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いったい、豊かさってなんだろう?

はじめに

 この季節、「寄付」「プレゼント」「投資」といった《宇宙系ギブアンドテイク》が、あらゆる占い世界で幅を利かせる。
 FBやRCのかつての顔見知りを振り返ると、(やっぱり自分の階層の低さを知ることになるのだが)ブレスレットやったりして金持ち達も本気で《引き寄せ》を信奉していた。
 だが、あらゆる階層で《引き寄せ》が信じられているのはFBの影響だと今気づく。なかんずくFBの経営層に乗っ取られたチーパーネットことTwitter界隈ではそうした法則とは縁遠い人々、私も含むのだが、そういう人々ほどスピ系とはかけ離れた裏通り人生を送っている。
 その対比で《引き寄せ》の功罪を考察したい。

貧困妄想

 前置きが長くなった。要は、うつ病とかで登場する貧困妄想もTwitterワールドでの貧困妄想と重なって見える。
 しかしだからといってしょっちゅう盛り塩したりおまじないするだけのメンタリティーやタフさをも持ち合わせないのが「病み垢」の弱みであり、強みでもある。鰯の頭すら信心しないのが我等ツイ民だと私は思う。
 《引き寄せ》が階層を縦断する思想だとすれば、その光さえ差さないライ病窟(映画『ベン・ハー』に登場する)闇の世界がある。それもツイ民の世界だと私は感じる。

繰り返される豊かさ妄想

 堕ちるところまで堕ちて気づく。触法ではない圧力で役所を自己都合退職で後腐れなく辞めさせられた私。気づくと担当医の先生に指摘されたとおり統合失調症が重症化しているのだ。障害を受け容れられればリカバリーの余地もあろうものである。
 ただ、SSRIで躁状態の時は豊かさ妄想、効き過ぎるから減薬を受けると抑うつ状態で貧困妄想へ真っ逆さまである。
 ほどほどの豊かさというものがこの重症化、寛解、再発、重症化というプロセスで分からなくなる。

ほどほどを知る

 どんな金持ちと友達になることと実際に交際できることとは、必ずしも一致しないが、もう一致していると思って訂正が利かないと、それは統合失調症でいうと差し詰め《引き寄せ》信奉だったりする場合もある。
 特に女性ほどパートナー同伴でTwitterにご臨席になるのがほとんどである。残念なことに、弱者男性がいくら努力しても弱者女性にすら追いつけない時がある。これは一種の社会的な淘汰メカニズムで、男性を捕まえる女性が上位であることそして子をもうけることがそのままサクセスストーリーとして表現されやすい。
 彼女らは体験的に知っている戦略なのだろうが、それを言語化することは非常に難しい。たとえれば芥川の『蜘蛛の糸』よろしく糸を登り、後から上る亡者を蹴落としているカンダタを突き落としていく(彼自身もまた堕ちていくのだが)ようなものである。
 社会学的にいえばこれを垂直上方移動とか言うらしい。
 OECD白書を見ても、垂直下方移動のほうが多くて貧困層が増えていく勘定になる。しかも、一度堕ちたら上方移動はほぼ不可能だ。

おわりに代えて

 《引き寄せ》ようが、そうしまいが、現実の世界(リアルワールド?)における現世的な自己認識が一番、信頼できる者であり、得体の知れない思想に身を寄せるのはやはり違和感を憶える。
 ぼろは着ていても心は錦ではないが、貧困する精神障害者にも健常者同様(配慮事項が異なるだけ)実らぬ努力より目の前の課題をフィニッシュする達成感を積み重ねる、そうした権利は行使できるはずだ。
 「精神」障害者ゆえの差別はまだある。別の見方をすれば、この社会を裏から支え豈良くば表に立ちたい当事者も本を出している時代だ。
《引き寄せ》もほどほどとにして、足下も見たい意地悪な元上司。カンダタになれなくてもいいから、日常を地道に過ごしたい。

2022年12月5日記

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