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肩関節の真髄 ~機能解剖 Part1~

こんにちは。理学療法士のこうやうです。

この記事では

肩関節についてひたすら書きます。

Part1と書いておりますが

今回は肩甲上腕関節と胸鎖関節中心に書きます。

よろしくお願いします。

それでは始めます。


肩関節の骨構造

①上腕骨

 関節軟骨に覆われた半球を上腕骨頭、その基部で浅くくびれた部分を解剖頚という。解剖頚を前方から見て、内側には小結節、外側には大結節があり、ここに腱板が付着している。大結節と小結節の間には、結節間溝(bicipital groove)とよばれる溝があり、ここを上腕二頭筋腱が走行している。大結節には3つの付着面があり、結節間溝側より上面(superior facet)、中面(middle facet)、下面(inferior facet)とよばれる。また望月らは上面の後外側と中面の前外側に三角の形状をした第4の付着面を同定しており、これを外側面と定義している。

大結節の外側面(骨標本を上外側から)

上腕骨長軸と上腕骨頭軸のなす角は約130~150°であり、これを頚体角という。また水平面からみた上腕骨頭軸は、上腕内側ー外側上顆を結んだ線に対して後方に約20~30°捻転しており、これを後捻角という。

②肩甲骨

上腕骨および鎖骨と連結する三角形の扁平骨である。胸郭の半分にあたる6つの肋骨を覆い、立位では第1~2から7~8肋骨間にあって周囲筋群のバランスで保たれており、肩関節の運動時に後胸壁を滑動しながら上肢を支持する。肩甲骨には、上縁、内側縁、および外側縁があり、各々の縁によって上角および下角が形成される。上縁には、前方に隆起した烏口突起とやや凹んだ肩甲切痕があり、外側縁上方には上腕骨と連結する関節窩がある。関節窩は、肩甲骨体部に対して3~5°上方へ傾斜、かつ約7°後方へ傾斜しており、上腕骨頭の下方安定性に関与している3)。また、肩甲骨は、前額面に対して前方へ約30度内旋しており、その面を肩甲骨面(scapula plane)と呼ぶ。

③鎖骨

胸骨および肩甲骨と連結する長く扁平した骨である。胸骨と胸鎖関節を形成し、外側は肩峰端と呼ばれ、肩峰と肩鎖関節を形成している。水平面から見た鎖骨は、内側が前方に凸、外側が凹のS字型を形成しており、前額面に対して後方へ30°傾いている。


肩関節複合体の機能解剖

①肩甲上腕関節

 肩甲上腕関節は、上腕骨頭と肩甲骨関節窩によって形成される球関節で、3つの運動自由度を有する多軸性関節である。関節窩に対して、上腕骨頭の関節面は約3倍の面積を有しているため、広い可動性を有する反面、骨性が乏しく不安定な構造となっている。この構造の安定化を図るために、関節周囲には線維性組織の関節唇、関節包、靭帯、および腱板が存在する。これらの組織は静的・動的環境下で上腕骨頭の求心性を担保している。

・関節唇

 関節唇は、関節窩の全周を覆う線維性(軟骨)組織である。その役割は、浅い関節窩の深さを補い、上腕骨頭との接触面積を増加させることで、上腕骨頭が関節窩から逸脱するのを防いでいる。関節唇は、関節窩軟骨(硝子軟骨)より連続して半月様の線維性(軟骨)組織となり関節包に付着する。

 城戸ら(1984)は、日本人の関節窩の縦径は平均35.85mm(男:38.2 女:33.5)、横径は平均26.0mm(男:28.5 女:23.5)と報告している。Huber(1991)は関節窩の表面は3.5~9.7㎠とかなりの個人差があり、靭帯と腱で包まれている肩では、癒着があるとその表面はさらに小さくなり、それが脱臼との関連に結び付くと推論している。菊池ら(2007)は関節窩の後下方部分では、水平より10°傾きが増すと骨性の安定性が増加、逆に10°以上傾きが減ると不安定になると報告している。

 関節窩と関節唇の深さは、前後方向では平均5mm(関節窩:2.4mm 関節唇:2.6mm)、上下方向では平均8.8mm(関節窩:4.6mm 関節唇:4.2mm)であり、関節唇は関節窩の深さを2倍にしている5)。この関節唇がなくなると、上腕骨頭の安定性は約20%減少する6)。

