続:高島屋T8で1人目の客になれた話
京都ワイナリー四条河原町醸造にて、美味しいぶどうジュースをいただきながらお店のお姉さんと話をする。
「1人目の客になるのを趣味にしていましてね」
「これまでにもいろんなお店の1人目になってはるんですか」
「こないだ大丸のレストランがオープンしたでしょう。あそこの蕎麦のよしむらの1人目も私ですよ」
そう得意気に話す私はこれまで解決してきた難事件について話す古畑任三郎のようであった。
「しかしあれだけの行列やから1人目にはなれないと思ってました」
「皆さん、上に行かれるんですから地下は大丈夫ですよ。今朝は8時40分頃に出勤してきましたけど、その頃には1人目のお客さん、椅子用意して座って待機してはりましたね」
「私も8時20分には並んでましたがもう60人目くらいでした」
「地下ならまだ他の店もいけると思いますよ」
この短時間で私の意図を汲み取りアドバイスまでしてくださるとは、このお姉さん、只者ではない。
「普段は11時オープンですけど、今日はもう10時から開いてますよ。でも10時から餃子とか食べませんよね。だからまだお客さんは入ってないと思います」
10時からワインを売ってる店の人のお言葉とは思えないが、的を射てはいる。急いでぶどうジュースを飲み干して他店へと向かう私の背中にお姉さんの「ありがとうございました、またお待ちしています」の声。お姉さんがいるのなら、必ずまた来るよ。
お隣の餃子の歩兵のスタッフに「歩兵や無しに大関とか横綱にしたらよかったんちゃうか」と絡んでいるお爺さんがいた。それ、将棋やなしに相撲や。
君子危うきに近寄らず。
歩兵の隣の味味香にもまだ誰も客がいない。
「僕、1人目ですかね?」
「はい」
若い男性スタッフの照れたような微笑みがたまらない。
令和5年10月17日、午前10時、高島屋T8地下1階にオープンした味味香の1人目の客は私です。
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