【短編小説】僕の目は、君の姿を捜してしまう。
もう、彼女に会ったのは、1年以上前の話で、昔の知り合いに偶然出会うということは、所詮、物語の中だけだと分かっている。でも、通勤時、彼女の最寄り駅に電車が到着すると、ホームに目を走らせるのを、止めることができない自分がいる。
彼女は、職場にいた同僚の中で、唯一、通勤に使う沿線が同じだった。そのおかげか、職場から自宅に向かって帰る際に、一緒に電車に乗る機会が多かった。電車の中では、仕事の話は思っていた以上に少なくて、お互いが家に帰ってから何をしているとか、今ハマっていることは何