・関節包

 ゆとりのある構造を持ち、後下部は関節窩から始まり、前方部は関節窩から離れて、滑膜腔から移行して上腕骨の解剖頚についている。この包のゆとりは骨頭の約2倍といわれるほど広く、20~40㎖ほどの容量を持つ。関節の前上方には、肩甲下筋腱の腱下方へと続く、円形の開口部(Weitbrecht's孔)がある。

上図は2)から引用改変したもの。
後上方からみた関節包の付着部位を左図は頭側、右図は後方より観察している。
青矢印は棘下筋が最も広く付着する部位かつ関節包付着幅が狭くなる部位
四角は棘下筋と小円筋の境界における、関節包付着部位が広くなる部位を示している。

 肩上方において、棘上筋・棘下筋の深層に関節包は必然的に存在している。関節包は、関節裂隙上においては非常に薄い膜状の構造であるが、上腕骨付着部においては数mmの幅をもって付着している7)。その付着幅も腱板との関係性が見られており、腱板が最も幅広く付着する部位(棘上筋と棘下筋間)において比較的幅狭く、約3~4mmの幅をもって付着している。一方、腱板の付着していない大結節前縁や、特に棘下筋停止部の後縁、つまり小円筋停止部の前縁において、関節包は幅広く付着し、約10㎜の幅を呈する。これは形態学的に腱板筋群が幅広く停止する骨付着部位においては、関節包は幅狭く、逆に腱板筋群の停止しない部位においては、関節包は幅広く付着している。このように腱板と相補しあいながら、関節の安定化を図っていると想定できる。

2)から引用改変。
〇は肩甲下筋停止部の、遠位端における幅広い関節包付着部
△は腋窩嚢に対応する関節包が最も幅広く付着している部分を示す。

 では、前方から下方、後方はどのように付着しているのか。付着部の幅という観点で行くと、腋窩嚢に対応する解剖頚と外科頚の後に約15㎜もの幅広い付着幅を呈する8)。腋窩嚢に対応する関節包は、後~上方に比して明らかな厚みをなしており、その膜厚な部分は、細長い膜状構造の辺縁に沿って、後方~上方までに伸びている。この構造が棘下筋停止部と小円筋停止部の境界へと連続し、関節包付着部に張力を伝達している。上腕骨頭をハンモック様で下から上へ支える必要があるため、幅広い付着幅や組織学的に線維軟骨が発達しているといえる2)。

 関節包は、コラーゲン線維が網目状に配列した交識密線維性結合組織であり伸張性を有している。上肢下垂位における下方関節包は袋状にたわんでいるが、肩甲上腕関節を40°挙上するとそのたわみは消失する9)。上肢挙上60°以上は、伸張された下方関節包の張力によって上腕骨を支持している10)。

 関節包内は常に陰圧状態になっており、上腕が下方へ牽引されると陰圧が増加し、陰圧が消失すると上腕骨頭は下方へ脱臼する11)。関節内圧もまた上腕骨頭の下方変位に抵抗しているといえる。


・関節上腕靭帯

右肩甲上腕関節

 前方の関節包には、肉眼的にも肥厚して索状になった部分があり、これを関節上腕靭帯(GHL)とよぶ。関節上腕靭帯は、上関節上腕靭帯(SGHL)、中関節上腕靭帯(MGHL)、下関節上腕靭帯(IGHL)に分けられる。この中でも前下方に位置する下関節上腕靭帯(IGHL)は長らく1本の靭帯と考えられてきたが、その後の研究でIGHL(右肩であれば4時の位置)から下方(6時)、後下方(8時)にかけての関節包は肥厚しており、その前縁がIGHL前索あるいは前下関節上腕靭帯(AIGHL)、後縁がIGHL後索あるいは後下関節上腕靭帯(PIGHL)、それらを含む下方関節包の肥厚部分をIGHL複合体という名称も提唱されるようになった12)。

 これらは骨頭の支持靭帯と考えられており、解剖頚の前および下方から始まって関節窩結節につき、上部線維は二頭筋長頭と平行に走っている。山口ら(2009)は、関節上腕靭帯のうち中部と下部が典型的な靭帯構造を持ち、上部は疎性結合組織である烏口上腕靭帯の一部の伸びだしたもので靭帯ではないとしている4)。

