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都庁で初めてのハッカソンで、オープンデータから新しいサービスが生まれ、更なるデータ公開につながりました

2021年度、都庁としてはじめて、東京都のオープンデータを活用したハッカソンイベント「都知事杯オープンデータ・ハッカソン」を開催しました。

11月の募集からハッカソンでの開発、プレゼン大会、そしてサービスリリースの支援まで、事務局としても懸命に取り組んできた結果、多くの方々の協力によって新しいサービスが生み出され、東京都のオープンデータをさらに充実させることができました。今回のnoteでは、そんなイベントを振り返ります。

都庁で前例のないハッカソンイベント


東京都のオープンデータを活用したハッカソンイベントを開催し、サービス創出までつなげていく、と「シン・トセイ」戦略で決めたものの、都庁でハッカソンを開催するのは前例のないことでした。できるだけ多くの方に参加いただけるようプロモーションや声掛けを行った結果、イベントの企画当初の想定を超え、186名の応募者から68件のサービス案をご提案いただき、最終的には41チームが編成される嬉しい結果となりました。

ただ、一部の参加者からは「こんなデータじゃサービス創出は難しい」という声もあがっており、これだけ多く集まった参加者に対して、サービスを創出できるような質の高いオープンデータを揃えられているか、ということは事務局としても正直なところ不安に思っていました。そのため、開催に向けて少しでも多くのオープンデータを提供できるよう、データを保有する都庁内の各局に働きかけを行い、データを公開してきました。

このnoteでもご紹介した「都税収入見える化ダッシュボード」の約30年分の都税収入のデータもこのイベントのタイミングで公開しました。

そんな中、参加者のみなさまは、こちらも想像出来なかったような価値をオープンデータに見出し、多くのサービスを生み出しました。5つのサービスがプレゼン大会を勝ち上がり、最終的にチーム「ToDCS」が提案する「PECO navi TOKYO」が最優秀作品に選ばれました。最終的に参加者から出てきたサービスを見て、その質の高さに本当に驚かされました。


参加チームの提案したサービスが都庁を動かし、新しいオープンデータの公開につながる


ハッカソンの結果、見事「初代都知事杯」を獲得した「ToDCS」のサービスをご紹介しましょう。

今回ToDCSが生み出した「PECO navi TOKYO」は、工事現場等の昼食難民とキッチンカーをマッチングさせるサービスです。

工事現場やイベント会場など、一時的かつ局所的に人が集まる場所では、飲食や駐車場などの需要が近隣地域の供給量を超えることがあり、多くの人が「昼食難民」となり、不便に感じています。一方、飲食事業者はコロナの影響で苦境に晒される中、移動販売など新しい業態が注目されていますが、売れる場所を見つけるのは難しいといった課題があります。

こうした昼食難民と飲食事業者をマッチングさせることを目的として、「PECO navi TOKYO」は、工事現場で働く人々の人数をマーケティングデータとして活用できるよう機械学習で予測するものです。

工事現場で働く人の数を予測できれば、一時的・局所的なニーズが可視化され、飲食事業者などに新たな営業機会を提供することが可能である、そのように「ToDCS」は考えました。

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そこでチームが活用したデータが、東京都や区市町村がオープンデータカタログサイトで公開している各種のイベント情報のデータと、東京都の都市整備局が保有する「標識設置届」のデータです。

なぜ「標識設置届」を活用したのでしょうか?

中高層建築物を建築しようとする建築主は、建築確認等の申請を行う前に、「建築計画のお知らせ」という建築計画概要を記載した標識を、建築予定地の道路に接する部分に設置しなければなりません。東京都の条例の対象となる中高層建築物は、全て東京都へのこの「標識設置届」の提出が必要となります。

ということは、この「標識設置届」のデータを活用すれば、いつどこでどの規模の工事が行われているかがわかることになります。すると、どのタイミングでどこに工事関係者が多くいるかがわかる。それこそが、キッチンカーのビジネスチャンスである、というわけです。

