見出し画像

誠光社大好きですねん

河原町丸太町の交差点を東へ、一筋目だったか二筋目だったか忘れましたが、とにかく銭湯のある通りを北へ少し上がると「誠光社」があります。

私のような底の浅い見栄っ張りは、入店するだけで「オレは今、文化レベルが上がった」と思ってしまう知的好奇心をくすぐり放題くすぐられる書店です。

学生の頃、はじめて一乗寺の恵文社に入った時に同じようなことを感じたのを思い出します。忘れもしない、私はあの日、澁澤龍彦先生の『世界悪女物語』を買ったのでした。肝心の本の内容は覚えていませんが、あれを恵文社で買ったことは、はっきり覚えています。あの店は(今もありますが)入店して本を買うだけでも文化経験値をアップさせてくれる魔法の場所でした。三島由紀夫の『レター教室』や『命売ります』なんかも恵文社で買ったような気がします。

あの恵文社の魔力が誠光社にもあると思います。私の予想では本棚への本の陳列の仕方に相当凝っているはず。棚を左から右へ(右から左でもいいけど)一冊ずつチェックしていくと、途中で「ぬおお!」と思わせてくれます。なんで2番に清原やねん!みたいな。しかも清原、セカンドやん!みたいな。そういう面白さがあります。あれは、かなり計算しているんじゃないかしらっていうことを想像するだけでも楽しい書店です。この際、この想像が正しいかどうかは別にどうでもいいことなんです。

店内を一周すると、必ず数冊、時には十数冊、あるいは数十冊、買いたい本が見つかりますが、懐事情とも相談せねばならないですから、ぐるぐる頭を回転させて、苦渋の決断で一冊選んで買って帰ります。全部活かしたいけど、尺の都合でどうしてもどこかをカットしなければならない収録番組のようです。
ちょっと体が熱くなります。一周するうちに体温が37.5以上になってしまうかもしれません。

多和田葉子さんの『地球にちりばめられて』を購入したのが2ヶ月ほど前です。この本の登場人物たちの言語を探す旅のようにして、誠光社では本を探す旅をしているような気がします。今月初めに訪れた時は、久しぶりに店主の堀部さんにお会いしました。堀部さんも以前、番組にゲスト出演していただいたことがありますが、こちらはマスクもしているし、もう、1年以上経っているし、同じ頃にゲスト出演していただいたレティシア書房の小西さんも私のことは忘れていたし、堀部さんも忘れているだろうと思い、こちらからは声を掛けずにただの客としてお会計を済ませたら、堀部さんが「以前、お世話になりましたよね」と話しかけてくださり、誤解を恐れずに書くならば、私はキュンとしてしまいました。

「覚えていただいていて嬉しいです」とお答えすると「独特の雰囲気ですから」とお返しになったものですから、ああ、こんなところにも魔法があったと思いながら店を出ました。

#令和3年11月17日  #コラム #日記 #エッセイ
#note日記  #毎日更新 #毎日note
#京都  #京都の書店 #京都の本屋さん
#誠光社  #ジャミロワクイ #ジャミロ涌井

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?