筋膜の機能②
こんにちは。理学療法士のこうやうです。
今回は
筋膜について
書いていきたいと思います。
過去の記事の続きとなりますので
よろしくお願いします。
それでは始めます。
筋膜の受容器
ゴルジ受容器
密性結合組織に多く存在する。筋腱移行部と末梢関節の靭帯に位置するゴルジ受容器は、ゴルジ腱器官として知られ、筋収縮に反応する。他のゴルジ受容器は自動ストレッチング運動に反応し(おそらく他動ストレッチングには反応しない)、直後に関連する運動線維の筋トーヌスが低下する。ゴルジ反応を誘発する徒手的負荷量は明確にはされていない。
パチニ小体およびパチニ様機械受容器
密性結合組織内に存在する。筋膜、筋腱移行部、深層関節包層、脊椎靭帯内のパチニ小体は、圧と振動変化に反応するが、持続的な圧には反応せず、固有受容性フィードバックおよびモーターコントロールを高める効果があるとされる。
ルフィ二小体
これらは密性結合組織、末梢関節の靭帯、硬膜、関節包の外側層内に位置する。急激な圧変化に反応する受容器もあるが、多くの受容器は持続的な圧、あるいはゆっくりとしたリズミカルな深部ストロークや外側(接線)方向の伸張力に反応する。交感神経活動を低下させる効果がある。
間質機械受容器(タイプⅢ、Ⅳなど)
これらは感覚情報を提供し、筋紡錘および筋膜内には、パチニおよびルフィ二小体よりもかなり多く存在する。最も密度が高いのは骨膜内である。10%は有髄性(タイプⅢ)で、残りは無髄性(タイプⅣ)である。急激な圧に反応する受容器もあれば、筋膜および皮膚の伸張に反応する受容器もある。また閾値が低く、触れた程度でも反応する受容器もある。それらはまた間質性筋膜組織受容器(内受容器)として知られている。これらの内受容器は、血圧などへの自律神経作用があるとしている。
筋膜の支配神経
環境に対して身体がどのようにして自己を調節し適応するかは、内的、外的要求に関する脳の異常を提供する神経に依存する。種々のタイプの疼痛受容器および機械受容器から受け取った情報の解釈は、身体がどのような要求に反応するかを決定する。
固有受容器は、関節位置、腱負荷、靭帯緊張、筋緊張・収縮の状態を常にモニターする機械受容器である。ゴルジ腱器官は、関節統合性の維持に関与する特別な固有受容器である。筋膜からの固有受容感覚は、ほとんどが筋膜構造内に位置する機械受容器、および「外骨格」と呼ばれるものからもたらされる。これは仮想の軟部組織骨格であり、力伝達の過程の一部として、筋内の機械受容器が筋膜層に接続していることを表している。
Steccoら(2007)は、深筋膜における種々の神経構造の存在(ルフィ二およびパチニ小体)を示した。このことは、動き、緊張、位置、姿勢の知覚に筋膜が関与していることを示している。さらに胸腰筋膜には密な神経支配が見られ、種々の膜層上への、神経終末の分布が著しく異なり、皮下組織(浅筋膜)には、パチニ小体やルフィ二小体のような感覚性機械受容器が豊富に存在する。サブスタンプP陽性の神経線維(侵害受容性と考えられる)は、これらの層のみで発見されている。ほとんどの感覚線維が筋膜の外層、および皮下組織に位置するという発見から、筋膜および皮下組織に対する徒手療法(筋膜リリースなど)がしばしば有痛性であるという理由を説明できる可能性がある。
筋膜の性質
筋膜は身体の硬い組織と軟らかい組織を構造的・機能的に連結している。筋膜は、いたるところに存在する弾性・可塑性感覚要素として、覆い、支持し、分離し、結合し、区画し、包み、身体の残りの部分に結束性を与え、一方で滑走運動を許容し、さらに構造間の機械的な力の伝達に重要な働きをする。
メカノトランスダクション
メカノトランスダクションは、異なった程度の負荷(捻転、緊張、剪断、緩み、圧迫、伸張、屈曲、摩擦)に対して生じる、さまざまな細胞行動の急激な変化及び生理的適応(遺伝子発現および炎症反応を含む)のことである。
結合組織のメカノトランスダクションには、筋線維芽細胞のような特定の細胞間に起こる物理的、化学的伝達プロセス、およびそれらが機能するスープのような細胞外基質(ECM)ネットワークが関与する。コラゲナーゼおよびTGF-β1(成長因子β1を変換する)が関与するメカノトランスダクションは特に重要である。
細胞外基質(ECM)
細胞外基質は(ECM)は細胞が機能するための構造体で、細胞間を埋めている。ECMはまた、細胞が接着複合体を用いて細胞自身を固定する機会を供給する。
細胞周囲および細胞間の空間は、局所的に分泌されたタンパク質、コラーゲン線維、多糖類分子、水分、ヒアルロン酸などのグリコサミノグリカンが複雑に組織化された弾性線維網からなり、それらがECMを形成している。筋膜の鍵となる線維芽細胞が負荷に反応してECMとコラーゲンを生成している。
・ECMの構成材料を生成する線維芽細胞の表面は、グリコサミノグリカンおよびコラーゲン線維によってECMと直接的に結合している。
・基質の細胞外コラーゲン線維はわずか24時間以内に、急激に50%まで大きく変化し、活発に常に変化する性質を示している。
・機械的ストレスと成長因子β1の変換が筋線維芽細胞の発達を促進する。
・筋線維芽細胞は特定の基質接着を用いてストレスを感知する。
細胞基質接着複合体
細胞はECMの足場に可溶性粘着物質を用いて自身を固定する。これらはプロテオグリカンとコラーゲン線維を細胞表面の受容器に結合している。このテンセグリティ構造を用いて、細胞は感知し、機械的信号を化学的反応に変換し、外的負荷に瞬時に反応している。したがって接着機能に加えて、細胞接着分子は、信号変換の調整に関与している。
・細胞基質接着複合体はかなり柔軟かつ動的な複合体であり、それらの要素は急激的かつ定期的に大きく変化し、バランスの取れた機械的・化学的情報の流れを維持している。細胞移動における重要な役割に加え、これらの複合体を通した信号化によって、細胞生存、細胞分化、細胞増殖を含む主要な細胞機能が与えられる。
・細胞は変化した負荷に対する物理的・化学的反応に関する情報を隣接する細胞に与える。このプロセスにおいて物理的負荷は接着性複合体に移動する。
・このことは創傷治癒において関連がある。筋線維芽細胞が活性化され、創傷の修復の構造的・構築的な安定化装置として機能するとき、それらが作用する組織が弛緩・緩んでいるよりはむしろ硬く・緊張している場合に最も効率的に機能することが確認されている。
本日はこれで以上です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
参考・引用文献
1)編 Leon Chaitow 訳 齋藤 昭彦:筋膜の徒手療法 機能障害の表と治療のすべて 株式会社 医道の日本社 第1版1刷 2018
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