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【連載】第3次本州紀行~苫小牧→八戸→仙台→苫小牧~ 第2話「誤算」本州上陸編・八戸 ※ホテル禁止

2.八戸到着~仙台港出航まで

(1)八戸港~本八戸駅~八戸駅「誤算」

さあ、3度目の青森県上陸だ。早朝便なので徒歩下船は他にほとんどおらず、清々しいスタートが切れそう…と思ったが、実はスケジュールミスを冒していた。
本来私は八戸駅の始発列車で盛岡方面に向かう予定だった。しかし、港の最寄り駅は本八戸駅という別の駅であり、歩いて向かっても八戸の始発列車には間に合わない。そのため、今回の目的地である仙台到着予定時刻が12:00頃→15:00頃と大幅に遅れる見込みとなってしまった。
まあ帰りの時間には間に合うので致命的、というわけではないが、盛岡で探索する時間的余裕がなくなってしまった。次回は気をつけよう。こんなんばっかだな。

朝日がまだ昇らない郊外道路を独りぽつぽつと歩く。横をトラックが猛スピードで駆け抜けていく。貨物を運んでいるのだろう。踏切を渡り、市街地方面へと向かう。不安なのでスマホのナビを起動する。しかし、低温だったためかバッテリーが殆どない。私の携帯も年季が入ってきたので、分が悪いのだろう。時間との勝負なのであまり迷いたくはないが…。
国道45号の高架下をくぐる。私が歩いているのは青森県道10号らしい。
石堂交差点を通過する。左折で八戸市庁とある。だが、八戸駅へは直線らしい。私が向かうのは本八戸駅なので、どちらへ向けばよいかわからない。さっそく迷い込んだようだ。八戸ダンジョンに…。
とりあえず直進したが、一向に「本八戸駅」の表示が出てこない。不安になってきた。列車に乗り遅れるかもしれない…。
八戸駅まであと3kmの表示が出たところで時刻は午前5:45を刻む。6:08の始発は断念するしかあるまい。最初から無理だけど。
そろそろ左折すべきだろうと私の内なる声が囁いたので、左に曲がって馬淵川を越える。これは第1回本州紀行で八戸駅から眺めた川と同じだろう。なかなか大きい川だ。

馬淵川

川を越えるときつい坂道になり、すぐに下りとなる。てっきり平野だと思っていたが、意外と坂がきつい。まあ小樽の急坂を歩いたこともある私にとっては何のこれしき…と言いたい所だが、さすがに楽ではない。知らない道を、荷物を背負って歩くのは想像以上に体力を消耗する。しかもゴールが見えないのだから、気持ちも焦る。「本当にこの道で合っているのか?」押し寄せる不安を拭うことができない。
焦りを感じながら歩いていると、「荒町」というバス停が見えた。何となく中心市街地のような雰囲気が醸し出されているし、おまけに中心部へのバス停一覧も確認できた。どうやら駅はもうすぐらしい。
こうなるとまさしく、「流れ変わったな」だ。焦りも不安も消える。後は消化歩行、ウイニング・ランとなる。
モスバーガーの開店準備作業を左に見ながら、八戸美術館、支庁、城跡を確認し、駅前へと歩を進める。神社もあったが、列車に遅れると面倒なので、参拝は見送った。

珍しい自販機を見つけた。お楽しみドリンクというのがあったので購入する。しかし、中から出てきたのはどこでも買えそうなジャスミン茶。だったら山形いちごジュースとかの方が良かっただろう。
まあいい、ちょっとしたギャンブルを楽しめた。それで満足しておこう。喉を潤せるならイチゴもジャスミンも大差はないのだから。
ようやく本八戸駅を正面に確認する。すでに1時間20分以上歩いている。本来ならこの程度で音を上げることはないが、慣れない船旅&焦りの早歩きによって疲れはそこそこ溜まっている。早く入って一息つこう。

本八戸駅


といってもまだ6時を過ぎたばかりで、観光案内所も営業していない。バスの時刻表を入手したかったが、次の列車がすぐなので、きっぷを買うことにした。
みどりの窓口は営業しているようだった。目が合った駅員が、
「おはようございます。」
と言ったので、私も同じく、
「おはようございます。」
と返した。
どうやら無愛想な駅員ではないらしい。

