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因習儀式【怪談・怖い話】

これは、ある地方の風習に基づく、実際に体験した話だ。

その地方では、一般的な厄年の祓いとは別に、独自の儀式が行われる。米を点々と落としながら、関連する社へ向かい、その夜を社で過ごすというものだ。この儀式にはいくつかの厳しい制約があり、途中で振り向いてはならず、話してはならず、日が沈む前に社へ到達しなければならない。

その日は晴天で、夕焼けが美しい日だった。家を出ると、雷のような地響きが鳴り始めた。最初は通り雨かと思ったが、進むにつれて儀式通りにはいかず、知り合いとの出会いや予期せぬ出来事に見舞われた。米を適当に落としながら振り向かずに歩いていると、耳元で手を叩く音が聞こえた。振り向いてみても、遠くの田んぼで子供が遊んでいるだけで、音の出所は分からなかった。

気持ちを落ち着けるために歌を口ずさむと、また耳元でパンパンと手を叩く音が鳴り、雷のような音も絶え間なく続いた。体が振動するような感覚があり、太鼓の音が空気を波打つように響いていた。その音は、遠くからではなく、耳元に直接届くような不思議な感覚だった。

社に到着すると、その夜は一人で過ごした。耳を塞いでも、太鼓と地響きは続き、その音が体を圧迫するような感じがした。まるでどこかに引きずり込まれるような浮遊感があり、不気味さに冷や汗をかいた。しかし、次第に慣れると、その音以外の不思議な現象は起こらなかった。

その体験を振り返ると、制約のある儀式が自己暗示や脳の反応に影響を与えているように感じられた。出発時から続いていた雷のような音の説明はつかなかったが、その不気味な体験は今も鮮明に覚えている。

[出典:297 :本当にあった怖い名無し:2011/11/21(月) 05:15:40.60 ID:F1RHx2gi0]



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