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【ゲーム紹介】『遊戯王 真デュエルモンスターズⅡ 継承されし記憶』(PS2)



0.はじめに

今回紹介するゲームは『遊戯王 真デュエルモンスターズⅡ 継承されし記憶』です。2001年、PS2で発売されました。
一応、前作『遊戯王 真デュエルモンスターズ 封印されし記憶』の続編で、システムも一部受け継がれていますが、世界観は全く異なります。
前作の舞台が古代エジプトだったのに対し、今作は15世紀ヨーロッパの「薔薇戦争」をモチーフとしたストーリーとなっています。
また、新たに「移動」及び「デッキリーダー」の概念が追加されました。詳細は後述します。


1.レビュー

【ストーリー】
薔薇戦争で苦戦を強いられていた赤薔薇サイドは、異なる時代から強力なデュエリストを召喚して反撃に転じようとします。そのデュエリストが主人公(プレイヤー)です。
プレイヤーは召喚に関わった「サイモン・マクムーラン」に状況の説明とデュエルの手解きを受けます。いよいよ赤薔薇に迎え入れようとしたその時、白薔薇の「セト」が現れ、主人公を自分の陣営に勧誘します。

主人公はどちらの陣営につくこともでき、それによってストーリーも多少変化します。行く先々で相手陣営とカードゲームで対戦し、勝つと「薔薇カード」をもらえます。これをすべて集めると、主人公は元の世界に戻ることができ、ゲームクリアとなります。
クリア後はデータを引き継いで別サイドのストーリーを遊ぶことができます。

肝心のストーリーですが、あっさりしすぎており、作中で言及されていた「デュエルパワー」とは何なのか、など説明不足な点も目立ちます。デュエル前と後に対戦相手と少し話すだけで、途中イベントはあるもののストーリーはほぼなし、一本道のカードゲームだと考えてよいでしょう。
この点を見ると、ツッコミどころ満載とはいえ、異なる時空を行き来した前作のストーリーのほうが印象的でしたね。
ストーリーの印象は薄いですが、遊戯王のゲームとしては初めてマルチシナリオが用意された点、これが評価できるかもしれません。

【ゲームシステム】
・簡易融合システム
→前作からの引き継ぎ。カードを組み合わせることで強力なモンスターを召喚できます。一部のモンスターは融合の条件が厳しくなり、下方修正されました。
また、前作において、実用性皆無だがネタとして面白かった「謎の融合」が大幅に削除され、「魔法・罠カードの融合」も廃止されました。

下方修正については「レベル」概念の導入により、低レベルモンスターが便利になりすぎないための措置だと思われます。それ自体は仕方ありませんが、相変わらず融合のヒントはほぼないので不親切な感じは否めません。とはいえ、本作には墓地の概念があり、墓地を参照する、又はカスタムデュエルでミラーデッキと対戦することで相手の融合パターンを学習することはできます。この点は前作と同じです。

・「移動」と「デッキリーダー」の新設
本作の肝です。ゲームは7×7マスの盤上で行われ、プレイヤーは「デッキリーダー(DL)」と呼ばれるユニットからカードを場に出し、それを移動させてデュエルを行います。DL自体も移動可能です。
新しいシステムですが、詳細なチュートリアルが用意されているので、すぐに理解できると思います。
DLの周りをすべて敵ユニットに囲まれると「詰み」となり、敗北です。ボードゲームらしい敗北条件ですね。もちろん、ライフが0になっても敗けです。
「カプセルモンスター」と「DMシリーズ」を融合させたようなシステムで、かなり革新的なゲームデザインだと思います。
「移動」の概念はGCの『フォルスバウンドキングダム』にも受け継がれ、シミュレーション・ストラテジー系のゲームを開拓するきっかけになりました。

・デッキキャパシティ(コスト)の復活
→前作で廃止されたデッキキャパシティが、本作ではデッキコスト(DC)として復活。強力なカードには高いコストが設定され、相手のDCを上回ると対戦できません。
煩わしいかもしれませんが、こうすることで、コストの低いカードを探してデッキを組むなどの工夫をプレイヤーに促すことができますし、バランス調整にもなっています。私は評価できるポイントだと思います。
GB時代のような「デュエリストレベル」がなく、そもそもカードをデッキに投入できない、ということはありません。あくまでデッキの総コストの調整が必要なだけです。この点はGB時代から進化しましたね。

・「階級」システム
→DLには「階級」と呼ばれるランクがあり、これが上昇することで特殊な能力を覚えます。覚える能力は種族やレベルによって異なります。
敵のカードを表にできる「敵札オープン」やDLの2マス移動を可能にする「自己移動力増大」などがあります。
ただし、階級を上げるには手間がかかり、ゲームクリア時点では何も能力を持っていないこともしばしば。クリア後のお楽しみ要素として認識しておくと良いでしょう(クリアするぶんには能力がなくても大丈夫です)。
また、一定の階級になると、フィールドに隠されたカードを発見できる「財宝探索能力」や強力なカードを引ける「ディスティニー・ドロー」などを習得可能です。特にディスティニー・ドローは逆転のチャンスにもつながりました。後のタッグフォースシリーズにも導入されています。
もう少し階級を上げやすくしてほしかったという不満はありますが、これによってデッキ構築に個性が出ました。とりわけ種族統一デッキを組む意義が生まれたのは評価できます。これまでは最強デッキはほとんど同じテンプレートでしたが、本作の最強デッキは様々なバリエーションがあります。