今回時刻表を持ってきたが、ダイヤ改正前のものなので、備え付けの時刻表でこの先の接続を確認しておく。
…。大丈夫だ。問題ない。きっぷを買おう。
「普通列車で多賀城まで。」
「普通列車ですか?ここでは発券できないですね。途中でIGRを挟むので…。新幹線を使うなら発券できますが。」
…。おかしい。事前の調べでは途中に3セクを挟んでも通しのきっぷを購入できたはずだが…。
「そうですか。じゃあ、盛岡まで。」
そう私が言うと、駅員が端末を操作し始めたが、
「あ、すいません。多賀城まで、発券できますね。ルートとしては、東北本線、仙石線経由ですか?」
とこちらに声をかける。

なんだ、発見できるんかい。最初からそうしてくれやwww
まあ、多賀城まで普通列車で行く人なんて殆どいないから戸惑ったのだろう。
発券完了。なぜかきっぷが折れ曲がっている。
おいおいwwwきっぷは折り曲げないようご注意ください、と言ってるのはだーれかな?と皮肉を言いたくなるような仕打ちだが、まあいい。
JR関係者がこの記事を読んでいたら、従業員に通達を願いたい。
いくら広域管轄とはいえ、東北なら東北の営業エリアくらいのきっぷ発券条件については熟知していてもらいたい。なんで北海道から来た旅人がJR東日本の職員より詳しいんだ、という話になる。まあ、鉄道マニアのほうが駅員より詳しいことは往々にしてあるが、今回の場合は別にマニアックな知識が必要なわけでもない。
これぞ分割民営化の弊害だろう。機械にばかり頼っているからそうなるのだ。改めて私は、
「文明が進歩するほど人間は無能になる」
ことを確信した。
それと、記念にきっぷを持ち帰りたい人もいるだろうから、きっぷは丁寧に発券したほうが良い。折り曲げるのはよろしくない。

文句が長くなってしまった。話をもとに戻そう。
改札開始。自動改札機はないようだ。きっぷを見せて中に入る。
朝早いので地元民が3,4人いる程度で、20万都市としては静かな立ち上がりである。このくらいが丁度いい。
八戸行列車に乗車する。ワンマン運転で、乗客も少ない。列車はセミクロスシート車両だった。短い時間だが、快適に過ごせそうだ。
すぐに八戸駅に到着する。

八戸駅


ここ八戸駅は第1回本州紀行の終点だった。手動改札を抜けて、駅の外へ向かうと、列車の放送が入る。
「三沢、野辺地、浅虫温泉方面、普通列車の青森行は…」
「剣吉、目時、二戸方面、普通列車の盛岡行は…」
青い森鉄道の案内は丁寧なようだ。普通は〇〇方面はひとつしか案内しないことも多いが、3つとはかなり大盤振る舞い。わかりやすくて良い。
乗換案内が雑な駅員、車掌も多い中、こうした姿勢は評価できる。
特に最近はホーム上の時刻表も撤去されているらしいから、こうした放送はありがたいといえよう。何でもかんでも合理化の名の下に撤去する鉄道会社には再考を願いたいものだ。

駅の外に出て、イチイの木を眺める。前回は近くの神社に参拝したが、今回は時間がないので遠くへ行くことはできない。
前回来た場所に着くと、チェックポイントを通過したようで爽快な気分になる。わかる人だけわかってくれればいい。
盛岡行普通列車に乗る。県境の目時駅で青い森鉄道からIGRいわて銀河鉄道に代わるが、直通運転してくれるので安心だ。

青い森鉄道線


発車メロディが流れる。毎回思うが、なぜ北海道にはないのだろう。絶対需要あると思うのに…。ぜひ見習ってほしいものだ。
乗客はぽつぽついる程度で、余裕がある。まあ、盛岡に着く頃には結構乗っているだろう。しばらくはこの静寂を楽しませてもらうことにしよう。
時刻表を手にした同業者らしき男性が乗っている。この人は盛岡まで乗り通すだろう。背中がそう語っている。同業者特有の。
盛岡へ向け、いざ、出発!
(続く)

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