成長期の腰椎分離症とは
こんにちは。理学療法士のこうやうです。
今回は
腰椎分離症
について話していきたいと思います。
よくスポーツ腰痛として挙げられる疾患ですが
一体どういった病態なのでしょうか。
私なりに書かせていただきますので
よろしくお願いします。
それでは始めます。
成長期の腰椎分離症
成長期における腰椎分離症とは、椎骨の関節突起間部に発生する疲労骨折と考えられており、いわゆるオーバーユースを背景とした疾患である。腰部の伸展と回旋が関節突起部間部に対するストレスとなり、発症にかかわると考えられている。12歳頃から増加し、14歳頃にピークを迎える。男女比は5:1程度で、男性に多いとされている。また非スポーツ活動者に比べて、スポーツ活動者に多く発症する傾向にある。成長期の腰痛患者の約1/3に腰椎分離症を認めたとの報告もあり、成長期における腰痛において大きな問題となる疾患である。
腰椎分離症の痛みは、超早期から疲労骨折をきたした初期、骨折治癒過程と考えられる進行期までの急性期は主に骨折の痛みであり、偽関節である終末期では分離症の炎症や不安定性による椎間板・椎体終板由来の痛みが主となる。
スポーツ別では地域による競技人口の偏りがあり、野球・サッカーに多いが、ほとんどのスポーツで起こっている。分離椎弓高位は下位腰椎、特にL5に多いが、上位腰椎にも少なからず発症している。
骨癒合
腰椎分離症は疲労骨折と考えられているため、重要な治療方針として骨癒合があげられる。そのため、通常の骨折治療と同様に安静と固定が必要となる。プロトコルとしては運動全般の活動を中止、硬性コルセットを装着し、動作を抑制する。病期によって固定期間は調整される。進行度が高いほど固定期間も長くなり、早期復帰が困難になるため、早期発見が重要といえる。硬性コルセットは緩みなく装着するように指導するほか、入浴時以外の着用を指導する。固定による不快感からゆるく装着し、腰部運動が抑制されず、癒合が遅延するケースが多い。特に年齢が低いほどその傾向は強いため、患者自身と保護者に対して固定の重要性を説く必要がある。腰椎分離症において最もリスクとなるのは、骨癒合が得られずに終末分離症へと移行することである。
再発予防
腰椎分離症のリハビリでは、「なぜ疲労骨折が起きたのか」を考えるこtが重要となる。例えば、水泳のバタフライで股関節伸展動作がうまく行えない場合、腰部による代償がみられる傾向にある。そういった動作を頻回に行う運動戦略をとっていることが発症にかかわっている可能性が高い。そのため、骨癒合が得られたとしても同様の動作戦略を行っている場合には再発してしまう可能性が考えられる。
腰部伸展・回旋を代償的に使用する運動戦略を改善するためには、急性期および診断確定後より腰痛のない範囲で柔軟性の改善を行う。特に重要なのは、股関節の柔軟性である。hip-spine syndromeといった例があるように、股関節と腰部には密接な関係がある。股関節の柔軟性の改善法はほかの書籍を参考にしていただきたい。
可動域は重要だが・・・
このような背景からも股関節だけでなく、胸椎などさまざまな関節の柔軟性が必要といえるだろう。しかしそのままストレッチというような単純なプログラムにはならない。ここで重要なのは仮説検証作業である。よい運動療法には即効効果がある。私見ではあるが、どんな素晴らしい理論や明確な根拠も患者に実証できなければ意味がない。何を指標にして効果判定を行うのかは自由ではあるが、この検証作業を忘れないでほしい。
本日はこれで以上です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
参考・引用文献
1)福井 勉 : 新ブラッシュアップ理学療法-新たな技術を創造する臨床家88の挑戦 株式会社ヒューマンプレス 第1版第1刷 2017
2)加藤 欽志 : 脊椎のスポーツリハビリテーション 日本医事新報社 第1版 2017
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