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201X年11月 This town 起名叫『蜃気楼ニ浮カぶ街』

毎日、いろんな国の若者と一緒にいる。

異業種パーティと言われるものに全く興味がわかないのは、出会う事が目的だからだということがよくわかる毎日だ。
研究でも語学でも、音楽留学でも、何か同じ分野の目的がある人と同じ空間に居るというのは、それだけでとても楽しいという感覚がある。

ここ404圏外は、いくつかの言語をおりまぜてなんとかなんとかコミュニケーションが成立する世界だ。日本語だけ、とか英語だけ、とかスペイン語だけ、とかだとどうにもならない。それでもコミュニケーションはなんとかなるし、カタコト同士の中でも、相手がどんな事を考えて、また何を感じてここに辿り着いたのかだけはよくわかる。僕たちは分かり合えなかもしれない。そこからスタートして相手の事をわかろうとする、ここではその姿勢がとても大事なのだ。そしてこの関係性はとても素敵だとも思う。

毎日話していると、彼ら彼女らの目を通して各国の状況が透けて見える。共通しているのは、自分の居る場所への危機感と、一箇所ではどうにもならないという感覚。そして各々の心の中にある、ふわっとした何かだ。

ある日、東南アジアの若者と一晩中飲み明かした。駅のそばで酒を買い込み、真夜中に街中で立ち飲みだ。奴は最高にクレバーで、だけどサボりぐせがあって、とてもキュートだ。5年後くらいにはとある事業で社長をやってるはずの彼は、色んな事情を話してくれた。

ビザの問題や、国の問題、家族の問題、恋人の問題、など話は尽きない。この感覚で違う年代の人と垣根なく遊べるのが最高だ。

404圏外にはほとんどルールがない。唯一あるのは

『他者を他者として尊重する事』

このルールを尊重する限り僕たちはずっとここに居られる。そう、とても大切な概念だ。

残念ながら極東の島国の中ではその概念がないため全くその感覚にはなれないのだが、少なくとも僕が居る場所だけは今後、どこであろうと常に404圏外同等の街であるようにしたいと思っている。それはとても素敵な関係性の場所だという感覚だけは強く感じている。そう、希望の光は射している。

僕は希望を以って、まだ見ぬその架空の場所に名前をつけた。

蜃気楼ニ浮カぶ街

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