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撮影ジャーニーマップと撮影サイクル

写真の楽しさには色々ありますが、皆さんは「どの瞬間のために写真を撮っていますか?」

まずは撮影体験を整理するために基本となるジャーニーマップを確認しておきましょう。

あまり細かくは書き込んでいませんが、物事の基本ワークフローに沿った流れです。特徴的なのが、それぞれの段階でピークを持つユーザーがいるということです。

3つの体験のピーク

<撮影計画・準備にワクワクする>
色々な場所に行ったり風景を見たりすることが好きで、雑誌やWebの写真を見て「行ってみたい」「撮ってみたい」と計画し、それに必要な機材や知識を揃えることが楽しいと思うユーザーがいます。

まだ撮影していない写真を想像して、レンズを購入する人もここの住人といえます。撮影に行っても機材のテストの意味合いが強く、SNSでの発信も機材紹介(自慢)になったりします。

<撮影実行にワクワクする>
カメラUIに一番要求が高い人がここの住人です。撮りたいと思った被写体が上手く撮れなかったり、イメージ通りになっていないときに、その撮影現場でどうにか答えを見つけて達成する喜びを感じるユーザーです。

小さな成功体験を味わいながら、その中で出会う「撮れなかったもの」が残像として心に残ってしまい、より難しい状況で撮影したくなったり、何度も撮影にいくようになります。

<写真活用にワクワクする>
写真は自分を表現するための手段と考え、写真を使った様々なコミュニケーションをおこなうユーザーです。

(ちょっと盛った)自分を表現した満足できる写真が撮れ、それをSNSなどで見てもらい、「いいね!」が沢山もらえると嬉しかったり、コメントのやりとりによって自分の世界が広がることが嬉しい人たちです。



撮影サイクルとUIアーキテクチャ

ジャーニーマップの一般的な書式として左から右にタイムライン型で書きましたが、撮影UXはサイクル型で考えた方が理解しやすくなります。

特に最近は、後半に来る写真活用を動機として撮影計画や撮影実行の価値が高まるという構造になっているからです。

下記の図は、サイクル型の撮影UXを、スマホアプリとそのサービス上で流通するコンテンツ(写真/フォトレシピ)によって実現するというアーキテクチャの一つです。

このような環境をカメラメーカーが提供することで、ジャーニーマップの範囲全体にUIアーキテクチャを対応させることができると考えています。


そしてこのジャーニーマップの構造は写真が誕生したときから全く変化していません

新しくなっているのは、全てのフェーズで情報量が多くなり、スピードが速くなったことで、情報密度が上がり、ある意味でリッチになったことです。

その代わりにもしかしたら一つ一つの行為のUX価値が小さくなっていたり、写真一枚一枚の価値が小さくなっている可能性は高く、アプリのサービスをどのように設計していくか思想が問われていくことになりそうです。

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このように目的と手段が強いコンテキストで結ばれていて、各ステップが相互に目的と手段の関係を持てていることはカメラ業界、写真業界、SNS業界にとって大変良い状況です。

上手く連携のサイクルをまわすことができれば、より体験価値を高めることができるからです。


フォトライフを豊かにする

体験の3つのピークは独立して高めることはできません。それぞれ充実させていくことで、自分が一番ワクワクするピークを高くすることができるのです。

実際には、時間や金銭面で全てを充実させることは難しいため、3つのピークを高めていくサイクルを回せる人は少数派です。

ただそのサイクルが始まれば、人生がより豊かになり、そこから派生するチャンスを得ることもできます。

最初に高価なカメラやレンズを売るのではなく、ユーザーが作ってくれるフォトレシピを流通させ、撮影意欲(動機や欲求)を高めていくだけであれば、メーカーもユーザーも大きな費用負担はありません。

結果として、カメラやレンズが売れ、ユーザーも価値ある写真が手に入れば、みんなが幸せになれるはずです。

それが「フォトライフ」のコンセプトなのです。


<追記>
撮影実行UXに関する続編を書きました。ぜひ読んでみてください。



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