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天平からの時の流れは ゆっくりと


昼間は強く吹いていた風も 夜には止みました。
世の中は、いろいろと慌ただしくなっていますが、外は静かで穏やかで、
空には月と 金星が明るく輝いています。

今日も こざる達は 一緒に暮らしている人間のおばあさんの りこちゃんと一緒に
いつものように 楽しく夕飯を食べました。
そして のんびりと 先週 録画しておいた『美の壷』を見ながら、食後のお茶を飲んでいます。

「先週は、りこちゃんも、ぼく達も大好きな奈良だったんだ。」

『古都・奈良の鄙び』です。

「りこちゃんは、奈良や京都が大好きで、旅行に何度も行って、ぼく達も新幹線に乗って一緒に行ったこともあるんだよ。」
「今回の番組は、りこちゃんが奈良で特に大好きな場所を ちょうど取り上げていたんだ。」
りこちゃんも、こざる達も嬉しそうに うんうん頷きます。

「りこちゃんが大好きな場所は、東大寺境内の 二月堂に向かう 土塀が続く裏参道なんだ。」

それは土肌があらわになった土塀で、昔の職人さんの手仕事が見えるのです。
りこちゃんの大好きな場所で、こざる達も一緒に歩きました。
とても静かで、ゆっくりゆっくり、時が流れていきます。

「もちろん奈良は空も大きく広く広がっていて、この裏参道を歩いていると、
昔からの時間が そのまま今につながっているのを感じるんだよ。」

番組では、2015年に東京から移住した、音楽家のスティーヴ・エトウさんが、
この場所を案内してくれています。
"東京の壊しては作りというサイクルが自分には疲れてきてしまって、ならば千年前の塔が未だにちゃんと建っている町に来た方がいいかなと思って移住しました。"
と、穏やかに話すスティーヴさんに、
皆、うんうん頷きます。

そして二月堂からの夕焼け、遠くに連なる山々、空に浮かぶ雲、
本当に絵のように、絵よりも美しく壮大で、優しく包み込んでくれるような眺め。

「昔の人も、きっと同じ夕焼けを眺めていたんだよね。」
「そうだね、その眺めを今も見ることができるって、本当に素晴らしいよ。」

豊かさとは、こういうことを言うのかもしれません。

「今度、奈良に行った時には、こういう風に二月堂から夕焼けを眺めたいねー。」
「うん、そうだね、そうしようよ!」
皆、うんうん頷きます。

折角 奈良に来たのだから あちこち行きたいので、夕方は いつもちょうど移動でバタバタしていて
のんびりと夕焼けを眺めていませんでした。

「ちょっとお茶のお代わり、淹れてくるねー。」
「お願いねー。」

こざるちゃんは台所で ラジオをつけて、お茶の準備をします。
ラジオから、ゆっくりと 美しいピアノの旋律が聴こえてきます。

「『トロイメライ』だ!」
こざるちゃんが呟きます。
「りこちゃんの古いレコードに入っているから知ってるよ。」

こざるちゃんは お茶を淹れながら、うっとりと聴いています。

「昔から ずっと残っているものって、時の流れをゆっくりしてくれるようで いいなぁ。」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
いろいろなことに注意しないとならない今ですが、焦らず、落ち着いて 過ごすようにと思います。
よい毎日でありますように (^_^)

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