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6月3日〜8日の新聞各紙歌壇俳壇チェック

6月3日 日経歌壇より
●紅梅を一枝活けて花見する酒は二合のきさらぎの夜

ええなあ。どうせ家で呑むならこういう様式美にこだわり抜きたい。

●紫蘇ジュース夏限定のスタジアムメニューが並び始める五月

選者の穂村弘さんいわく音読すると「紫蘇ジュース」と「スタジアム」が響き合っているようだ。との評を読み、確かに!と唸った。

6月3日 日経俳壇より
●ぶらんこや老いとは長き紙芝居

おじいになってからブランコに乗ったら長い紙芝居みたいなんかなー。

●かたつぶり君も魚座でO型か

かたつぶりへの共感。何に共感してるのかはわからん。

6月4日 朝日歌壇より
●戦中の産めよ殖やせよ思ひ出づ少子化対策と呼称変はれど

なんか気持ち悪いというか、違和感あるよなーと思ってた正体がこれやった。

●姉ったら恋の話もオープンでとうとう父は出かけていった

妹の恋の話でさえ聞いていられなかったのに父が娘の、と思うとそれはやっぱりきついやろ。

●将来の夢問う声に口つぐみ18歳の秘めたる決意

確固たる夢があるけどまだ口にできない。口にした途端に泡と消えそうな気がするから。

●えほんではかわいかったと本物のヒキガエル見てべそかく娘

ヒキガエルでよかった。熊なら大事やでしかし。

6月4日 朝日俳壇より
●白玉や子供の頃の好きが好き

大人になると「まだそんなこと言ってるの」というしたり顔のアホが多い。子供の頃の好きを好きでいて何が悪いんや、アホ。

●はにかみてカーネーションを突き出しぬ

母の日ですね。お母さん、嬉しかったやろな。

●衣更へ初めての如銀座行く

如くではなくほんまに初めて先日、銀座へ行きました。何かしらの区切りごとに行きたくなる町です。

●異次元の対策遅々と子供の日

政府と世間のズレに絶望的になることしばしばなんやけど、これって実は世間と俺がズレてるだけで意外と政府と世間はズレてないのかな。

6月5日 読売歌壇より
●カラヤンに凝りマイルスに没頭しひばりに行き着く音楽遍歴

どうせなら米津くらいに行き着いてほしかったですけども。あのちょっと背伸びして小難しいものに手を出す感じって大事にせなあかんのですよね。「オレ知ってるで」っていう知識をひけらかすためだけに背伸びするのはアホのすることです。

●コロナ禍を知らない夏の香りする19年に漬けた梅干

そうか、19年ならコロナは知らないのか。ものの数年であっという間に時代は変わる。

●美しい食器を重ねてゆくような緊張がある片恋の日々

毎時毎秒研ぎ澄まされる、休む間のない緊張。恋ってつくづくストレスですよね。

●大規模な反抗作戦始まるとわれのこころの昂るはさもし

よっしゃいったで!やったれやったれ!なんてことになってしまいがちですが、ふと我に返ったときの冷たい風。

6月5日 読売俳壇より
●何もかも早き今年や初燕

燕の飛翔みたいに時の流れが早い。長い紙芝居みたいなブランコに乗りたい。

●牡丹見る人も牡丹も疲れけり

「見られ」を牡丹も意識しとるわけですね。見るほうは見るほうで疲れるし。ある種、これもストレスといえるかも。

●二年モノ鮒鮨の樽ゆたかなり

これは鮒鮨が季語なんですよね。父が死んでから鮒鮨を食す機会も無くなってしまった。悲しみが蘇りました。

●ざりがにをむんずとつかむ少女かな

子供の頃って意外と女の子の方が勇敢。

6月5日 毎日歌壇より
●我が家にはもう1本も傘がない「明日天気になりますように!」

むしろ梅雨時は傘が増えまくることもありますよね。

●素晴らしさ異国の人に語らせる番組ありてその逆はなし

伊藤一彦さん選なんですが、この句の右隣は「大食いをテレビに映すわが国へ戦禍の国の元首が来る」左隣が「若き日に観た寅さんを今観れば面白いより切ないが勝つ」だったので並べ方の妙もありました。

●あのひとと見たい川面をこのひとと見ている夜の呼気なまぬるい

「このひと」であることが多い人生だった。

●パンケーキ積み重ねてる人たちのだれも傾いてると気づかない

こういうことはよくある。近視眼になると見えないものです。部屋に閉じこもっていず外に出ないといけない、ということさえ、この状態になると見えない。

6月5日 毎日俳壇より
●真つ先に蛇捕まへる転校生

早くなじみたいという思いから無理してるのだとしたら心苦しい。

●高々と白きもの干す立夏かな

同じような句を作ろうとして「しかし白シャツが季語やし立夏と二重になるよな」などと考えていたことがあるんですが、これは上手いこと作ってますね。

●火葬場の緩き煙や山桜

火葬場で人の命が尽きる。悲しいけれど満開の山桜もあと一週間もしたら散ってしまう。

●物干しの母を目掛けて石鹸玉

お母ちゃんにちょっかいかける子のウキウキした様子がありありと浮かんでくる。

6月8日 産経歌壇より
●入門書資格本経て専門書ああ八重洲BCともしばし別れめ

ちょうど三月でしたよね閉店は。仰げば尊しの季節でした。東京に行き始めてすぐやったんですが、最後を看取れてよかったような悲しいような。

●春来れば春に匂いのあることを思い出させてこの春はゆく

それでまた匂いのあることを忘れて春になると思い出して。この繰り返しでやがてくたばる。

6月8日 産経俳壇より
●春めいてヘップバーンのカット刈り

春の陽気とヘップバーンの髪型の取り合わせがいいですね。ローマの休日が見たくなった。

●昭和の日丸ごと生きて未だ生く

平成は丸ごと行きました。はてさて令和はどれだけ生きられるやろか。

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