vol.0 虫めづるイラストレーター桃山鈴子さんのイモムシ本をつくります
驚異のイモムシ描き、虫めづるイラストレーター桃山鈴子さん。
工作舎では2021年春の発行に向けて、イモムシだらけの作品集を制作中。
孵化した幼虫が脱皮を重ねてどんどん成長していくような、
本づくりのプロセスをつづります。ぶじに羽化できますように。
こんにちは。アサギマダラ、ウラギンシジミ、カラスアゲハ、ジャコウアゲハ、アカタテハ、クロシタアオイラガ、モンシロドクガ、クロモンドクガ、あなたはどの子がお好みですか?
うーんどの子も魅力的で迷うなあと思ったあなたは、ぜひぜひ桃山鈴子さんの作品をご覧ください。華麗な成虫に変態する前の、かわいくも不可思議な姿が楽しめます。
なんのことかさっぱりわからないというあなたもご安心ください。虫のことはよくわからないけれど、美しいもの、かわいいもの、ちょっとこわいもの、よくわからないものが好きなあなたなら、やっぱり彼女の作品に惹かれてしまうでしょう。
桃山鈴子さんのホームページはこちらです。
虫をモチーフにする作家さんにもいろいろな方がいますが、桃山さんが深い愛を注ぐのはイモムシ。イモムシはエネルギーのすべてを「食べる」ことに集中させ、もりもりと食べ、脱皮をくりかえし、短い期間の中でどんどん姿を変えていきます。
イモムシの形態と変化に魅せられた桃山さんは、真上・右側面・左側面、いろんな角度から見た姿をつなげて、サンマのひらきのような「展開図」にしてしまいました。
上の写真は桃山さん制作のZINE。ギャラリーハウスMAYAやアート系の書店で販売されています。
イモムシの展開図のことを桃山さんはこう説明します。
イモムシの体は円柱形です。連続した美しい模様の流れが、体をぐるりと覆っています。ひとつの画面で、その模様を途切れることなく見ることができたら、どんなに美しいだろうと考えた結果、虎の皮の敷物やサンマのひらきのような展開図に辿り着きました。
しかし実際に虫をひらいて描いているわけではありません。生きているイモムシたちをいろいろな角度から観察し、平面上でイメージをつなげながら制作しています。(text by 桃山鈴子)
2020年7月には、桃山さんの2回目の個展「わたしのイモムシ2020」が東京・青山のギャラリーハウスMAYAで開催されました。
ライフワークであるイモムシ展開図のほか、アサギマダラの生命のサイクルと食草環境を描いた大作(写真上)や、虫と植物のとぎれることのない相関関係を模様として表現したシリーズ(写真下・ギャラリーハウスMAYAで撮影)も発表されました。
点描で描きこまれた作品のひとつひとつに、虫と向き合う桃山さんの時間が埋め込まれているようです。
そんな桃山鈴子さんの世界を一冊の本にしたいと思います。
刊行予定は2021年春。本が完成するまでの間、担当編集者から桃山さんの世界観や本づくりのエピソードなどをnoteでお伝えしていきます。
この制作記のために桃山さんに「手書きのメッセージをください」とお願いしたところ、こんな掌編エッセイが届きました。
早くも桃山さんワールド全開……! 右下のサインもいもむし型です。
それでは次回もぜひご覧ください。
↓桃山さんの昆活絵日記もおすすめです!
桃山鈴子さんプロフィール
東京生まれ。虫の飼育は小学生時代から。大学時代に生物学の授業で顕微鏡を使った観察スケッチを学んだことが絵の原点に。理系と文系、自然科学とアートの境界を自由に飛び回る表現を志している。
イラストレーション青山塾ベーシック科21期。NPO法人日本アンリ・ファーブル会会員。日本蛾類学会会員。ペンスチ所属。
HBギャラリーファイルコンペvol.29藤枝リュウジ賞
ギャラリーハウスMAYA装画コンペvol.19準グランプリ
Society of Illustrators-Illustrators 62入選
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