 関節上腕靭帯は、主に肩甲上腕関節の前方および下方安定性を静的に担っており、各肢位で上腕骨頭の過度な変位を制動する役割がある13)。特にIGHLは、肩の安定性に最も貢献されていると考えられ、特に肩関節前下方への脱臼を防ぐ14)。脱臼の際に損傷するのもIGHLである。

下垂位外旋
45°外転外旋位
90°外転外旋位

SGHLは上肢下垂位における前方・下方変位の制動15)16)、および下垂位外旋の前方変位の制動17)、MGHLは軽度外転位における前方変位の制動、および軽度外転位・外旋時の前方変位の制動18)、IGHLは外転位における下方変位の制動13)、および外転位・外旋時の前方変位18)に貢献する。


・烏口上腕靭帯

烏口上腕靭帯

 烏口上腕靭帯(CHL)は、烏口突起の底部から上腕骨大結節および小結節に向けて扇状に走行している1)。主に腱板疎部から大結節後方に向けて広がる部分と、肩甲下筋頭側部を包む2つの部分に分かれる。後者は烏口突起水平部~基部の下面前縁と烏口突起水平部下面の外側1/3から起始し、肩甲下筋前方筋膜に境界なく連続して広く覆うようになり、外側では肩甲下筋停止部まで包みこんでいる。このとき、CHLとSGHL、関節包といった構造間の境界は認められない。これはCHLも関節包も似たような構成の疎性結合組織であることを意味し、それぞれの名称はあるもののその構造自体は曖昧なものといえる2)。

19)より引用
CHLは前方のSSCから後方の棘上筋・棘下筋に至るまで、腱板全体を包み込んでいる。

 CHLはⅢ型コラーゲンに富んでいるため、柔軟であり、小結節に向かう前方線維は肩甲下筋を包んでいる。肩甲下筋を包み込んだCHL線維は烏口突起に収束することで強靭になり、肩甲下筋全体を保持して、いかなる肢位でも筋が上腕骨頭から離れないようにしている。一方、大結節に向かう後方線維は棘上筋と棘下筋を包み込んでおり、この場合のCHL線維も同様の構造をとっている。つまりCHLは総合的に腱板全体を保持しており、その緊張はCHLの一部分であるSGHLにも伝わることになる。SGHLの緊張はLHBを内側に脱臼させないように補助的に機能すると考えられている2)。

 さらに前方線維は、SGHLとともにLHBの下に向かい、ヒダを形成する。これにより、LHBを支持するとともに、reflection pulleyとしての役割を持つ20)。烏口上腕靭帯は、肩甲上腕関節の外旋および伸展の制動15)17)、外旋位における上腕骨頭の下方制動16)を担うと考えられている。

・腱板

腱板構成筋

 腱板は、棘上筋、棘下筋、小円筋、および肩甲下筋の4筋で構成され、上腕骨大結節および小結節に付着している。棘上筋、棘下筋、小円筋はそれぞれ1本の筋内腱を持つ羽状筋に対して、肩甲下筋は走行の異なる複数本の筋内腱をもつ多羽状筋に分類されている21)。

 多くの解剖学書には、棘上筋および棘下筋および小円筋の境界は明瞭に描かれており、棘上筋が大結節部の上面、棘下筋は中面、小円筋は下面に停止するとされている。しかし近年は、この事実は覆りつつある。

(1)棘上筋

棘上筋の解剖
棘上筋と棘下筋の付着部

 肩甲骨の棘上窩から起始しており、前述したとおり棘上筋の停止部は大結節上面とされてきた。しかし最新の知見では、棘上筋は大結節上面の前方部分にのみ付着し、そのうち約2割は小結節に付着しているといわれている22)。棘上筋は筋線維の大半は前方に位置する腱性部に収束している。筋内腱は、厚く長い腱性部(頭側から見て前方)と薄くて短い腱性部(後方)の両方が確認できることから、前方線維と後方線維の2種類の線維方向をもっていることが示唆される。

 その機能は長年にわたって議論されており、現在の一般的なコンセンサスでは棘上筋は肩の外転の初動10~15°で働き、外転と同時に起こる上腕骨の外旋の動きにも関与しているといわれている14)。棘上筋がもつ肩関節の外転作用自体は、上腕骨頭中心から停止部までの距離が短いため、発揮される筋力はそれほど強くない。

