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ロームシアター京都で観劇

 昨晩は久々にロームシアター 京都で観劇。「ライカムで待っとく」沖縄の基地問題にまつわる話と書いてしまうとそれだけで政治色が濃いといって避けられてしまいがちでもありますが、そうやって知らないふりをして、見てないことにして生きている人たちに対して痛烈な皮肉を浴びせているようにも、もはやあきらめているようにも思える作品でした。

 辺野古への移設に反対する人がいて、デモだとか座り込みだとかが起こっていて、それに対して冷笑する知識人がいたり、聞こえないふりをして粛々と移設へ向けて動く政治家の先生たちがいて、アメリカの言いなりで、後回しにしないといけない問題はとりあえず沖縄に押しつけて時間稼ぎしておいて、それに対して怒りの声をあげることがカッコ悪いことだとか、アホだとか、どうにもならないことに抗うのは大人のやることではないと嘲笑う人もいて、メディアはやたらリベラルに寄った論調で迫るけれど若い世代はもう別に基地がどうとか米兵がどうとか、あまりピンときていなかったりとか、世代や性別、住んでる場所、いや、それ以前に個々人によって捉え方がまったく異なるこの問題について、簡単に答えが出るわけがないし、出してもいけないのだと思うし、この作品をみてどんな感想を抱いたか、といえば、わけがわからん話であったのですが、そのわけのわからなさをそのまま受け止めてはじめてこの問題については語ることができるのではないかと思うし、「ライカムで待っとく」を制作された皆さん、演じられた皆さん、関係者の皆さんも、「こうなんですよ」とわかりやすい回答を提示するのではなく、わからなさ、一筋縄にはいかなさ、ややこしさをそのまま表現しようとされていたのではないか、と感じ、その姿勢になんだか私は希望を見たように思いました。

 賛成か反対か、簡単にどちらかに寄ることはできないし、賛成と反対の間には限りなく広く深い「どちらともいえない」がある。自分がいまどこにいるのかもわからないから、それを把握するために学び続ける。そのきっかけをもらったように思いました。

 本土と沖縄の間にあるのは境界線ではなく、水平線だ。沖縄は本土のバックヤードだ。心揺さぶられる言葉の数々に居心地が悪くなりますが、この居心地の悪さって、普段、見えないようにどこかへ置いているだけなんですよね。
 自分がいまどこにいて、何をどうやって観ているのか、ということをこれからもっと考えながら生きないと。しんどいけど。

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涌井慎です。
趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。私の趣味についてまとめた著書『1人目の客』と、とってもかわいいと評判の「1人目の客Tシャツ」はネットショップ「暇書房」にてお買い求めいただけます。

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