見出し画像

エッセイ『算数の問題』

 ゆきこさんの家から駅まで三十分かかります。八時五十分に駅に着くには家を何時何分に出るとよいでしょう。  

 という算数の問題に対して、「八時十五分」と回答し、その理由として「八時二十分だとギリギリで焦ると危ないから」と書いた子供がネットで称賛されているんですが、これは算数の問題であり、そういうことを聞かれているわけではないのだから、しっかりと「その答えではダメですよ」と教えてあげなければならない。
 算数では不正解だが社会人では満点だったと書いてあったりするのだが、社会人として満点であったとしても、これは算数の問題なのだから、問題の意図を汲み取り、正解を導き出せるようにしなければならないし、臨機応変にそうやって対応できる能力がなければ、この先、大人になってから人付き合いで苦労するのではないかと思うし、そういうことを考えれば考えるほど、この回答を褒めている場合ではない。

 もうずいぶん昔のことだが、M1グランプリの2回目にテツandトモが出たことがあり、いつもの「なんでだろう」のネタを披露した。僕はどっちがテツでどっちがトモかわからないのだが、コミカルな動きをする青ジャージのほうの動きのキレ味がすごかったのだが、あのネタを漫才と捉えるかどうか、ということもあり、点数は伸びなかったと記憶している。ネタの評価を求められた松本人志さんが「青色の子、友達としては百点なんですけど漫才としては・・・」と発言したのを僕はさすがだなーと唸ったわけなんだが、この算数の問題も青ジャージさんと同じである。
 「算数では不正解だが社会人では満点だった」と評価するのではなく、「社会人としては満点なんですけど算数の問題の回答としては・・・」と、しっかり教えてやらずに「君の視点は社会人としてすばらしい」と褒め讃えるのは、この子のためにもよくないのではないか、と思ったのですが、いかがなものでしょうか。

#note日記 #日記 #エッセイ #コラム
#蠱惑暇 #算数 #社会人 #テスト
#800字ジャスト #800字エッセイ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?