 棘上筋は前部線維と後部線維ともにすべての屈曲角度でモーメントアームを持つ23)。三角筋とは逆に下垂位での屈曲モーメントアームが大きく、屈曲角度が大きくなるにしたがって屈曲モーメントアームは減少し、120°屈曲位でほとんど屈曲作用はなくなる。前部線維・後部線維でモーメントアームに大きな違いはない。
 外転においてもすべての角度において外転モーメントアームを持っており、下垂位での外転モーメントアームが大きく、外転角度が大きくなるにつれて外転モーメントアームが減少する。120°外転位での外転作用は小さい。前部線維・後部線維でモーメントアームに大きな違いはない。

(2)棘下筋

棘下筋の解剖


棘下筋の付着部


 棘下筋は肩甲棘下面を起始とする横走線維(上部線維)と肩甲骨棘下窩を起始とする斜走線維(下部線維)から構成される。停止部は大結節の中面とされてきたが、従来考えられてきたよりも大結節を広く覆っていることがわかっている。望月らは上面の後外側と中面の前外側に三角の形状をした第4の付着面を同定し、これを外側面と名付け、この面に棘下筋が停止しているとしている2)。棘下筋は棘上筋を囲むように付着しており、棘上筋と棘下筋の境目は不明瞭であるとしている。

 棘下筋は横走線維と斜走線維ともに屈曲位(30°以上)では外旋モーメントアームをもつ。外転角度が増加すると両線維ともに外旋モーメントアームは減少する。横走線維より斜走線維のほうが外旋モーメントアームが大きい。
 また外転位(30°以上)においても横走線維と斜走線維とも外旋モーメントアームをもつ。外転角度が増加しても90°外転までには大きな変化はなく、さらに外転すると外旋モーメントアームは減少する。両線維ともに大きな差はなく、屈曲位よりも外転位のほうが外旋モーメントアームは大きい。 


(3)小円筋

小円筋の解剖

 棘下筋の下に位置する小円筋は、肩甲骨背側外側縁から起始し上腕骨大結節の後下部に停止する筋とされている。筋線維は上部筋束と下部筋束に分かれている。上部は肩甲骨外側縁下方から起始し上腕骨大結節後下部に停止、下部は棘下筋との間にある腱性の強い筋膜組織(上腕骨に近づくにつれその筋膜は薄くなり消失する)から起こり上腕骨外科頚に付着している。上部の起始は細長く上腕骨停止部は楕円形、下部の起始は楕円形で上腕骨大結節下方の綿状部に停止する。上部は羽状筋、下部は紡錘状筋であり、かつ捻じれ構造になっている。

 小円筋は腱板の後下面を形成しており、支点形成力により肩甲上腕関節の安定化に寄与している。小円筋は、後方関節包と結合しており、肩関節の外旋運動時には後方関節包の挟み込みを防ぐ重要な機能を担う24)。

 小円筋は下垂位では大きな伸展モーメントアームをもち、屈曲角度が増加すると比例するように伸展モーメントアームは減少する。屈曲約110°で屈曲のモーメントアームに変化する。
 小円筋は外転0~40°ではわずかに内転モーメントアームをもつ。外転40°以上では、外転角度の増加に伴い外転モーメントアームが増加する。
 小円筋は0~40°では大きな伸展作用とわずかな内転作用を持ち、40°以上挙上位では伸展作用と外転作用をもつ。

(4)肩甲下筋

肩甲下筋の解剖

 肩甲下筋は腱板の前面を形成しており、肩甲上腕関節の安定化に寄与している。

 上部線維の停止部は小結節の上面にあり、さらに上方へ薄い腱性組織(舌部)が伸びだして付着している。結節間溝はLHBの導通路であるが、肩甲下筋腱上部線維停止部が小結節に続く腱性の内側壁となり、舌部がLHB滑走床を形成することで、LHBの導通路は結節間溝からさらに上方へ延長されるようになっている。
 下部線維の停止部は小結節前方突出部から尾側へ約4㎝を占めるが、停止領域は尾側に向かうほど狭くなる。その上方2/3が腱性、下方1/3が筋性に上腕骨に付着している。

 内旋機能を有している肩甲下筋の横断面積は、外旋機能を有する棘上筋、棘下筋、小円筋と合わせたものとほぼ等しく、内・外旋機能が同時に活動すると、その張力は支点形成に有効に作用する25)。

