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201X年8月 微笑ミの街

一週間あまりの学校生活のため滞在することになった「微笑ミの街」。ここは「黒ノ街」経由でないと辿り着けないということで、やむなく相性の悪い「黒ノ街」の空港で入国手続きをした。そしたら案の定、暴風雨で空港に軟禁され夜を空港で過ごすこととなった。ここではアナウンスの聞き逃しは命取りなので、うかつに場所を離れるわけにいかないのだ。状況が全然読めないのだが意を決してさっと両替しにいき、「此ノ国のスガキヤ」で買ったハンバーガーを食べて飢えを凌いだ。明け方、天候が安定してからのフライト再開でなんとか「微笑ミの街」に到着。ワゴン車に揺られて町中を走るが、同じ国でも「黒ノ街」のようなピリピリ感がなく、ゆったりと時間が流れているのがわかる。宿舎に着いたら手続きをして就寝。

朝起きて受付にいくと、「極東の島国」から来たという笑顔の素敵なH女史という女性が一通りの説明をしてくれた。

「今日ハ時間ガーるかラ一緒ニ買い出シに行こウカ?」

お言葉に甘えショッピングモールへ。道中、話をしていると遠い知り合いの先で繋がっていることがわかり驚く。へえ、そんなこともあるのか。しかしながら巨大なショッピングモールではなかなか探し物が見つからず、這う這うの体で歩き続け、ようやくお目当てのものを手に入れた時、はっと気付いたら彼女は居なくなっていた。あれ?????ま、、、、いいか。きっと何か用事でもあったのだろう。

食事を取って軽く酒を飲み、宿舎に戻りシャワーを浴びてテレビをつけてみるが砂嵐しか映らないので諦めて寝ることにした。

深夜、寝ている間に消したはずのテレビが点いている。あれ?おかしいな、、、、と思いながら僕は起き上がって消そうとしたが、画面の中にはH女史が映っており、やがてしゃべりだした。

「此処は安全圏。私たちは安全策を取って安全靴を履いて、その上安全装置も働いている。大穴の中の大穴の安全。」

あれ?どこかで聞いたことある台詞だぞ???これ、なんだっけ???などと考えている間に画面は砂嵐になっている。

あまりのことに目が覚めてしまい、テレビを消して窓を開けると、月がぽっかりと浮かんでいた。

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