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童貞には恋愛ではなく人間関係を②

あらすじ:芋男と猫耳が似合いそうな中国人留学生(Tさん)の間に共通点が生まれました。


盆踊り:きっかけ

初めてTさんと会ってから3ヶ月ほどが過ぎた夏頃、ゼミの活動の一環としてゼミ生全員で地域の盆踊りに参加することになった。ゼミ内で浮いていた僕にとってはそれなりに苦痛だが、単位のためである。とりあえず踊りをきっちり覚えておいた(←p.s.そこはかとなく童貞感がする)。

当日、夕方ごろ会場最寄りの駅に着いた。歩いて5分ほどで会場の広場である。最初に会ったのは同じゼミの男子達だった。コンビニで買ったアイス〇ックスにス〇ロングゼロを入れているらしく、既に軽く出来上がっている。少しだけ話した後、彼らは上機嫌なままどこかへ去っていった。住んでいる世界が違うようだ。

それから少し向こうのベンチにゼミの教授を見つけた。挨拶しておこうと近づいたところ、隣に誰か座っている。

Tさんだった。

心ここに無しという感じで、ボケっとしているように見える。首にかかっているマフラータオルがしなっとしているところを見ると、それなりの時間座り続けていたのだろうか。夕方とはいえ夏真っ盛りなことも考えれば当然だろう。

先生と少し言葉を交わす。目線は先生の方を向いているが、視界から外したくないのは隣に座る彼女の方だ。

汗で蒸れたつむじのあたりにどうしても目がいく。赤く火照った頬は、授業中眼鏡をかけていてインテリさを感じさせる彼女からは想像できない一面を見せてくれているようだった。目はどこか遠くを見ている。何を考えているんだろうか。


...最初は少し挨拶するだけのつもりだった。
ただ僕には思っていたよりも居場所がなかったのである。


「あれ、そういえばTさんってさ...」

もう何年も前のこと、内容は覚えていない。
僕は最初で最後、彼女に対して素直に行動していたらしい。



いやまぁ素直って言っても猫耳をつけて欲しいとかそういうわけじゃn


盆踊り:終わった後に

恥ずかしかったから盆踊り中ずっと一緒にいたわけではなかった。
ただ時々一緒になったときに、色んなことを話した...気がする。

=====

踊りが終わった。

帰りの電車がTさんとたまたま同じだったから少し話すことになった。降りる駅もたまたま一緒だったからもう少し話した。道すがら、お互いの学生証に載っている仏頂面を見て二人で笑いあったりもした(←p.s.死にたい)。それからお腹が減っていたから二人でご飯を食べることになった。

洒落た店を知らない僕は、前に一回だけ行った"女性でもあまり抵抗のなさそうな"ラーメン屋に行くことにした。そこでも色んなことを話した。多分、そんなに取り留めのないことを、つらつらと。あの時食べたラーメンはどんな味だったか。ただ、隣にTさんが座っていた光景だけをなんとなく覚えている。


ただ僕は少し不安になっていた。次からTさんとどんな顔で会えばいいのだろうかと。適切な距離感で話せるだろうか(←p.s.そもそも君にとっての適切とは?君の希望・欲望は?)、どんなテンションで話せばいいのだろう、いきなり親密そうに話したら周りのゼミ生から察されたりしてしまうのだろうかと。

(↓書いている今思えば、どうやら僕は中学生の頃から成長できていないようにみえる↓)




だから彼女のふとした一言に一層驚いたのである。

「今度私の家でご飯食べない?」



つづく



おわりに

案外長くなってしまっているところに、とてつもなく女々しさを感じる。
でも書いている中で新しい発見があったのはよかった()。

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