北海道の道東各地で色濃く“暮らす”女性たちが集まった初めてのイベント「道東女子会」レポート
果てしないくらい希望や可能性を持つ道東で生きる女性たちが本音で語り合った1日
北海道の東地域「道東」。
札幌圏や旭川、函館などの人気観光地に比べて、人口も少なく酪農や漁業などの第一次産業が中心で、人の手がいまだに入っていない圧倒的な大自然に囲まれている地域。
裏を返せばインフラ整備や情報技術をはじめとして、時代に取り残された場所とも言えます。
一方で十勝、釧路、根室地方を合わせると2万5000㎢にも及ぶ広大な土地は、東京都がすっぽりと10個以上入ってしまう広さ。
この広い土地の中では隣町まで120キロなんて普通のこと、住んでいる人たちは平気で日帰りしちゃうのも“当たり前”の距離。
初めて訪れた人にはクラクラするような距離感覚!とよく言われます。
素晴らしい環境やこの土地ならではの文化がありながら、なかなか活かしきれていないなど課題も多く、なんとか地域の活性化を図ろうとしている人も一部には見られますが、全体での意識共有にはまだまだ至っていないのが現実です。
そんな道東の各地でがんばっている女性たちに集まってもらい、ひとりでは難しいことも何人かが集まればできることが広がるのではないかとの思いから、この「道東女子会」が実現しました。
第一回目は彼女たちの街に対する思いや人との関係性、さらには道東でやりたいことなどをおおいに語り合っていただきました。
地元に対する低すぎる評価「何もない」を変えて行くには、小さなことから少しずつ
集まったメンバーは
川畑真帆(帯広市)
浦山夏帆(弟子屈町)
佐脇星(羅臼町)
赤間有美子(釧路市)
相座聖美(釧路市)
本間千明樹(釧路市)
井口舞子(根室市)
ムラタアイコ(根室市・主催)
こやまけいこ(根室市・主催)
初めましてのメンバーも多かったため、まずはそれぞれの自己紹介と自分が住んでいる街の課題からスタート。
各地の課題については、おもに次のような点が挙げられました。
・街づくりが人任せになっている
・移住者と地元の人との交流が少ない
・弱者支援では支援する側もされる側にも意識の問題がある
・女性の起業や当たり前の生活を営むことが難しい社会
・格差・貧困・孤立化
・家がない
・地元に対する低すぎる評価「何もない」=地元を知らなすぎる
特に地元に対する低すぎる評価「何もない」=地元を知らなすぎるという点は、全ての参加者の住む街に共通した課題でした。
そこでどのように地元の人とうまく関わり合いながら、その地域の良さや可能性を理解してもらい、街づくりに参加してもらえるか、というテーマで話が展開していきました。
良かれと思ってやってきたことに対しての地元の人からの手痛い評価など厳しい体験談も紹介され、地元の人と同じ温度で街づくりをしていくことの難しさがあらためて実感させられました。
街づくりは地元の人の理解がなく進められるものではなく、やはり時間をかけてできることから少しずつ進めていくことが重要なのではないかとの意見がありました。
若い女性に対する「異性」「結婚」問題のプレッシャー
また若手の女性からはこんな悩みも打ち明けられました。
・異性と友達になれない
お付き合いするしない以前に、たくさん友達を作ってコミュニケートを図りたいという意図のはずが友達になろうとすると「付き合ってるのか」とすぐに勘繰られること。
また、その街にずっと住み続けることを望まれることにプレッシャーを感じるという人もいました。ずっと住み続けることには「結婚して」ということも含まれ、21世紀を生きる人たちにとって、とても居心地の悪い状態が相変わらず起きているようですね。
誰と友達になろうとも付き合おうとも、結婚してもしなくても、これは完全にプライベートでそしてとても繊細なこと。
そっと見守ることが大人の対応ではないかと思われます。
道東には世界に誇る大自然がある! そんな自然を生かした未来を作れないか
続いて道東地域でどんなことをやってみたいか、それぞれが思い描く将来像を発表しました。
