見出し画像

環境変化の中で、顧客に生じている新しい問題は何だろうか?

なぜ、今多くの企業は新しい価値の創出(イノベーション)を目指しているのだろうか?

外部環境の大きな変化に対して、適応し、新しい価値を生み出さないと生き残れないからだ。

では、どのようにして多くの企業は外部環境に適応してきたのか、過去の企業事例を見てみよう。

有名な例は、富士フィルムだ。富士フィルムが当時直面した外部環境の変化は、デジカメの登場だ。2001年に世界シェア37%となり、36%のコダックをついに追い抜く。しかし、その頃にはデジカメへのシフトが急速に進み始め、フィルム需要の激減によりコア事業の危機に直面する。

脱フィルム&多角化を進めていく一方で、フィルム事業からの完全撤退はしなかった。なぜなら、チェキのヒットにより、2018年には年間1000万台の販売を記録した。チェキは技術的参入障壁が高く価格を維持できる。

では、多角化をどのようにしていったのか。

富士フィルムは、事業多角化にあたり、マーケットを見て参入分野を探る「市場関連多角化」ではなく、自社の技術ポテンシャルを分析して「強みを生かす」道を探る「技術関連多角化」を優先した。そのために、そこで、自社の強みを分析し直すことから始める。

自社の強みを分析した結果、アスタキサンチンという色素物質に着目した。アスタキサンチンは、写真プリントの酸化を防止する色素物質なのだが、写真の劣化と人間の肌の劣化が似ていることに気がついた。そのアスタキサンチンを応用した開発した化粧品の「アスタリフト」が誕生し、美容分野での事業のコア商品となるのだ。

このように外部環境の変化は、突然やってきて、それにどのように対応していくのかが求めれる。今、皆さんの会社における外部環境の変化にはどのようなものがあるだろうか?そして、その変化を乗り越えていくために、新しい価値(イノベーション)を起こしていかなければならないのだ。

では、どのようにその新しい価値を生み出していったらよいか?

新しい価値(イノベーション)を考える上で、最も大切なことは、新しい環境変化における、顧客の問題の変化をどう捉えるかに尽きる。

新しい価値の創出(イノベーション)を考える上で、ここでは、顧客がまだわかっていない問題(顧客が認識していない問題、顧客が諦めている問題)を捉えることにフォーカする。顧客がわかっている問題(顧客が認識している問題、顧客が取り組んでいる問題)はあくまで問題解決の領域として一旦考えないものとする。

顧客の問題とは何か? 過去の歴史から少し考えてみたい。例えば、毎年、夏になると”部屋が暑くて不快”という問題と日本人は直面してきた。

うちわやセンスが登場した時代がある。登場した当初は、少し暑さがしのげて満足していたが、だんだんと人々は、心の中で文句を言い始める。でも改善しないだろうと諦めている問題があったのだ。どんな言葉を心の中で呟いているか、想像つくだろうか?

「うちわはやっぱり、手が疲れるな。まぁ、しょうがないか・・・」

このように、顧客が口には出さないが、心で感じている不満をキャッチできるかがイノベーションのはじめの一歩にはとても大切なのだ。これは、顧客が解決できないと諦めている問題だ。

後に、会社は、この問題をキャッチして、イノベーションを起こし、新しい商品を開発した。どんな商品だかわかるだろうか?

もちろん、”扇風機”だ。初めて、扇風機なるものを目にした人はさぞかし驚いただろう。しかし、人間というものは、慣れてくると心の中でまた不満を呟くものなのだ。諦めの声と言ってもいい。

扇風機に対する人々の諦めの声はどんなものだか想像できるだろうか?

「風は来るし、タイマー機能もあるけど、湿気が取れないんだよな。でも、しょうがないか・・・」という心の叫びだ。このような、半ば諦めの声を事業サイドは、キャッチしなければならいのだ。

そこで、時代はまたイノベーションを起こす。そう、エアコンの誕生だ。当時は、かなり画期的なことだったことだろう。

そこから、エアコンに空気清浄の機能がついたり、除湿や脱臭の機能がついたエアコンが出てくるがこれはイノベーションではなく、改善活動だ。

このように新しい価値を生み出すイノベーションは、まずは、顧客の半ば諦めの心の声を上手くキャッチすることからが全てのスタートなのだ。

あなたのお客様は、今、大きな環境変化の中で、どのような諦めの声を漏らしているだろうか?

本日もお読みいただきありがとうございます。

講師ビジョン 島村






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?