若者の酢豚
数日前、「若者の酢豚」というのを思いついたのですが、だから何?と言われればそれまでなので自分なりに温めておいたところ、今夜の晩御飯が酢豚でした。
夏の終わりに思い出す夏が好きです。あほみたいに直射してくる太陽、ぶんぶん五月蝿いから五月蝿いは八月蚊いと書くことにしたいくらいに八月蚊い蚊、汗のおかげで湿ったマスク。現在進行形の夏は目の前にあるすぐにでも対処せねばならない魔物を相手にしていたら終わってしまうわけですが、そんな夏が思い出してみると、あら不思議、あなただけを愛し続けていたり、四六時中も好きと言ってみたり、大好きなあのコと海ではしゃいだり、お酒呑んで体寄せ合ったり、プラトニックにお茶したり、なんか、そういう淡い所だけ掬い取って「それが夏だった」みたいにできるではありませんか。
自分のことなのに夏の終わりになれば、あんなことがあった夏が全部、他人事になるのです。私はそういう、他人事の夏が好きです。夏の終わりはそういう、他人事な夏の歌が流れるから、他人事なのにまるで自分のことのように思えて涙が止まらなくなります。
今日は番組用の選曲をしておりまして、まず、やはりフジファブリックの「若者のすべて」を聴くわけです。若者で無くなった今、前よりも若者のすべてて何やねんと思うのですが、まぶた閉じて浮かべてみたら、やっぱり涙が出てくるんです。何を浮かべようが、こちらの勝手です。最後の花火なんていつのことだっただろうか。
続きましてはミスターチルドレンの「君がいた夏」。私世代はクロスロードやイノセントワールドの入ってる『アトミックハート』を買ったあとに既発の作品を遡っていき、最後にデビューミニアルバム『エブリシング』に行き着いて、「君がいた夏」のサビ終盤の「何も変わらないー」の「いー」をカラオケでおもいきり外したりするわけです。「いー」を外した分だけ、女心を読み外すというのは昔からよく言われることなんですけれども、私なんかはそうやって、いまだに親切の押し売りをしたりするたびに人知れずため息をついています。
3曲目は桑田佳祐「可愛いミーナ」。
これがまた、たまらんわけですが、「どうせ遊びなら捨てられたほうが好き」なんて、一度でいいから言ってみたいセリフNo.1じゃないかしら。ちなみに一度でいいから言われてみたいセリフNo.1は「電気消して、、、」です。桑田さんの歌詞は、モテない男を開き直らせたり、君なりのモテ方があるんやで!と教えてくれたりするんですが、やっぱりあの人、基本的にはモテる男なんですよね。到底私なんぞには辿り着けないポジションを夢想させてくれる悦びがあります。
ここで桑田佳祐を聴いてしまったが最期です。夏の終わりの曲を聴いていくつもりが、季節を夏に巻き戻し、「希望の轍」「真夏の果実」「ホテルパシフィック」なんかを立て続けに聴いていき、やがて「マンピーのG★SPOT」「シュラバ・ラ・バンバ」「ミス・ブランニューデイ」と季節感の無い曲を聴くにいたり、最後はやっぱり夏に戻って「みんなのうた」を聴いてみたら、2番のサビで「いつの日かこの場所で会えるならやり直そう」って歌ってるんですが、今日はそれが、「バンド」のことを歌っているみたいに聞こえまして、さっき、まぶた閉じて浮かべていた昔一緒にバンドやってたギターのあいつを思い出して、また泣いた。ごめんなさい。私は今、かとちゃんのことを話したくて話したくて仕方ありません。申し訳ないです。
#令和3年8月23日 #コラム #エッセイ #日記
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