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要すらない人間

『文學界』9月号に若松英輔さんと山本芳久さんの対談が掲載されていました。「神学者がとらえたコロナ危機」というタイトルで、実に難しいお話なので、ここでどんな話だったかを書くことはできないのですが、興味のある方は是非、『文學界』9月号を手にとって読んでいただきたい。私が要点だけここで簡単に伝えられるような内容ではありませんでした。

近頃は本来難しい話を「簡単に言うとこういうことなんですよ」と言ってしまう賢い人が多くて困ります。難しい話はどう頑張っても難しいんです。「要するに」と言って難しい話を簡単にまとめてしまう人たちの中には、難しいからよくわからない話を自分がわかっている範疇で理解したつもりになり、その浅はかな理解をさらにかいつまんで人にしたり顔で教える、というタイプの方が少なからずおられまして、これがまた、そういう人たちほど人気が高いんですよね。

ここまで書けば、上記のようなタイプの有名人を何人か思い浮かべることができるかと思うのですが、こういうタイプは有名人に限りませんよね。学びを忘れてしまった人間は、天井が見えてしまっている知識だけで物事を判断し、自分の知らない世界に恐怖し、その恐怖のあまり、知らない世界を威嚇し、殻に閉じこもり、そのくせ他者に対しては「私は賢いんだぞ!」とばかりにマウントをとりにいったりする。そういう人が縋り付くのが、前述したタイプの有名人たちなのではないかと思います。

端的にまとめられることを小難しく話す必要はありませんが、どう頑張っても難しいものは難しいのですから、難しい話を要するに簡単にまとめてしまう人の言葉はまやかしです。飛びつきやすいキャッチフレーズで人を惑わす有名人には注意が必要です。難しい話は難しいままを話しつつ、それでも惹き寄せられるような人の話こそ、きっと自分にとって価値のある話なのだと思います。

自分も「要すらない人間」でありたい。
あなたの身の回りには「要するに人間」はいませんか?

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