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大腿筋膜張筋に疼痛を有する例

こんにちは。理学療法士のこうやうです。

今回は

上記の症例で着目するべき点について

話していきたいと思います。

案外割と多い症例だと思いますので

私なりに書かせていただきますので

よろしくお願いいたします。

それでは始めます。


大腿筋膜張筋(TFL)の機能と構造


AC illust 二色様のイラストを引用

TFLは上前腸骨棘の外側から起始し、大転子の前方を通過して

腸脛靭帯に至り、Gerdy結節へ停止します。

そのため股関節外転作用だけでなく

股関節の屈曲と内旋運動にも作用しており、

大腿筋膜の緊張をコントロールしています。


よく処方される運動療法

ここでよく処方される運動療法が

股関節外転運動による小・中殿筋の促通です

これがなぜ行われるのかというと

TFLは代償で使われる筋の代表格だから

ではないでしょうか。

よく股関節外転運動でみられるのは

股関節屈曲動作による代償です。

この動作はよくTFLが優位に活動している

というように表現されています。

ですからこの代償運動を修正し

股関節外転運動を適正化させるのが

割と主流なのではないかと私は思っています。

しかし残念ながらそれではうまくいきません。

うまくいっても5割ほどかなと私は思います。

なぜこのように思うのかというと

この運動を処方するにはまだ評価できていないことがあるからです。

それはなにか。


メカニカルストレスの推定です


痛みの組織がわかった次にすること

痛みの組織が分かった後にすることは

メカニカルストレスの推定で間違いないかと思います。

このメカニカルストレスがある限り、

痛みはずっとあるままです。

上記の運動療法は鉄板化されていますが

実際どうかというと

むしろ悪化する症例もあるぐらいです。

このように除去するべきメカニカルストレスがわかっていないと

運動療法を処方することすら難しいのです。


TFLへのメカニカルストレス

ではTFLへのメカニカルストレスは

歩行のどの時に大きくなるのでしょうか。

それは


立脚中期~終期の股関節外転モーメントです。



TFLに疼痛を有する症例はこの周期の

股関節外転モーメントが過大になっています。

なぜここで働くかというと

機能解剖で考えれば簡単です。

TFLは股関節外転・屈曲動作に作用するわけですから

抗重力下では

股関節内転・伸展動作にて負荷が最も大きくかかります。

つまりここのメカニカルストレスが改善する

運動療法を処方すればいいわけです。


処方するべき運動療法とは

では一体どんな運動療法を処方すればいいのでしょうか。

それは・・・・・




答えられません。


なぜかといえば

人間は体系化できるほどシンプルな生き物ではないからです。

だいたいの方はここに答えを求めているわけですが

答えが患者自身が持っていますし

患者が教えてくれます。

これに関しては担当しているセラピストの目に任せる他ありません。

ですがやることは簡単なんです。

ただ立脚中期~終期の股関節外転モーメントが

最も改善する運動療法を見つければいいだけですから。

面倒くさいとは思いますが

ここまで詳細に評価するべきだと私は思っています。



今回はこれで以上です。

私はどんな人でも効果がある運動療法は存在しないと思っています。

人間は理論だけで説明できる生き物ではありません。

人間の中身はもう一つの宇宙といわれるほどですから

シンプルな論理で通用するわけではないのです。

大変面倒くさいとは思いますが

患者さんそれぞれのオーダーメイドのリハビリを処方するには

この考えが重要だと思いますので

頑張りましょう。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

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