デッキリーダーに関しては解説動画を作ったので、参考までにリンクを貼っておきます。

・モンスター効果の復活
→前作では原則効果モンスターがいませんでしたが、今作では既存のモンスターに効果が追加され、カードの個性が光るようになりました(むしろどうして前作は効果を廃止したのか謎ですがww)。
GB時代の効果モンスターは召喚時の使い切り効果がほとんどでしたが、今作では表になると発動する「活動」、守備で待機していると効果を発揮する「生態」、破壊されることで効果が発動する「死亡」のほか、戦闘中や移動時に効果を使えるものもあります。非常に多彩となりました。
実用的なものから、どうやって使うのか疑問なものまで幅広い効果があります。当時としてはかなり先進的だったと思います。これでようやく駆け引きのあるまともなデュエルができるようになりました(いきなりアルティメットドラゴンを出される前作は駆け引きどころの話ではありませんでしたからねww)。

・弱小種族の強化
→前作までろくな融合に使えない、攻撃力も低いなどの理由で不遇だった種族が大幅に強化されました。
特に顕著なのが昆虫、悪魔、獣戦士。

昆虫は融合面での強化はほとんどなかったものの、「人食い虫」や「ゲール・ドグラ」に強力なモンスター効果が与えられ、昆虫のみのデッキでも相手を圧倒できるレベルに成長。
悪魔は豊富な強化がある上、植物との融合で「バラに棲む悪霊」を出せるようになったため価値が上昇。強力な効果モンスターもあります。
獣戦士は効果はないですが、キャット・レディの融合素材に選ばれたことで大出世を果たします。キャット・レディは融合・強化しやすく、またフィールド2種に対応しているため移動力もある使いやすいカードです。前作の不遇ぶりが嘘のようですね。

※参考動画


・地形効果について
→地形は従来のものに加え、新たに「迷宮壁」「ウィルス」「トゥーン」の3種が追加。特定のモンスターしか入れない、攻撃力1500以上のモンスターを破壊するなど、特殊な効果を持ちます。
地形に対応する種族は本作オリジナルの設定。たとえば、天使族が山でパワーアップ、植物族が荒野でパワーダウン、など。
地形効果を得ると2マス移動できるようになるため、機動力が上がり、非常に重要なポイントです。
このおかげで、攻撃力が低くても速攻性で勝負することができるようになり、弱いカードの価値も見直されました。良いアレンジでしたね。

・BGMについて
→中世ヨーロッパが舞台ということもあり、エレガントで貴族的な音楽が響きます。また、前作で好評だった「セト戦」「カード魔神戦」のBGMもアレンジして使用されています。

・バグやCPUについて
→本作はバグや不具合が多いです。敵が自分のカードを上書きして消したり、攻撃力の低いカードで繰り返し無駄な攻撃を仕掛けてくるなど、意味不明な挙動があります。また、場にカードが増えたり、特殊効果が複数発動すると処理落ちが発生することも。このへんは粗が目立ち、残念です。

・カード入手について
→前作では1デュエルごとに1枚しかもらえませんでしたが、本作では相手の墓地に行ったカードをスロットで回し、当たれば手に入る、というもの。1デュエルで最大3枚入手可能(フィーバー除く)なほか、絵柄を揃えると「フィーバー」となり、レアカードを入手できます。
さらに5回デュエルを行うと、不要なカードをDCの近いカード3枚に変化させる「転生」システムも実装、ランダム要素が強いとはいえ、これでカード入手はかなり改善されました(むしろ前作がひどすぎますがww)。

・レベルの概念
→前作ではどんなモンスターでも無条件に出せましたが、今作ではモンスターを出すさい、「召喚パワー」という数値を消費する仕様に変更。レベルの高いモンスターはすぐに出せなくなりました。
これにより、すぐに召喚できる低レベルモンスターの価値が上昇。前作では良くて中盤までしか活躍できなかった低レベルモンスターが、ラスボス相手にすら有効な最強札にすらなります。

反対に高レベルモンスターはすぐに出せず、またコストが高いため価値が低下。
「強いモンスターでゴリ押しする」という前作の単調なゲーム性が改善されました。
高レベルモンスターはDL効果の「コスト軽減」でレベルを下げることができます。また、一部の強力な融合モンスターは素材に高レベルを要求するので、高レベルだから直ちに弱い、というわけではありません。
それなりに棲み分けはできています。前作の反省点を生かした感じです。

・グラフィックの向上
→モンスターのポリゴンや攻撃シーンのグラフィックがかなり美麗なものになりました。OPもかなり気合いを入れて作られています。
個人的にはコマンド・ナイトの攻撃モーションとか好きですね。


2.おわりに

遊戯王のゲームの中でもかなり異色な作品。当時は攻略本で得られる情報に不足があり、充分に楽しめませんでした。
しかし、ネットが発達した現在は攻略サイトも充実しています。検索すれば融合パターンやデッキ強化の方法、カード入手経路も詳しく紹介されており、快適に遊ぶことができるでしょう。
特にリーダー効果の詳細と育成方法が記載されているのが大きいです。これにより、必要なリーダーに絞って育成することが可能に(当時は誰が何をいつ覚えるのか不明だったため、不毛な努力をしなければならなかった)。
有志の力によってやりこみの効率も格段に向上しました。


ゲーム自体もブックオフで安く購入できるはずです。古いゲームですが、遊戯王が好きなら楽しめると思います。
興味を持った方は遊んでみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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