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1人目の客になれた話:西院編

 涌井慎です。趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。西院のジョーシンの隣にローソンがオープンするという情報を得ましたので昨夜、下見をしに出かけてみますと、入口扉のガラスを拭いている方がおられ、青っぽい制服らしき服を着ておられたので、どうしてそれを制服だと思ったかといいますと、店内にも同じ服を着ている人がいるのが見えたからなんですが、それで私はガラス拭きされている若者に「明日何時オープンですか」と聞いてみたら「私は清掃会社の人間なのでそういうことはわかりません」とのことでした。これは決して悪いと言いたいわけではないので誤解してほしくないのですが、例えば「うーん、僕ローソンの店員じゃないからちょっとわからないですねー。何時かなー。確かに時間、どこにも書いてないですよねー。気になりますよねー。竹芝さーん!ここ、明日何時オープンか知ってます?あー、ですよねー。ごめんなさい、何時オープンかはわからないです」くらいのことがあればいいのにと思いました。たぶん、そういうことを思ってしまうのは、私がそういう年頃なんでしょう。そういう活気のある時代に幼少期を過ごしたからでしょう。いや、そういう世代間ギャップでこういう話はまとめがちになりますが、やっぱり結局はその人の性質によるものなのかしら。

 結局、何時オープンなのかはわからず、ローソンのウェブサイトを覗いてみても「11月4日オープン」と書いてあるだけで何時オープンかは書いていません。何時にオープンするかってそんなに気にならないものですかね。情報が中途半端でなんか気持ち悪くないですか。「私、いま資格の勉強してるんですよ」って言われたときと同じ気持ち悪さ。そこまで言うなら何の資格かまで教えてよ。

 Yahoo!知恵袋や私のこれまでの経験則によると、コンビニのオープンは午前7時であることが多いので6時30分前に到着してみたら、中にはまだ店員さんは見た限り1人しかいないし、陳列棚の前には番重(パレット)が無造作に置いてあったり、「これ、ほんまに30分後にオープンするの?」っていう感じの店内です。1人しかいないと思っていたら別の店員さんが番重を重ねたものを台車に乗せて奥から出てきました。今回はシャツに「LAWSON」と書いてあるので間違いなくローソンの人でしたが、開店を待ち構えるおっさんには近寄らないほうがいいと判断されたのでしょうか、何ら声を掛けてくださることなく去っていきました。おそらく、店頭に立つ人ではなく、商品を運搬する人なんでしょう。別に本当に不満があるのではないんですが、少しくらい「あー、オープン待ってはるん?ほうでっか!まだオープンまで時間あるさかい、寒いけどちょっと待っとってやー!」とか、そんなんがあってもいいのになと思うことくらい許してください。

 同じおじさんが台車に番重を載せて店に入っていき、しばらくするとまた出てきたので、「すみません、何時オープンですかね」と思い切って声を掛けてみましたら、「8時と聞いてます」と一言。別に本当に不満があるのではないんですが、お店の前で開店の1時間半も前から待機してるおっさんってやっぱり怪しいんでしょうかね。最初から「オープンは8時でっせー」とか声掛けてくれてもいいのに、と思いつつ、繰り返しますが、これは本当に不満があるわけではありません。そういうものでしょう。いったん帰宅して、上記を端折りながら妻に伝えると、搬入してはるのは店員さんじゃないし、なかなか声を掛けたりはしないんじゃないかと思うし、それに店の前にいるからといって開店1時間半も前やし、まさか客とは思わないだろうし、仮に客やとしても、そんなおっさんがいたら近寄らないようにしようと思うはずや、ということでした。いろんな人のいろんな意見を聞くことが多角的視野を手に入れることに繋がるのです。それが「聞く力」というものなのではないかしら。

 7時20分頃、再び到着。さっきより西院が覚醒しています。しかし店内はさっきと何も変わっていないような気がします。本当に8時にオープンするのかしら。前に1人目の客になったコンビニは開店前、20人くらいスタッフが駆けつけてお祭りみたいな雰囲気でしたが、こういうところにも社風の違いというのは出るものですね。前に別のコンビニの1人目の客になったのは、もう2年も前ですから、この間に時代の空気が変わったということもあるのかもしれません。

 7時30分、店員さんが外に出てきました。今回は間違いなく「店員さん」です。「おはようございます」と声を掛けてくださいました。1人2人3人と店員さんが出てきます。そんなにいたんや!商品を搬入しに業者の方もお見えになり、俄に店が活気づいてきました。これやねん!これこれ!開店前20分、店はあれよあれよといううちによそ行きの顔を作り上げ、私たち客を迎えるモードへ切り替わったのでした。それはあまりにも見事な仕事ぶりで、例えば、化粧というのは、こういうものなのではないかと思いました。化粧に限らず、何かしら、ハレとケというのでしょうか、切り替えの瞬間というのは、あまり人には見られたくないものだと思いますから、それを見るのを趣味にしていると言ってもいい私の趣味は、実はものすごく下品な趣味なのかもしれないと思いつつ、それに気づいてしまった今、むしろ、これからもいろんなお店のそれを覗き見してやろうという、いやらしい性質がはからずも明るみになった頃、朝日が射して気持ちよかった。爽やかな秋空の下、11月4日・金曜日午前8時にオープンしたローソン西院西店の1人目の客は私です。

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