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駅前散策日記 JR西九条駅編

 「JRの駅の近くには必ず本を買える店がある」を証明すべく、知らない駅を降りてお散歩するという企画、転じて「JRの駅を降りて本屋が見つかるまで歩く」という企画、今日は職場のある弁天町駅のお隣、西九条駅へ降り立ちました。

 降りたところ、ユニバーサルシティ方面行きの電車が待機していてキュンとなる。昔は年パス持ってたので暇さえあればUSJに行きました。ろくにエンターテインメントの無い田舎に育った私にとってUSJは夢の世界でしたので「でもディズニーに一回行ったらUSJなんてしょぼいって思っちゃうんだよねー」とか言う奴のことをどうしてくれようこのスカタンと思った記憶まで蘇ってしまいました。このUSJに不足を感じるAさんが太平洋沿岸の出身で、熱海の魚は旨いとおっしゃったところ、日本海沿いの生まれのBさんに「正直、日本海の魚に慣れてたら太平洋の魚なんて食えないよ」と言われてめちゃくちゃ怒っていたことも思い出しました。自分のことは見えないものなのだ。

 前回、芦原橋駅では心斎橋まで歩いてようやくBOOKOFFを見つけたわけなんですが、西九条駅は改札を出て左に折れたらすぐにフランスだかイタリアだかの旗の色合いに似てるロゴがかわいい田村書店という本屋さんが見つかりました。見つけるまで少し苦労するだろうと思っていたらすぐに見つかりすぎたので拍子抜けです。かぐや姫に求婚したら「まー、別にいいですけど」って言われた感じといえばわかりやすいでしょうか、わかりにくいでしょうか。

 田村書店は入口に古本とCD、DVDが売られておりまして、古本だけ物色したんですが、古本はBOOKOFFの100円コーナーで目が肥えてしまっているので、さっき思い出したディズニーマウントちゃんに倣うならば「うーん、BOOKOFFの100円コーナーに慣れちゃったらこの程度の古本に150円は出せないなー」と言う感じなのでありましたが、もちろん口には出していません。まあ、ここに書いてしまった以上、私もディズニーマウントちゃんや日本海マウントちゃんと同じです。そういえば聞いてもいないのに私のよく行く映画館のことを酷評したり、サブスクでは音質がよくないから絶対に聴きませんとか言ってくるおじさんもいる。

 田村書店は最近絶滅危惧種といってもいい街のよくある本屋さんの典型で、一通り雑誌はあるし、漫画も置いてあるし、参考書やゲームの攻略本、料理本なんかも充実していて、新刊本はまとめてある。ただ、手広く揃ってある反面、品揃えはコンドームなら喜ばれそうな薄さでして、例えば漫画は新刊しか売ってなかったり、雑誌も文芸誌は無かったり。とはいえ、こんな書き方をしていますが田村書店の品揃えが悪いのではなく、私が欲しい本がたまたま無かっただけです。これは例えば「普段紀伊國屋書店に行き慣れてるから田村書店では満足できなくて」などという紀伊國屋マウントちゃんになってしまったら私は終わりです。書店っていうのは、そういうんじゃないんです。正直私は大阪市立の学校の試験問題集とかが並んでる棚を眺めて熱くなったりもしておりました。ただ、今日私の買いたい本が無かっただけです。今日は私、前にJR二条駅前ビビ二条の大垣書店に売っていなかった『チ。』の7巻と、本日が発売日の『文學界』1月号を買うつもりしておりましたのに、その両方が無かったものですから、思わず「なんでやねん!」のイントネーションで「フォンデアライエン!」と叫んでしまいました。国際派かつ知性派な私なのです。

 子がハマっているマインクラフトの攻略本みたいなやつを買ってもいいかな、と思ったんですが、別に読みたくないしなーと父ではなく男の顔がそれを拒み、悩んだ挙句、先程脳内BOOKOFFマウントでスルーした表の古本から川端康成を選んで購入。まさか文豪も令和の時代に敗戦処理的にうだつのあがらない42歳に買われるとは思ってもみないでしょう。古都も読んだし、雪国も読んでるから、おおめに見てやってくれたまえ。

文豪ちゃんを150円で



 文豪の小説を150円で入手した私は、すっかり節約モードとなり、昼飯は西九条の美味しい店を探すつもりでいたのですが、駅前の立ち食い蕎麦屋で済ませました。京都駅のホームにもある麗しの「麺屋」さんでございます。かけそば大盛りおにぎり二つと私なりに贅沢をして旅気分を盛り上げました。京都駅のよりもそばがそばっぽかったな。まあ、偉そうなことを言うとするなら合格点ですね。

文豪ちゃんを4冊買えるくらいの昼飯贅沢

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