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「複雑」なものは「複雑な」ままに捉える

こんにちは。理学療法士のこうやうです。

近年の理学療法は

昔とは違い、さまざまな書籍や講習会がたくさんあり

発展途上となっています。

私も一時期は毎週のように

勉強会に行っていました。

というか今でも正直行きまくってるのですが

その臨床に没頭している自分に対しての

戒めとして今回の記事は書かせていただきます。


これはあくまで私の主観ではありますが

わかりやすい講義や臨床に活かしやすい技術というのは

人体をパターン化して捉えている

という印象があります。

私の臨床を例に出すと

腰痛を

椎間板性、椎間関節性、筋・筋膜性、仙腸関節性(成田先生の考えを参考に)

と言うように分けて考えたり

入谷式足底板でいうと

腸骨前傾・後傾パターン、仙骨前傾・後傾パターン

肩関節疾患でいうと

肩甲骨下方回旋・下制症候群、肩甲骨外転症候群、上腕骨上方滑り症候群、上腕骨前方滑り症候群(MSIの考え方)

といったように

臨床で実際に活かされている手技・技術というのは

パターン化されているものが大変多いです。



人間の脳自体、物事をパターン化して捉えるというのを

非常に得意としています。

さまざまな現象に対して

共通するパターンを見出し、

複雑なものをできるだけ簡単にして

理解しようとするということです。

これは生きる上で必然的な機能で

人間はできるだけ少ないエネルギー量で

動くように設定されているわけですから

多くの情報を効率的に処理することを考えれば

最適な考え方となるわけです。


しかしながら

この考え方はとんでもない誤解を招く可能性があります。

それは  

人体がシンプルだと理解してしまうことです。


このようにいうと

理学療法士から批判されそうではありますが

人体がシンプルである前提で考えられる風潮がいくつかあります。


3つほど紹介していきます。

一つ目は根拠詰めです。

理学療法士でない方にはわからない話ではありますが

新米の理学療法士にはバイザーがついたり

症例報告をしたりする運命があるのですが

そこでよく根拠詰めにあうのです。

アドバイス程度であれば

全くもって問題ないのですが

「根拠これどうなってんの?」 
「原因はなんなの?」
「それ解剖学的に説明してよ」
「エビデンスあるの?」

といったようなことを一言二言であればいいものの

執拗に言ってくる輩が一定数います。

そして終いには人間性まで否定してきます。

まさに

クソオブクソのゴミクズみてえな文化

理学療法士には蔓延しているわけですが

人間の愚かさ・傲慢さの極みとも言っていいレベルです。


二つ目は基礎を大事にするということです。

基礎を固めることは非常に重要なのは

間違いないのです。

ですが

その基礎から逸脱したものをあまり受け入れられない傾向にあります。

例に出すと

解剖学・機能解剖学が全てである

といったような発言です。

機能解剖学に沿うアプローチで結果が出るのは

事実ではありますが

実感したことをあまりに過大に捉え過ぎている感じがします。


三つ目は疾患別アプローチの存在です。

私たち理学療法士は

変形性膝関節症にはこれ、

腰部脊柱管狭窄症にはこれ、

といったような名前のセミナーやら書籍がありますが

これこそ単純に捉えている節があります。

同じ症状に見えたとしても

個人によって症状が起こった背景は違いますし

何より痛みを出した時の脳の反応も全く違います。

身体別の痛み・症状で分けているというのは

まさに人体をパターン化して分けている

ということでしょう。


 

私たちは案外

人体を単純に捉えてしまっていることが多いと思います。

ですが人体は私たちの想像以上に複雑です。

だからこそ私たちは

人体について

さまざまな視点を持ってアプローチしていかなければいけないのです。

人が出す症状には

さまざまな因子が絡まり合っています。

食習慣、運動、けが、心理的ダメージなど

さまざまなものが相互的に作用しているのです。

解剖学、生理学、運動学が私たちの基本とされていますが

人間発達学や神経学、栄養学、心理学など

さまざまな学問で重要じゃないものは存在しません。

これは治療技術も一緒で

〇〇を極める

というのは聞こえはいいですが

人体の複雑性というものを真っ向から否定している

ようなものともいえます。

人体という複雑なものに対して

単純な見方で挑むのは

無謀ではありませんがもったいないことです

PNFやボバース、機能解剖学的アプローチ、栄養療法、認知行動療法など


さまざまな治療法が存在するのは

人間が複雑であるからこそ生み出された

素晴らしい現象です。


難しいものをシンプルに説明する

のが優秀といった風潮がありますが

難しいものは説明すら難しいです。

私たち人類は

生命を理解しているのかもしれませんし

実は全く理解していないのかもしれません。

ただその事実を理解し

臨床に取り組むことは

さまざまな視点を取り入れるきっかけとなると思います。



今回はこれで以上です。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

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