羅臼町の佐脇さんからは、アメリカのケースをベースにした道東全域でのツアーを開発できないかという提案。
グランドサークルと呼ばれるアメリカ西部の8つの国立公園と16の国定公園が含まれた半径230キロに広がる公園群で、グランド・キャニオンやモニュメントバレーなど日本でも有名な観光地を有しています。
この道東には世界自然遺産知床をはじめとして、阿寒摩周国立公園、釧路湿原などの国立公園と厚岸や野付風連湖などの北海道立公園、さらに霧多布湿原や別寒辺牛湿原などのラムサール条約登録湿地などがあり、これらを結ぶ壮大で胸躍る「道東グランドサークル」構想です。
これが実現できたら素晴らしいですね!なんとか実現する方法はないかな。
次回の道東女子会でも取り上げたいテーマです。
また今回、女性や障害者へのサポートを行っている道東のプロフェッショナルにも参加していただき、日本の社会全体でもまだまだ足りない支援や、動きがどうしても遅くなりがちな行政との折衝などのお話も勉強になりました。
行政と一緒に課題解決していくことはとても大事なことですが意識統一の壁を感じることが多いのも事実。
でもその壁を突破していこうと言う(株)うつくしろ代表の相座さんの力強い声もあり、道東の未来に光を感じさせていただきました。
そのためにも近い将来この地域の勢力図が変わるかも⁉ ある意味、時代と共にそこが変わっていくことも自然であり必須なことかもしれません。
その他にも
・地域おこし協力隊の結束を固めてさらに街の情報発信に力を入れていく
・女性特有のガン経験者によるガンになっても“楽”にサバイブするための啓発活動
・地域の課題解決のためのハブとなるメディア作りを目指す
・行政と市民との距離を縮め本音で語り合う街づくりを実現する
・地域に住む“人”に特化したメディアを作り道東地域の魅力を伝える
など様々な想いをうかがうことができました。
そして道東の魅力について。
これには誰一人として異論はなく、それは「世界に誇る自然」でした。
北海道の中でもこの道東の自然は、もしかしたら残された唯一の本物の自然なのかもしれません。野生の動植物と人とが生き生きと共生してきた歴史。その中にはアイヌの人たちの豊かな文化も含まれています。
これらが今の道東の姿をかたどっているのですね。
誰もが認める宝物の自然をどのようにして守り続け、今後も人とうまく共存していくことができるのでしょうか。また、この自然をもっと多くの人に届けるために、そのためのルール作りや環境整備は欠かせない課題になってきます。
道東はあふれる魅力と可能性、それと同じくらい課題に満ちている場所です。
いつの日か良い解決方法を見つけられるように、今後も道東女子会でテーマアップしていきたいと思いました。
今回は初回ということ、またつたない進行役(ワタクシ)ということもあり、予定の時間を大幅にオーバーしてしまったため、もっともっと具体的なお話をみなさんとしたかったのですが、いったんここで終了となりました。
開始から4時間を過ぎてもまだまだ話したりないみなさん。日をまたいで談笑が続きます。
今回はゲストハウス「ネムロマン」にたくさんご協力をいただきました。ありがとうございました。
また参加してくださったみなさんにも根室まで来ていただき、お互いに課題と将来像を共有し、そしてみなさんがつながってくれたこと本当にありがとうございました!
終了後はみなさんから、次は私の街でやりたい!とお声がけしていただけて、とてもとても嬉しかったです。
「道東女子会」は今後もどこかの街で必ず続けていきたいと考えています!
いつの日か「道東女子会」がメインの役割を持ち、この地域のために何かできたらいいなと思います。
実現しよう!
ライター:こやまけいこ
主催:ネムロsnipers
場所:ゲストハウス ネムロマン
開催日時:2022年4月2日
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