見出し画像

真田家の呪われた秘宝【怪談・怖い話】

長野県上田市の真田上田城。この城は、戦国時代の名将真田幸村の居城として名高い。しかし、それ以前の歴史は闇に包まれており、上田城の濠には、世にも奇怪な生物が棲んでいたという噂が残されている。

明治の初めの年、上田城の濠の水を抜く作業が行われることになった。好奇心に駆られた近隣の住民たちが早朝から手伝いや見物に押し掛けた。天気も良く、初夏の陽気に包まれた濠周辺では、喧噪が絶えることがなかった。

作業が進むにつれ、濠の中から次々と大きな鯉や鰻が姿を現した。そんな中、ある男性の視界に不可解な現象が捉えられた。濠の一角で、水が渦を巻いて盛り上がっているのだ。

その瞬間、激しい水音と共に、全身真紅の色をした怪物が濠から半身を現した。額には太い二本の角が生えており、一見すると牛のようでもあった。

人々は恐怖に駆られて逃げ惑ったが、怪物もまた驚いたのか、濠から飛び出して近くの千曲川へと飛び込んでいった。そして、矢のように川を渡り、山を越え、遠くの池へと消えていったという。

怪物の目撃情報は、その後も上田市内で聞かれるようになった。市内の住民たちは、深い恐怖に怯えながらも、この事件の真相を追究しようと試みた。

ある歴史家は、上田城の建設当時の記録を発見する。そこには、真田家が城を築く際、濠の底に古い陣屋が埋まっていたという記述があった。陣屋は、真田家に敵対していた武将の居城だったらしい。

さらに調査を進めると、その武将の家系に奇怪な伝承が残されていることが分かった。彼らの先祖は、牛の怪物を祀る神官だったという。何百年も前からこの地で、牛の角を持つ神が崇められてきたのだ。

つまり、あの血塗られた怪物は、真田家が陣屋を潰した際に封印された、牛の神の怨念そのものだったのかもしれない。長い年月を経て、何らかのトリガーによってその封印が解かれ、濠の中から姿を現したのだろう。

市内では、未だに怪物の目撃情報が散発的に聞かれるというが、この怨念の古城から逃れるには、真田家に何らかの供養が必要なのかもしれない。それとも、永遠の呪縛から逃れる術はないのだろうか?


#怖いお話ネット怪談 #怖い話 #怪異 #怪談 #ホラー #異世界 #不思議な話 #奇妙な話 #創作大賞2024 #ホラー小説部門

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

今後とご贔屓のほどお願い申し上げます。