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転職支援におけるAIの活用は意外と限定的かもしれない

記憶する限り、5年前には転職支援でのAI活用が叫ばれていて、今後の転職支援はAIに取って代わるかのような話も出ていました。

ただ現時点ではどうもそんな感じがしません。

それどころか、求人を紹介しないでキャリア相談だけを提供するキャリアコーチングサービスが少しずつ出てきています。
転職市場はAIが活発なデジタルな市場ではなく、ますます人が介在するアナログな市場になってきた気さえします。

転職に限りませんが、いまの社会はアクセスできる情報量があまりに多すぎて、単純な判断を下すことが難しくなっています。

一時期は、キュレーションサイト(まとめサイト)が人気になって、その後はインフルエンサーの発信が人気になったような流れを感じています。そして今では、自分にマッチする個別の情報を求めるニーズがますます高くなってきているような肌感覚です。転職市場も似たような流れなのかもしれません。


話は変わりますが、デジタル分野で発達しているものといえば個人的には広告がまず思い浮かびます。

閲覧したサイトやいくつかの個人情報を加味して、表示される広告がパーソナライズされる技術は、この10年間で大幅に進化してきました。

一方で、近頃だと「広告に追跡されるのが気持ち悪い」といった声もあり、トラッキングさせないような設定もできるようになりました。
こうした扱われ方をみると、端的に言って、広告は嫌われ者です。

自分にマッチした広告が届くこと自体は悪いことじゃないはずです。遠くにある通わないスーパーのチラシよりも近所のよく通うスーパーのチラシが届いた方が嬉しいです。

にも関わらずこれだけ広告が嫌われるのは、デジタルに提供される情報にはある種の気持ち悪さがあるのではないでしょうか。


デジタル広告と同じように、求人情報をAIが提供してくれたとして。

もちろん一定の効果はあるでしょう。
特に同業界同職種での、いわゆる競合他社への転職においては、AIの求人選定精度は高く、さらには転職希望者にとっても、ほぼ想定した通りの求人が届くわけなので、そこまで違和感はないでしょう。

しかし、成功可能性が低い未経験業界や未経験職種へのチャレンジングな転職や、選択肢が多すぎる第二新卒の転職、母数の少ない事業責任者級のハイクラス転職では、AIの精度は高くなりにくそうです。
しかも転職希望者にとっては、「なぜその求人を紹介されるのか」がいまいち納得できずに腑に落ちないことが多くなります。

転職市場においてAIが活躍してくれるのは、競合へのわかりやすいステップアップ転職の場合にどうやら限られるように思います。

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