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胸郭の機能を評価する

こんにちは。理学療法士のこうやうです。

今回は

胸郭について

話していきたいと思います。

胸郭は呼吸にかかわるだけでなく

3軸方向に動くため

股関節や足関節の機能の代償にも機能します。

胸郭については

柿崎先生が有名ですが

一体どのように評価するのでしょうか。

評価方法についてわたしなりに書かせていただきますので

よろしくお願いいたします。

それでははじめます。



胸郭の評価方法

その評価方法は


前胸部の柔軟性の評価です。

これだけです。

なぜこれだけなのか

文献を引用しながら説明いたします。


Tr‐AFDテスト


図1 Tr-AFD(Trunk-Acromion-Floor-Distance)テストの測定方法  1)から引用

a:開始肢位.
b:検者は骨盤–腰椎を徒手にて固定した状態で,ベッド非接触側肩甲帯を背側へ痛みのない範囲で最大限に捻転させる.
c:肩峰後角とベッドとの距離を被検者の背側からスチールメジャーにて測定

1)から引用

ここでTr‐AFDテストを紹介します。

簡単に言うと、前胸部の柔軟性を図るテストです。

メジャーで図らなくても大丈夫ですが

このテストで胸郭全体の機能がだいたいわかります。


このテストでは剣状突起を支点として

胸郭拡張差がどれぐらい確保できるか

を見るテストです。

鈴木ら2)は健常者および高齢者において

剣状突起レベルでの胸郭拡張差が肺活量と相関があると

報告しています。

肺活量は肺および胸郭の大きさや弾性によって変化する1)ことから

剣状突起レベルでの胸郭拡張差が胸郭可動性を反映している

ことが考えられます。

以上のことから、上記のテストは

前胸部の可動性のみならず、胸郭全体の可動性を反映している可能性

を示唆しています。


臨床感

剣状突起レベルでの胸郭拡張差が胸郭全体の可動性を

示唆していると考えると

患者に背臥位で深呼吸をしていただき

剣状突起の上下の動きを見るのも

胸郭の機能評価の指標として考えられます。


上記のテストは

いわゆるストレッチであり、治療にも評価にもなる類のものですが

わたしの非常に乏しい臨床経験上

10人に1人ほどこのテスト(ストレッチ)の実施で

逆に悪くなるかたもいらっしゃいます。

前胸部の可動性を出すべきか、出さないべきかは

ちゃんと効果判定を行ってください。



本日はこれで以上です。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


参考・引用文献

1)小坂 健二 神澤 佑哉:肩関節周囲炎患者における胸郭可動性と 肩関節機能との関連 理学療法科学 37(1):111–115, 2022
2)鈴木克昌,高橋仁美,菅原慶勇・他:肺機能予測としての 胸郭拡張差測定の有用性の検討.日本呼吸ケア・リハビリテー ション学会誌,2007, 17: 148-152.



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