無駄なものはない

正月も４日目となりました。
こざるカフェの周りも、人通りが増えたような気がします。

「大晦日や元旦は しーんとしていたけど、昨日 今日と、出かけていた人たちが帰って来ているんだね。」
「今日は土曜日だけど、もう普通の週末だよ。」
「あっという間だねー。」

そんな１月４日の昼下がりです。
りこちゃんと こざる達は一緒にお昼ごはんを食べて、
そして のんびりとお茶を飲んでいます。

「まだ黒豆あるよー。」
「栗きんとんもあるよ。」
「蒲鉾も、伊達巻きもあるよ。」

皆で、残っているお節をつまみながら、ジャズを聴いています。
先日、ラジオで放送した番組の配信サービスなのですが、
ブルーノートのSP盤を蓄音機で聴くのです。

「蓄音機って、大昔のレコードプレーヤーだよね。」
「そうだよ、大きなチューリップみたいなスピーカーがついているんだよ。」

ブルーノートのSP盤を蓄音機でかける、なんて素晴らしい企画なのでしょう。
ラジオから、味わいのある曲が次々と流れてきます。

「あー、とってもいいねー!」
「これって、昔のだよね?」
「うん、でもちっとも古さを感じないよ。」
「蓄音機だって古いよね?」
「りこちゃんのレコードプレーヤーより、ずっと古いよー。」

りこちゃんのレコードプレーヤーも昔のものです。
持っているレコードも、有名なものではなく、コレクションとして高値で売買できるものではありませんが、
どれもいい曲がたくさん入っています。
りこちゃんが若い頃に、お金を貯めて買ったものです。
今でも、皆で よく聴きます。
雑音が入ったりしますが、それもまたいいのです。

「昔のレコードの音って、とっても優しいね。」
「暖かみがある音色だよ。」
「耳に心地いいなぁ。」
「りこちゃんのレコードもそうだけど、雑音が またいいんだよ。」
皆、うんうん頷きます。

「技術的には、音源は今の方が比べ物にならないくらい レベルが高いはずなのにね。」
「クリア過ぎるんじゃないかな?」
「雑音がないから?」
「そうかもしれないね、雑音のような無駄な音を消して、クリアで美しいはずなんだけどね。」

無駄なものを全て省くと、必要なものも省いてしまうということでしょうか。

「無駄だと思っているものも、無駄じゃないってことなんじゃない?」
「よく人生に無駄なことはないって言うもんね。」
こざるちゃんが、ちょっと得意そうに言います。

「りこちゃんも、よく言ってたよね?」
その りこちゃんは、いい音楽とこざる達のおしゃべりをBGMに
気持ち良さそうにウトウトしています。

こざるちゃんは、りこちゃんに そっとブランケットをかけます。
りこちゃんは うんうん頷いています。

「ちょっとコーヒー、淹れて来ようかな。」
こざるちゃんが立ち上がって、台所へ向かいます。

コーヒーの用意をします。
いい香りがしてきます。

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
明日は もう5日なんですね、早いです。
よい毎日でありますように (^_^)