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「あなたが成功すれば同じ病気の人のヒントになり元気づけることができる」と言われた日から長い年月が経った

私は大学院在学中に、メニエール病がひどくなり入院・手術をしたことがある。同時に複数の病気を患っており、婦人科や外科など合計5つの科にお世話になっていた。

普通の就職活動ができなかった私は、後にフリーランスのライターとして社会に出た。そのとき、執刀医やほかの先生方が
「あなたが何かの道で成功すれば、同じ病気に悩む人のヒントになり、結果としてほかの人を元気づけることができる」
とおっしゃった。その当時は、あまり実感がなかった。

ただ私も「ドラゴン桜」「二月の勝者」などのドラマを見て、がんばろうと思うことはあったし、苦労して資格を取得した人の体験談や勉強法についてYouTubeで見て、励まされたり、悩みが解決したりしたことがある。
そのような経験を経て、昔、先生方がおっしゃったことが分かるようになった。

私は、自分自身の人生を頑張ることはできても、人に無理やり頑張らせることはできない。ただ「もっと頑張りたい」という気持ちがある人にとって、「その気持ちをどう形にすればいいのか」のヒントには、なれるのかもしれない。

さて、私には中学生のころから、自分の弱点だと思っていることがあった。それは「人から相談を持ち掛けられやすく、重大な秘密を打ち明けられやすい」ことだった。
中学生や高校生が簡単に解決できない相談というのはある(たとえば身内が宗教や悪徳商法にはまっている、など)。私自身が人の気持ちに巻き込まれやすく、責任を感じやすい性格だったために
「このような重大な話をせっかくしてくれたのに、何もできなかった」
と考えて、それを弱点だと思ってきた。

また
「私は相談に乗ったつもりがないのに、いつの間にか相談に乗ったという受け止め方をされている」
ことも不思議というか、どうなっているのか分からなかった。

ただ、最近になって気づいたことがある。
私は物事を時系列に並べて話してもらったほうが理解しやすい。しかし、相談する人は興奮や焦りでいっぱいのため、思ったことをぽんぽん話してくる。私は状況を理解するために、話題を時系列に並べ変えたり、話の細部を確認したりする。
この過程で落ち着きを取り戻す方は意外に多いのかもしれない。
私としては、状況を理解するために話を確認しただけのつもりだったが、話している人は落ち着きを取り戻し「相談した」という感覚になっているのかもしれない。

何も話す気がない相手に、私が無理やり話させたり、重大な秘密を打ち明けさせたりすることはできない。
でも、解決のきっかけを探している人が「この人になら話してもいいかな」という気持ちになり、こんがらがっていた話を整理して、少しでも落ち着いたという感覚になってもらえるのなら、意味があるのかもしれない。

自分のできることを精一杯やっていれば、そこから何かを感じ取ってくれる人がいる。私が誰かの人生を直接変えるのではなくても、その人がもともと抱えていた思いを、実現させるヒントにはなれるかもしれない。

私が手術を受けてから長い年月が経ち、ライター以外の仕事も手掛けるようになり、さまざまな資格を取り、新しい趣味もできた。
今でも私は誰かのヒントになれているだろうか?

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