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100日後に死ぬ父。39日目。

 近年、父は老眼が進み、老眼鏡をいくつか買った。今朝も老眼鏡を付けて新聞を読んでいる父を見ていると、当たり前だけれど父も歳をとったのだと実感してしまう。お父さんというよりもお爺ちゃんに近くなりつつあり、まだ僕も姉も結婚していないのが申し訳なく思えてくる。
 父は家用と外用で老眼鏡を使い分けていて、外用はサングラス型の老眼鏡を付けて出かけている。特に飲みに出かける時は必ずサングラスの老眼鏡を掛けるので、坊主頭の父は本当に怖い見た目になる。父は周りからの目が気になるのか、家で掛けているお爺ちゃんみたいな老眼鏡は決して外では掛けないようにしている。
 若い女の子ばかりの飲み屋に出かける時は、サングラスの老眼鏡でさえ恥ずかしいようで、父はそうした店では老眼鏡は身に着けず、カラーコンタクトを身に着けて出かける。そのカラーコンタクトが若い子に受けがいいらしいのだけれど、瞳がオオカミのようになる怖いカラーコンタクトなので、サングラスよりもさらに怖い見た目になる。そのせいで何度か職質を受けてしまい、交番の人にとってもすでに名物おじさんのような扱いを受けている父である。
  たまに飲み屋街でカラーコンタクトを付けた父と出会うと、僕は身内とバレたくないので素早く逃げることにしている。

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