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長生きのコツ 住宅に体を合わせない

住宅に求めるものはどんなことでしょうか。利便性・快適性などいろいろあると思いますが、やはり安全に健康に住めることが第一だと思います。

人生において、住宅に求める機能はどんどん変化していきますが、そのたびに見直しはされていますでしょうか。一人暮らし、結婚、子供が増える、子供が巣立つなどだいたい10年ぐらい度に、この家が今の生活に合っていないなと思う機会があると思います。

しかし、今あげたタイミングで見直す方は多いのですが、例えば少し体が弱ってきた、や、介護保険を使うことになった、や、ベッド上で過ごす時間が長くなった、などというタイミングで見直す人は少なく、介護保険の住宅改修などの突貫工事しか行わない人が多いのが現実です。それはなぜでしょうか。子供ができたや子供の個室が必要、というような成長に対する変化ではなく、老化など直視したくない変化というのが一つの要因だと思います。また、この先何年生きるか分からないのにお金をかけるなんて・・というのもよく聞く話です。

では、介護状態になってからどれくらい生きるかというと、いわゆる寿命から健康寿命を引いた年数は男性で平均8.84年、女性で平均12.35年となっています。人生最後の約10年を生活しにくい環境で我慢して住みたいと思うでしょうか。10年生きるためにお金を使うことはもったいないでしょうか。

介護状態になった方で、もともとインテリアにこだわって家を大切に使ってこられただろうなと分かる方で介護状態になった方のお家は二つのパターンに分かれます。一つはあきらめて突貫工事を受け入れ、インテリアがちぐはぐになてしまったが(おそらく)我慢して過ごされている方。もう一つは突貫工事が嫌で、体に合っていない住まいなのに無理してそのまま使っている方。どちらも快適に住んでいるとは思えません。

もちろん突貫工事の住宅改修を何とも思わない方もいます。もともとインテリアなどにこだわりのない方です。リビングにポータブルトイレがあって、家族がリビングでくつろいでいる同じ空間で排泄をすることに抵抗がない方もおられます。人の価値観はそれぞれですので、それが良いとか悪いではありません。

ただ、住まいにこだわりがあって、大切にしてきた住まいで体が不自由になっても快適に自分の好きなインテリアで過ごしたいと思うことが贅沢なことだとは思いません。視覚情報というのは慣れてしまってもずっとストレスを与え続けます。また不自由になって使いにくい住宅で住まうことはストレスだけでなく動くことがおっくうになってさらに機能が悪化するという悪循環を招きます。

そのためには、お子さんが自立されたタイミングや、50代で家を建てるなどのタイミングで、少し先を見越した住まいを建てることを提案したいです。だだっ広いトイレやお風呂にしなくても、いざとなったときに使いやすいレイアウトや工夫で一般の住宅と何ら変わらない間取りにすることができます。


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