉しいよね。」
皆、うんうん頷きます。

その人にとっての小さな幸せを一緒に見つけられたらいいなと思う。
そんなことを看護師さんの1人が言っていました。

「小さな幸せって、本当は大きな幸せなんだよね。」
「そうだね、本当にそうだよ。」

皆、一日一日を とても大切に、精一杯生きています。

ラジオから伸びやかな歌声が聴こえてきます。

「でもね
あぁ あの日 生まれ 名前が あるから
あぁ 父が 母が そばに いるから
あなたに誇れる愛はある 照らしてみせてよ」

Superflyの『Gifts』です。

「でもね
あぁ 聴きたい 歌や 声が あるから
あぁ 泣いた 本や 映画が あるから
あなたを導く夢はある 照らしてみせてよ」


「コーヒーのお代わり淹れて、もう一度、見ようよ。」
「うん、そうしよう!」


「ほらね
あぁ 強く まるい 心が あるから
輝くはずさ
涙に負けない あなたが生まれてゆく
春も夏も秋冬も ぐるぐると巡ってく」


「サツマイモのクッキーも食べようよ。」
「うん!」
りこちゃんと同じく こざる達も食いしん坊です。


「そうだ
あぁ 行きたい 国や 街が あるから
あぁ 食べたい おかずと ごはんが あるから」

こざるカフェは、今日も
ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
この「ドキュメント72時間」は再放送があります。
9月28日(土)午前11時25分からです。
よい毎日でありますように (^_^)

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