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参勤交代、大奥での暮らし……これもリモートワークって言えるのかな?

私は現在「大阪・泉州の田舎で暮らすプロ資格マニア、ライター」として活動している。私が今の家で暮らし始めた当時、田舎に移住することや、自宅の一角をオフィスとして都会にいるときと変わらず仕事をすることが、流行のようになっていた。移住まではせずとも、カフェやコワーキングスペースでのノマドワークを好む人も増えていた。

望まなくてもリモートオフィスワークをせざるを得ない場合もある

私は「田舎暮らしがしたいから移住した」わけではない。それまで仕事をしていた地域の通信障害がひどくなり、電話も通じないような有様だったので、急いで探した移住先がここだっただけだ。

田舎に移住すること、逆に都会を目指すことのどちらも、自分から望んでする人もいるが、パートナーの転勤やお子さんの病気などの事情で、仕方なく移住を決断する人もいることと思う。

私自身もそうだったのだが、自ら望んでの移住ではない場合「なんとかオフィス兼住宅は見つかったけれど、やっていけるのだろうか?」「ここでの暮らしになじめるだろうか?」と不安を抱きやすい。そして、不安がイライラに変わることもある。「来たくて来たんじゃないやい!」というイライラで、不安を覆い隠そうとするのかもしれない。

賢い女性「篤姫」が暮らした大奥

私は2008年に放送されていた大河ドラマ「篤姫」が好きだった。その中に出てくるセリフ(たとえば「一方を聞いて沙汰するな」とか)を自分の人生にも活かしてきた。

「篤姫」のストーリーの中では、「遠く離れている人と、簡単には連絡が取れない」ことがさまざまな不安を生み出すという場面が多かった。電話もインターネットもない時代。かろうじて飛脚はあったにしても、「薩摩や京で起ったできごとが江戸に伝わるのに何日もかかってしまう」のが当たり前だ。

そのような時代に、大奥から出ることがかなわない天璋院や和宮は、いずれも賢い人だったのだろう。だからこそ、様々なことに思いを巡らせ、大変な思いもしただろう。特にドラマでは「篤姫が政治への関心を持っていること、視野が広いこと」がメインのテーマとして描かれていた。女性しかいないリモートオフィスで、賢い篤姫や和宮が、表の世界と独自のかかわり方をしていく様子は、とても勉強になることが多かった。

参勤交代はリモートワークの一種?

ところで、篤姫や和宮が生きた時代は、参勤交代の制度が緩められていった時期でもある。ドラマの中で参勤交代について触れられる場面は少なかった。

しかし、参勤交代の負担を、長きにわたり強いられていた諸大名がいるのは事実である。江戸時代のはじめは、徳川氏に忠誠を示し歓心を買うために、諸大名のほうから江戸に集っていた。妻や子供を江戸に住まわせることで、徳川への忠誠を示していたのだとも。江戸時代以前の、鎌倉や室町の時代にも似たような習わしや制度があったようだ。

諸大名にとって、自分の領地が「本社」だとすれば、江戸の屋敷はリモートオフィスだったのかもしれない。江戸での活躍に重きを置く大名にとっては、江戸の屋敷が本社で、領地のお城はリモートオフィスだったのかも。

いずれにせよ、参勤交代が制度化されたのちは、自主的に江戸に集っていた人とは違い、自分の意思とは関係なく、江戸と領地を行き来しなければならないことに不安や不満をおぼえた人もいるだろう。「来たくて来たんじゃないやい!」と気軽に言えない諸大名は、大変なストレスの中で暮らしていたのかもしれないと想像する。

鳥島に漂着したジョン万次郎

幕末に活躍したジョン万次郎は、漁船で炊事や雑務を行う役割を担って乗り込んでいるとき遭難し、鳥島に流れ着いたそうだ。流れ着いた鳥島では、食料を確保するのも大変だったろう。

ようやくアメリカの船に救助されたとはいえ、言葉も分からない、そもそも「日本以外に国がある」ことも分からないジョン万次郎にとって、アメリカの船に乗り込んだときの気持ちはいかばかりだったのか? 鎖国政策の影響で、簡単には日本に帰れないと知った時には、どういうことを思ったのだろうか?

現在、鳥島そのものが天然記念物の指定を受けているため、居住することができない。ただ、鳥島のような離島は各地にある。今、人が住んでいる離島では、インターネット環境も整いつつあるようだ。船や飛行機などの便も整備されている。離島にリモートオフィスを構えて仕事を続けている人もいる。

行く先々で、その時できることを精一杯やってきたジョン万次郎。私のような「どこにでも行ける」はずの人間が、「どこでも仕事ができる」今の時代に、不平不満を言っているのを見たら、どんな気持ちになるだろうと、少し恥ずかしくなる。

なお、ジョン万次郎以外にも、鳥島に漂着した後に、なんらかの方法で生還した人はいるそうだ。

結局リモートワークで一番必要なことは

自宅の一角で仕事をし続けてきた私が「リモートワークで一番必要なこと」を挙げるとしたら「自分に負けない心」だと思う。どんな立派な機器があって、リモートワークを認めてくれる社会や会社の制度があって、家族の理解があっても、自分自身が「ここで精いっぱいやれることをやる」という覚悟がなければ、うまくいかない。

自分しかいないリモートオフィスで、自分のなまけ心や不安と戦って負けないだけの心があれば、ほかのことは何とかなる。自分の望む家を選べなかった江戸時代の諸大名も、遭難などの理由で思わぬ土地で暮らすことになった人々も、結局は「自分に負けない心」一つが、自分の武器だったことと思うのだ。

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