 肩甲下筋は上部線維、下部線維ともに屈曲位では大きな内旋モーメントアームをもつ。屈曲角度による内旋モーメントアームの変化は少ない。下部線維の内旋モーメントアームが最も大きい。
 外転位においては上部線維、下部線維ともに大きな内旋モーメントアームをもつ。外転角度が増加すると内旋モーメントアームはすべての筋線維で減少する。下部線維の内旋モーメントアームが最も大きい。


②胸鎖関節

胸鎖関節の解剖図

 胸鎖関節は、胸骨と鎖骨で形成される鞍関節で、唯一上肢帯と体幹を骨性に連結している。また鎖骨の胸骨端と胸骨関節面は、下方では第一肋骨とも関節を形成している。一般に鞍関節は2軸性関節に分類されるが、互いの関節面を隔てる関節円板が存在するため、球関節と同様に多軸性関節としての機能を有する。

 胸鎖関節は関節包で囲まれ、さらに前胸鎖靱帯と後胸鎖靱帯で補強される。運動中は周囲の筋がさらに関節の安定性を高める。それらの筋は、前方安定性には胸鎖乳突筋、後方では胸骨甲状筋、胸骨舌状筋、下方では鎖骨下筋である。鎖骨間靱帯は頚切痕の上を通る橋のように左右の鎖骨の内側端を繋ぐ26)。

 肋鎖靱帯は第1肋骨軟骨から鎖骨下面の肋骨粗面を結ぶ強力な靱帯である。この靱帯はお互いに交差する前方・後方の2種類の線維からなり、この交差する線維が下制を除いたすべての動きに対して胸鎖関節の安定性を与えている26)。

 胸鎖関節の関節腔には関節円板が存在する。関節円板の下端は胸骨側の鎖骨関節面の外側に、上端は鎖骨内側端と鎖骨間靱帯に付着する。さらにその他の円板周囲は関節包の内側に付着する。

胸鎖関節を安定させる組織
・前・後胸鎖靱帯
・鎖骨間靱帯
・肋鎖靱帯
・関節円板
・胸鎖乳突筋、胸骨甲状筋、胸骨舌骨筋、鎖骨下筋

26)から引用

 胸鎖関節の運動(胸鎖関節軸回りの鎖骨の運動)には、前-後軸回りの挙上(約45°)/下制(約5°)、垂直軸回りの前方突出(約15°)/後退(約15°)、内‐外側軸回りの後方回旋(約50°)がある。なお、上肢挙上時の胸鎖関節には、挙上、後退、および後方回旋が生じる。胸鎖関節は、鎖骨を介して肩甲骨の運動の支点となっている。

 上肢挙上を例にして動きを説明すると、鎖骨は挙上、後退および後方軸回旋する27)28)。Saharaら29)は、上肢を180°外転させると、鎖骨は30.6°後退・7.3°挙上・33.2°後方軸回旋すると述べている。



今回はこれで以上です。

見てわかる通り、わかりにくい部分が結構あるため

これからも加筆修正していく予定です。

またPart1と書いてありますが

3部構成にする予定ですので

よろしくお願いします。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


参考・引用文献

1)監修 村木 孝行:肩関節理学療法マネジメント 機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く 株式会社メジカルビュー社 第1版第3刷 2021
2)編者 秋田 恵一 他:運動器臨床解剖学ーチーム秋田の「メゾ解剖学」基本講座ー 株式会社 全日本病院出版会 第1版第1刷 2020年
3)Bigliani LU:The morphology of the acromion and its relationship to rotator cuff tears. Orthop Trans, 10 : 228, 1986.
4)肩 その機能と臨床
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9)中村 耕三 監訳:運動器臨床解剖アトラス.医学書院,2013.
10)高濱 照,他:運動器の機能解剖 肩関節(4).理学療法,21(5):684-687,2004.
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12)井樋 栄二:肩学 臨床の「なぜ」とその追及 株式会社 医学書院 第1版第1刷 2021
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14)John Gibbons 訳 赤坂 清和:つなげる!バイタルショルダーコンプレックスー肩複合体:評価、治療、リハビリテーションー 株式会社 医道の日本社 初版第1刷 2022
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23)市橋 則明 : 身体運動学 関節の制御機能と筋機能 株式会社メジカルビュー社 第1版第2刷 2017
24)林 典雄:機能解剖学的触診技術 上肢 第2版,メジカルビュー社.2011,pp16-44,108-133,154-247.
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