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実はこの「標識設置届」の情報は、ハッカソンイベント当時、都庁の窓口において紙で閲覧するしかなく、オープンデータとして利用することができませんでした。

ハッカソンで「PECO navi TOKYO」のサービスが話題となったことをきっかけに、都市整備局と連携し、「標識設置届」の情報をオープンデータとしてCSV形式で公開しました。

単なる「標識設置届」だったデータが、工事現場の昼食難民とキッチンカーをマッチングするサービスに発展するとは想像もできなかったことです。

「ToDCS」は、三菱総研DCSと戸田建設の仕事上のつながりがある人たちでこのイベントのために結成されたチームだそうです。イベントをきっかけにして結成されたチームのアイデアが、東京都のオープンデータからサービスを生み出し、さらに新しいオープンデータの公開につながる。

今回のハッカソンをきっかけに、オープンデータの好循環が生まれています。


ハッカソンイベントは台東区のオープンデータ担当も動かした


今回のハッカソンで生み出されたサービスはこれだけではありません。

チーム「子育てエンジニア―ズ」が提案したサービス「入りやすい保育園マップ」SNSでも共感を呼び、話題となりました。

このサービスでは、スマートフォン1つで、手軽に自分の家の近くの入りやすい保育園がわかります。マップ上の色の濃さで入所しやすい保育園かどうか可視化されており、それぞれの保育園をクリックすると、0歳~5歳までの年齢別に入所しやすさがわかるようになっています。

チームが活用したのは、港区が公開している区内の認可保育園等の一覧「入所1次利用調整」のデータです。保育園に入所するための1次利用調整において、実際に保育園に入れた人が何点で入れたかのボーダーラインを示す「入所者最低指数」から「入りやすさ」を可視化しました。

「子育てエンジニア―ズ」は、子育て中のエンジニア2名で結成されたチームです。「子育て中の親は忙しいのに、保育園に関する情報は分散していたり難解で、調べるのが大変」という問題意識が、港区のオープンデータからこのサービスを生み出しました。

このサービスのもととなるデータは、提案当初は港区だけが公開していたのですが、台東区のオープンデータの担当が今回のハッカソンイベントを見て区の中で働きかけを行った結果、台東区でも同様のデータが公開されることになりました。

イベントをきっかけとして、東京都内の区市町村でデータ公開の横展開につながるとは思ってもみない嬉しい展開でした。

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チーム「ごみ分別さん」が提案したサービス「ごみ分別さん」もリリースされました。

このサービスは「LINE」にごみの写真を送ると、そのごみが何ごみかを教えてくれます。

チームが活用したデータは、文京区で公開している「ごみの分別品目」です。ここに画像認識技術をかけあわせ、今回のサービスを開発しました。マップのサービスが多い中、画像認識を活用したユニークな試みとなっています。

今回活用されたデータも文京区だけの公開だったのですが、「入りやすい保育園マップ」と同様、台東区のオープンデータ担当に動いていただき、台東区でのオープンデータ公開につながりました。

チームメンバーがこのサービスを開発した経緯をnoteでまとめていますので、こちらもぜひご覧ください。


今年度もハッカソンイベントを実施します


今回のハッカソンイベントは都庁としてはじめての試みで不安だらけだったのですが、結果として、都民の生活に役立つ素晴らしいサービスが開発され、庁内のみならず区市町村にもオープンデータの取組が広がりました。ご参加・ご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

都庁ではイベント後も引き続き、オープンデータ拡充に向けた取組を続けています。例えば、ハッカソンプログラムで多くの参加者からご要望をいただいた「イベント情報」については、ハッカソン後、東京ビッグサイトのイベント情報オープンデータとして公開しました。

ハッカソンイベントは今年度も開催する予定です。

昨年度実施した参加者アンケートのご意見を参考に、プログラムの改善を検討しています。募集が開始しましたら、ぜひ参加をご検討ください。

【ご意見募集】
東京都のオープンデータに関するご意見・ご感想を、こちらのフォームより受け付けています。ぜひご意見をお寄せください。