マガジンのカバー画像

短編小説

187
ときどき小説書いてます。 面白ければフォローも宜しくお願いします😊
運営しているクリエイター

#ラヴクラフト

短編【招かれた客】小説

短編【招かれた客】小説

私があの方に出会ったのは仕組まれた運命のだったのかしれない。
私の人生の僥倖も、それによって得た地位も財も全ては、あの方に出会うためだったのだ。
イア!イア!クルウルウーフンタング!

ミルトン・フィッシャーは、いつもの様に頭の中に響く謎めいた言葉を聴きながらホルマリン漬けされた脳味噌が入っているガラス瓶を愛おしく撫でた。

ミルトンの両親はネブラスカ州の貧しいトウモロコシ農夫だった。
父は息子の

もっとみる
短編【そして俺は闇の中へ】小説

短編【そして俺は闇の中へ】小説

ルポライターの篠原準子が日本にいると知ったのは彼女が帰国してから一週間を過ぎた頃だった。

帰ってきているのなら、どうして連絡をよこさないんだ。

「どうしちゃったんだろうね、準子ちゃん。足跳さん、何か知ってる?」
歴史小説家、白石文美子先生の次回作の打ち合わせの席で彼女の話題になった。

一週間ほど前、紀伊国屋書店をうろうろしている篠原を見た、と白石先生は言った。
その時の様子が夢遊病者のようだ

もっとみる