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気づけなかったもの『センス・オブ・ワンダー』を読んで

子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。

『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン/上遠恵子 訳)


母を失った甥のロジャーと共に暮らしていたレイチェルは、ロジャーが赤ちゃんの頃から自然の中に連れ出し探検にでかけていました。一緒に探検を楽しむことによってロジャーは様々な生き物に興味を持ち美しいものを発見します。

レイチェルは、「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」が倦怠や幻滅などに対する解毒剤になると述べています。

日常生活の中で私は、世界のなにもかもがつまらないような感覚になることがあります。そんな生活を続けていました。
しかし、この本を読んだ後、私は久しぶりに鳥の鳴き声を聞いた気がしました。毎日聞いているはずですが、今まで気づくことがなかったのです。さらによく聞いてみると鳴き声には様々な種類があり、美しい鳴き声を持つ多様な鳥たちと共に暮らしていたのだと気づきます。
外に出てみると、いつも歩いているつまらなかった道には豊かな土があり、は虫類が素早く駆ける音や葉が擦れ合う音がします。たっぷりと若葉を抱えた木々は日光を纏って輝き、とても新鮮な響きを感じました。
見える世界が変わる読書体験とはまさにこういうことでしょう。
世界がつまらないなんてことはあり得ない。この本からはそういう気づきを得ることができます。

この本では、失ってしまったセンス・オブ・ワンダーを取り戻すための方法についても書かれています。
また、自然の鮮やかさやその驚きを描写する美しいレイチェルの文章(と上遠の翻訳)にも注目してほしいです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
次回は峯澤典子の詩集「微熱期」の書評を書く予定です。

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