天王寺動物園が再開園した翌日に訪ねた【後編】 2020年5月27日
暑い季節になると、水辺で暮らす生き物たちがうらやましくなる。サバンナゾーンにはたくさんの木陰があって、涼しく作られているけれど、やっぱり水の中が大好きな生き物を見たくなるのだ。
ところで、すっかり書き忘れていたのだが、各動物の様子が見られる檻の周囲の路面に、動物の足跡のイラストで「このくらい距離をとってね」という目安が示されている。ただ、檻の周囲に人が集まってしまうと、路面の印は見えない。それに動物に夢中になる子どもは、どうしても距離のことなど忘れがちになる。
この日は、良識ある大人が「行っちゃだめ、この足跡に合わせて見るんだよ」と促しているシーンが多かった。この状況がずっと続いてほしいものだ。
曲線でできたカリフォルニアアシカ
ツヤツヤの体をくねくねさせて動くカリフォルニアアシカ。プールをぐるりと取り囲むように柵があり、さまざまな角度から観察できる。日陰に人が多く、陽射しがつよいところにはあまり人がいなかった。
昨年は子アシカのキュッキュが下水に逃げ出したことが報道され、心配したものだ。それにしても優雅な動き。
オットセイ、トド、オタリアはアシカの仲間(鰭脚類アシカ科)。セイウチ、アザラシは別の科。
潜水を繰り返すホッキョクグマ
天王寺動物園には551の蓬莱が寄贈したホッキョクグマ がいる。
写真はイッちゃん(メス)。ペアのゴーゴは、道具を使って餌をとることで知られている。ゴーゴとイッちゃんを続けてよむと551。
スター性が高い動物ゆえに、見つめる人の数も多い。プールを取り囲む柵の周りは、足跡のイラストで距離を取るよう促すだけでなく、工事現場で使われる三角コーンと棒でできた柵が並べられている。
イッちゃん水から顔を出したところ。
体が大きく、頭がちっちゃく見えるのもホッキョクグマの特徴だ。
大勢の客が自分を見てるってことも、わかっているみたいに見える。
身軽に歩き回るマレーグマ
マレーグマはクマ科のなかで最も小さい。見るたびに「ニホンザルみたいな動きだなぁ」と思う。身軽で常に小走りに動いているような感じ。2頭が仲良く暮らせるといいな。
ちょっと心配だった二ホンツキノワグマ
私にとってもっとも癒しを与えてくれる二ホンツキノワグマの体のライン。楽しみにコテツくんが暮らす檻に近づいたのだが、ちょっと心配なことが。表現は悪いかもしれないが、認知症になった犬のように、同じところばかりくるくると回っているのだ。
常同行動と言われるものだろうか? 飼育環境下にあるクマは、他の生物に比べて常同行動が出現しやすいと言われている。以前はホッキョクグマにも首を振りながら歩き続ける行動が見られたものだが、この日は気にならなかった。二ホンツキノワグマのコテツくんも、ストレスをうまく発散できますように。
いったん別の動物を見に行き、2度目にコテツの檻をみたときは、水につかっていた。気持ちよさそうだなぁ。
そしてまたくるくる。。。
かわいい顔のメガネグマ
高低差のある屋外飼育場で暮らしているメガネグマ。顔に斑紋があることが特徴的。わしっわしっわしっと歩きながら高低差を乗り越えていく様子がとてもかわいい。
こちらも2頭仲良くしてね。
ここではおなじみのポーズ。
目が合うと謝りたくなるシロフクロウ
ホッキョクグマの檻の向かい側にあるシロフクロウの檻。大きな木が植えられていて、ちょうど日陰になる。
親子連れがのぞき込んでいたので、親子連れとは違う角度からしばし様子を見る。シロフクロウはどうやらお父さんの動きが気になるようで、首をぐりんぐりん動かしてお父さんを追っている。
親子連れが立ち去った後も、首をぐりんぐりん動かす、というより振り回していたシロフクロウ。写真を撮りながらも目が合うと「ごめんなさい」と言いたくなる眼光の鋭さだ。
この日の感想
動物を観察するときは、他の人と距離を取ることが必要だし、もっともよいポジションに長く居続けるのも、よくない。だから、じっくり見ること、写真を撮ることができた動物は少なめだ。それでも、元気に過ごしている動物たちの様子には、とても癒された。同居をスタートしたり、子どもが期待できたりする動物のカップルも、ちらほらいる様子だ。
いつもと比べて、動物たちが人間の存在を意識しているのかなと思えるシーンに、たびたび出会った。人間を歓迎してくれているのか、それとも「また、うざいのが来た」と思っているのかはわからないが。
再開園の勢いと学校が休校中のため、待ちかねていた人がなだれ込んできたという面はあるだろう。ただ願わくば、今後いつ訪ねても、このくらいの人がいてほしいという気がする。
関西の他の動物園も、徐々に再開園しているが、神戸の王子動物園や和歌山のアドベンチャーワールドのように府県民優先という方法を取っているところもある。コロナウィルスの感染予防、拡散防止が大事なので、強引に訪ねるつもりはないが、できるだけ早く動物たちに会いたい。
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